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サンキスト外伝〜くだものがたり〜 死神(前) ( No.232 )
日時: 2023年06月13日 22:17
名前: テヌグイ [ 返信 ]
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コレはマスク・ド・サンキストの一族の物語

死神と呼ばれる暗黒の男の話

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現代

とあるサンキストアジト

温室(トレーニングルーム)

リング上で靴鳴りを響かせる者が1人

見事な足捌きであるが

レスリングのソレではなく

カポエイラとも違う

彼はサンキストの中でも異端中の異端

青空を思わせるスカイブルーの果実マスク

トランクスに

ロングブーツ風のスポーツシューズ

勿論上裸

そして両腕にはグローブをはめている!

その名も

マスク・ド・サンキスト”蒼穹(ブルーインパルス)”

その流儀は拳闘(ボクシング)である!

彼は百文字と長年のライバルであるという
男の情報を掴みそして調べ上げた
『鷲鼻のバドゥロ』
数多のサンキスト達を葬ってきた
あの百文字が手を焼く好敵手!
その流儀こそボクシング!

同期の中でもトップを取れず
更には残虐ファイトも性に合わない
そんな凡百のレスリングで百文字に挑めば
100戦100敗は間違い無いであろう

だが拳闘ではどうだ
拳闘が百文字に通用することは
バドゥロが証明済みだ
殊更ボクシングでは
スポーツマンシップに悖る行為は禁止されている
つまりは残虐ファイト抜きでも強くなれるのだ

彼はボクシングに打ち込んだ
かつての同期にはカポエイラを捨てた外道と
先輩には掟を守らぬ恥知らずと罵られ
無論上からの覚えも良くない
だが彼はひたすらに拳闘に打ち込んだのだ

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ふと脳裏をよぎったかつての同期を思い出し

ロープにもたれ目を閉じる

燃えるような野心を持った男だった

躊躇なく行われる残虐行為(ファイト)

流麗なるカポエイラ

そしてサンキストとしての矜持

どれを取っても比べ物にならなかった

だがこの拳闘殺法でヤツを倒し

ソレをチカラの証明とし

百文字の前に立つつもりだった

このフィニッシュブローで…

開眼し右腕を振りかぶったその時であった

「キーーーールキスキスキス!」

リング上に一人のサンキストが現れていた

「黒い…サンキスト…」

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むかーしなぁ

サンキストの風紀が著しく乱れた時代があったんだ

掟を掟と思わず

百文字への復讐を忘れ

サンキストの矜持を捨て

力をもて余し

不埒な狼藉三昧

1つの果実が腐ると

連鎖的に他の果実も腐っていく…

そんな腐った奴らが増えてどうなったかって?

どおーーにも

雑魚も中堅もトップサンキストもぜーんぶ

掟を破った奴らぁ

奴にブッコロシされちまったのさ

たった一人にだぜ?

ソレからさヤツが死神って

呼ばれるようになったのは

ヤツを見たことがあるかって?

馬鹿言っちゃ行けねえよ

オイラが幽霊に見えるかい?

ヤツが現れるのは

断罪の瞬間(とき)だけよ

ただな、その異様だけは聞いたことがある

深淵を覗いた暗闇のような

まぁっくら なマスクなんだってよ

オメエラも悪い事は言わねえ

掟だけは守れよ

『とある老サンキストの語り』より

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「蒼穹(ブルーインパルス)君だね?」
「君は残虐ファイトもカポエイラも使わないそれどころかレスリングも捨てたらしいねぇ」
「掟破りだねえ~」
「勇ましいねえ〜」
「キキキルキス」

「掟で百文字が倒せるなら今頃ヤツは冥府でオネンネしてるだろうぜ!」

「キキキールキスキス!確かに確かにぃ!」
「でもねえヤツをキル(ブッ殺死)するのはね、僕達サンキストじゃなきゃならないんだ」
「君の拳闘殺法はサンキストとは言えないなぁ」

「へッ、俺に文句を付ける暇があるならアビスさんよぉ!」
「アンタがヤツの前に立つんだな!」

「キキキス!確かに確かにぃ!」
「だけどね、ボクはアイツに興味が無いんだ」
「アイツは死人さ」
「戦いの最中(さなか)」
「勝利は求めど生に頓着しない」
「だから恐れない惑わない躊躇(ためら)わない」
「漆黒の魂(果実)をもった男さ」
「でもねえ!それじゃあ駄目なんだ!」
「僕はねえッ!」
「黄金の魂(果実)を探しているんだよ!」
「死を!恐れを!生への執着を!」
「その実(身)に宿しつつもぉ!」
「乗り越えた先にーーーィッ!」
「人の精神から生み出されるぅ日光のようなぁ!」
「天に届かんばぁかりの!」
「深淵すら明かすぅ!」
「閃光!閃光!閃光ぉ!」
「ソレが消え逝く瞬間のビビ美をぉ!」
「斜陽斜陽斜陽おおおぉうああああああキーーーールキスキスキス!」

「こ…この男」
狂っていると言いかけ蒼穹は口を止めた
リングに死臭のような殺気が充満しはじめたからだ

「君は見せてくれるかなあ~?」

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とあるサンキスト地下アジト

三柱会議

三柱会議とは
マスク・ド・サンキスト“小梅”
同“小竹”
同“ブロンズ”(以下「銅」)
の中枢三人で行われる密会であり
辛うじて同席を許されるのは
彼らの側近たるサンキストだけである
しかし今回は3つの果実が並ぶのみだ

銅「アヤツの暴走もはや看過できませぬ!」
銅「どうかご決断を!」

梅「キスキスキス」
梅「元はと言えばアヤツを『管理』できなかったオヌシの責じゃろうて」

銅「ご処断はいかようにも!」
銅「お望みとあらば腹を召しましょう!」

竹「キッス!」
竹「ジジイの腹の中身など見とうないわ」

銅「粛清、断罪と称し幾人の同朋が葬られたか」

梅「では誰がアヤツを止めるのじゃ?」

銅「私めが!」
銅「老いたりとも技は失っておりませぬ!」

竹「キッキッキス」
竹「我々ではアヤツを」

梅・竹「「倒せやせんよ」」

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「いいぜ!見せてやる!」
「ただし!」
「リングに沈むのはアンタの暗黒果実(ブラックマスク)だ!」

トーン、トーン、トーン
蒼穹は構え(ファイティングポーズ)を取り二三ステップを踏むと
後方のリングロープへとバックステップ!
ギューーーーーーン!
ロープがしなる!
しなる!
しなる!
その反動を利用し!
アビスへ向かい急加速する!
その姿勢は極端なまでの前傾姿勢だ!
そして右拳が地面スレスレを走る!
チリチリと地面を掠める程の低空軌道からの!
上昇気流を伴う急上昇(アッパー)!

「ゆくぞ!コレは我が強敵(友)熱情(ヘルファイア)へ捧げる一撃!」









「喰らえ!ジェットサラマンダーーー!!」

JEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEeeeeeeeet!!!

アッパーと共に地より立ち上がった気流が
リングに充満する死臭を吹き飛ばした!
だが!

「な、なにい!?」
「消えた!!?」

そこにアビスの姿は無い!
リングにも温室(トレーニングルーム)内にも!

キィ…

キィ…

キィ…

不快な金属音がどこからか溢れる

その発生源は天井とライトを繋ぐ鎖

ソレにぶら下がるアビスだ

「ま、まさか…ジェットサラマンダーより早く跳び上がったとでも言うのか!?」

ドンッ!

着地を決めたアビスが口を開く
「キールキスキス!まーさかまさか!」
「君のスピードが予想以上だったんでね」
「使わせて貰ったよ『軽気功』を!」
「君が拳で打ち上げた気流に乗って飛んだのさ」
「風に舞う羽毛のようにね」
「むーかし居た(マスク・ド・サンキスト)“老酒(ラオチュウ)”君の技さ」
老酒の末路は聞くまでもない
「僕はねえサンキストが使う技は一度見れば何でも使えるんだよ!」
アビスがボクシングスタイルのファイティングポーズを取った!
「た・と・え・ば」
トーン、トーン、トーン
ステップを刻み
後方のロープへバックステップ!
そしてロープの反動を利用し!
蒼穹へと飛びかかる!









「こんな風にねえッ!」

JEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEeeeeeeeet!!!

超低空からのアッパーカットが蒼穹を襲う!

BAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaNG!!!

直撃したかに見えた蒼穹だが
辛うじてクロスアームブロックで受け止めている!

「むうう…」
「こ、コレは正しく俺のジェットサラマンダー!」

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再び三柱会議

梅「アヤツはサンキストの技を盗む」

竹「実は違えど根は一つ」

梅「育った水と土も同じであれば」

竹「技を使えぬ道理は無い」

梅「わしらとて例外では無い」

竹「そうなれば体力で劣るわしらでは」

梅・竹「「勝てぬ」」

銅「我々三人同時ならば!」

梅「キス」
梅「目立つ我々が固まって動いて気づかぬと思うか」

竹「他の四果聖やトップサンキストも同様」

銅「で…では」

梅「案ずるな銅顔(どうがん※)」
※ブロンズの渾名

竹「手は打ってあったのよ」

銅「なんと!」

梅「技が盗(と)られるというのであれば」

竹「盗めぬ力を持った者を使えばよい」

銅「ぬ、盗めない力…とは?」

梅「文字通り『ぱわー』単純な体力じゃよキスキスキス」

竹「今風にいえば『ふぃじかる』じゃよキスキスキス」

銅「ライム・スカッシュッッ!!!!!」

梅「顔色と一緒で鈍いオヌシもようやく気付いたか」

竹「慈善活動で態々大枚はたいて改造するわけなかろうて」

銅「し、しかし奴は」

梅「そう」

竹「結局」

梅・竹「「ご破産じゃ」」

竹「何処をほっつき歩いとるんじゃかあのアホタレめ」

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つづく


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Re: サンキスト外伝〜くだものがたり〜 死神(前) ( No.233 )
日時: 2023年06月13日 22:28
名前: テヌグイ [ 返信 ]
[ 削除 ]
補足
マスク・ド・サンキスト“老酒(ラオチュウ)”
かつて存在したサンキストレスラー
中国拳法に傾倒し特に酔拳を得意とした


Re: サンキスト外伝〜くだものがたり〜 死神(前) ( No.234 )
日時: 2023年06月14日 01:30
名前: 春休戦 [ 返信 ]
[ 削除 ]
うって変わってアビスがキター!
この粛清人、そういう感じであったのかー!
なるほどその能力にはムスカ当てるわなぁだし、何処ほっつき歩いてるも実感が籠り過ぎてるし。(笑)

そして蒼穹!色もバトゥロに寄せて来たのね。(www
これまた魅力的なカマセが……てか、カマセだから魅力的なのがサンキストの基本であるけれど。(ぉぃ


Re: サンキスト外伝〜くだものがたり〜 死神(前) ( No.235 )
日時: 2023年06月14日 16:12
名前: テヌグイ [ 返信 ]
[ 削除 ]
春休戦さん

感想ありがとうございます!

この死神最初はタワマンの最上階で猫撫でたり
無駄にピアノ弾いたりする悪の総帥見たいな感じで考えてたんですが
キャラ付けしていったらこんなんなっちゃいました(笑

いやホント噛ませだと分かってるからメチャクチャ出来るし書いてる方も噛ませサンキストの方が楽しいかもしれませ…いや!いや!まだ負けると決まって無いから!頑張れ蒼穹!


そしてカジワラさんへ

バトゥロをバドゥロって書いちゃいましたごめんなさい!
昔も感想コメントか何かで1回やっちゃった気がするなあ学習しない男で申し訳ない…


Re: サンキスト外伝〜くだものがたり〜 死神(前) ( No.236 )
日時: 2023年06月14日 16:34
名前: REO=カジワラ [ 返信 ]
[ 削除 ]
アビス!アビスじゃあないか!!
手拭さん設定だけど一応、設定貼っておこう。

〇マスク・ド・サンキスト・ジ・アビス

一族一の殺戮機械
通り名は死神ジ・アビス
命令とあらば一般人であろうと女子供であろうとも喜んで手にかける正にマシンであったが
四果聖入りし権力を得たことで暴走
今は己の快楽の為に戦いを求めている
敗者の顔が恐怖に絶望に失意に染まる様をあるいは命乞いを求めるみじめな姿を欲している
ソレがより強者であればあるほど彼の愉悦は満たされる
一時はその欲望の為に同胞すらその手にかけていたが今はとある獲物を見つけたようだ。
漆黒の果実マスクと浅黒い肌が特徴

 ・
 ・

 ・

にしても、アビスが動いているトコロが、
観れるとは思ってなかったなー!!

強キャラ臭が凄まじいし、実際凄い能力だし!!
蒼穹も十分過ぎるくらい強いって伝わる
サンキストだけど、アビスの底知れなさには、
流石に分が悪そうですねー!!

それに対抗出来るのはムスカかッ!!
元々個性的な設定なライムスカッシュだけど、
アビスとの相性を考えるに更に輝くんだから、
手拭さんのキャラの魅せ方、上手いなあと
思うばかりッスわぁー!!

>>バトゥロ
いやいや、私も乙姫でやらかしちゃってたし、
ちゃんと調べているつもりでも、そーなる事は、
ある思うんで気になさらず~。

保管庫に移す時には直しとくんで!!


Re: サンキスト外伝〜くだものがたり〜 死神(前) ( No.241 )
日時: 2023年06月15日 02:17
名前: フィール [ 返信 ]
[ 削除 ]
パラディン「僕空手やってるよ!」
梅「ギルティ」
パラディン「通信教育だけどね!」
竹「ならええか」
パラディン「ちなみに黒帯までいった」
銅「やっぱ粛清」
パラディン「まあ、プロレスベースでカポエイラも使いますけど。あ、ブラッククロスやアムステラの偉い人との成果ここに置いときますね」
三人「「「掟のセーフラインで反復横とびするな」」」

ルール無用の残虐ファイターだがどこか愛嬌のある奴らが大多数を占める一族の中、アビスの異物感は怖いですね。彼からはスプラッタホラーに出てくる覆面の殺人者めいた恐ろしさが伝わって来ました。


Re: サンキスト外伝〜くだものがたり〜 死神(前) ( No.246 )
日時: 2023年06月16日 04:04
名前: テヌグイ [ 返信 ]
[ 削除 ]
カジワラさん感想ありがとうございます!

>>キャラの魅せ方、上手いなあと思うばかりッスわぁー!!
カジワラさんにそう言っていただけるとは!
実は私の活字歴が始まったのはカジワラさんのおかげだったりします、小説というものは一〜〜ッ切読んでいなかったのですが当時オレグレイを採用していただいた時にカジワラさんの小説を読んだのが活字に触れ始めた最初です。
それからちょいちょい小説を読むようになりムスカが生まれ黒伝最終回を書き今に至ります
(至る(キリッ)とか言ってもそんなに書いてないのでついこの間のような気もする)
というわけでカジワラさんは原点にして我が師!
お褒めに預かり恐悦至極です!


フィールさん感想ありがとうございます!

パラディン君劇場激しくワロタwww
コレにはアビス君も苦笑い
アビス君には元々ヒールのサンキストの更にヒールとして頑張って貰おうかと思っとります!


ホント皆さんが快く受け入れてくれるおかげで
やれています感謝感謝


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