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再来!雷迅颶参!! ( No.159 )
日時: 2022年10月19日 21:29
名前: 春休戦 [ 返信 ]
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ちょいと続編を書いてみました。(^o^)
こう、導入だけで済ますつもりが筆が乗った。(汗)

そして雷迅颶参の戦法もえらく増えたな……。
元は「ラオモト・カン ゴブリンスレイヤー風味 Jカーンとビシャモンを添えて」
程度のモーションだけだったのだが。(⁠・⁠o⁠・⁠;⁠)


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Re: 再来!雷迅颶参!! ( No.162 )
日時: 2022年10月19日 21:31
名前: 春休戦 [ 返信 ]
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〜 衛星軌道上・アムステラ軍宇宙基地 補給物資倉庫 ~

「ムッハッハッ!活気ある物流は、眺めておるだけでも心が弾むわいっ!」

 暴牙堂は、物流作業の邪魔にならぬ片隅で、腕組みをしたまま作業風景を眺めていた。
 その彼の背後には、無言で佇む2人の配下。

「……して、ザエモンよ。スティングとレイナ、どう見た?」
「はっ。『燕を水練に誘うが如し』かと」
「だろうな。腕利きの2人だったから引抜きも考えたのだがな……」
「しかし、『心を失いし者は人形』でありますが故に」
「分かって居る。彼奴らをあの環境から離すのは害にしかならぬわ」

 そう言って太い吐息を零した暴牙堂だが。次の瞬間、その眼がギラリと輝いた。


〜 物資倉庫 別視点 ~

 この日、カスム隊の補給物資受け取りに出向いて居たのは、スティングであった。
 倉庫の片隅に見覚えのある巨体が見えたので、声を掛けようと口を開いた瞬間!

「ぼ…うぉぉっ?!?」
「ムッハッハッ!達者にしておる様だな!」

 十数メートルの距離を瞬時に詰めた暴牙堂は、既にスティングの目の前。
 その大音声の挨拶を至近距離で浴び、スティングは目を白黒させた。

( 「速い!この巨体でこれだけ素早い体捌き……」 )
( 「生身でも見た目を超えて強いぞ、この人」 )

「近々そちらの方面で又、実戦を兼ねた威力偵察を行う予定でな!」
「その際、お主らの拠点にも寄って又、一戦交えたいので宜しく伝えてくれ!」
「忘れん内に先日の模擬戦の借りを返して置きたいのだ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~ 某所・アムステラ軍前線基地 ~

「……と、旦那から聞いた翌日には来ちゃったよ暴牙堂のオッサン……暇なの?あの人」
「リベンジマッチは良いけれど、今度はどんな感じで来るのかな?」
「従者の二人も『封刃』で参加する可能性が大だと思うわ。幸い火器は無い筈だけど、防御力は相当よ」
「そうなるとこっちもペアを組んで……ベルダは離れて援護ね。多分、近接戦を強いられると思うから」
「はぁい……頑張ってみますぅ〜」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~〜

~ シミュレーター空間 ~

 荒野を模した空間に、カスム隊の操兵5機が揃い踏む。
 まず前列には吠弩羅とラウズィーガーが並び立つ。
 そして吠弩羅の斜め後方には雷獅子、ラウズィーガーの斜め後方には劾狼。
 更に後方中央にベルダの羅甲が控えた五角形の陣形。

 その遠方正面、近接系攻撃では届かない射撃武器の間合いに4機の大型操兵が具現化する……4機?!

「わわっ!おっきいのがいっぱいですぅ〜!!」
「うっへぇ……オッサンおとなげねぇなぁ〜……」
「レイナさんの読み通りだったけど、4機??」
「アレ、一体誰なのかしら?」
「さぁ?でも『雷迅』じゃなくて『雷迅颶参』が2機よ」

 対戦者として現れたのは、封刃と雷迅颶参が各々2機!

「ムッハッハッ!お主らを失望させたく無いのでな。少々奮発した!……では、始めるとするか!」
「ゲインッ!」「応っ!」

 暴牙堂の開始宣言と同時に、ゲインの雷獅子が広域殲滅型マルチミサイル『雷雨』で先制攻撃。

 前に出た封刃2機が護鬼を散布してミサイル群を相殺。打ち洩らしは鉄砂塵で狙いを狂わせる。

 そして雷迅颶参の一機は高々と跳躍、もう一機は弧を描いて爆風地帯を回避し、カスム隊を目掛け接近!

「ティナ、レイナさんと地上のを頼む!」
「俺達3人は、上のを何とかしてから合流する!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~ クリスサイド ~

「何だ?高く跳び過ぎだろ。良い的……ぬあっ??」

 雷獅子が空中の雷迅颶参に猛御雷とミサイルの狙いを定めた瞬間、別の巨体が視界を覆う。
 後方に居た封刃が、低高度の高速ジャンプで射線を遮る様に割り込んで来たのだ!

「構うか!喰らえぇ〜っ!!」

 斉射を浴びて、堪らず雷獅子の前に墜落する封刃。しかし雷迅颶参は無傷で吠弩羅の眼前に急速降下。

「ゲイン、そっちは頼む!……何っ?!」

 眼前の雷迅颶参に肉薄する吠弩羅だったが、雷迅颶参は吠弩羅を飛び越える様に低く跳躍した!
 吠弩羅は咄嗟に、踏み込んだ爪先を軸に半回転する。だが、振り向いた先に機影は無い!

「 上 で す ぅ 〜 っ !! 」

 ベルダの叫びに呼応して、吠弩羅が頭上に両腕の盾を掲げた瞬間!
 吠弩羅の頭上で浮遊静止した雷迅颶参が二本の機甲刀を抜き放ち、上空から連続突きを繰り出す!

 ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!ガッ!

 凄まじい勢いの連続諸手刺しが吠弩羅に降り注ぐ!
 雲殻由来の反重力浮遊をしつつ、倒立状態で背のブースターを軽く吹かし、下への圧力を保持しているのだ!


「……やっべぇな。クリス、少し待っててくれ!」

 体格差を頼りに掴み掛かる封刃を躱しつつ、雷獅子は機会を窺う。
 雷獅子は射撃戦仕様なので、その武装も至近距離での攻防には向いて居ないのだ。
 しかも相手は装甲の厚い封刃。大ダメージを負っては居るが、牽制射撃程度では怯みもしない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~ ティナサイド ~

 爆風の中から飛び出した封刃が、迂回して接近する雷迅颶参の露払いをする様に先行して来た。

「封刃の動きを止めるわ!雷迅颶参をお願い!」

 レイナの劾狼は、迫る封刃に全火力を叩き込む!
 ラウズィーガーも劾狼の背後からファングリッパーを放ち、封刃の背後に居る雷迅颶参を狙う!
 それらの攻撃の対処に追われ、封刃の足が止まる。

 背後の雷迅颶参も腰の両刀を抜いて封刃を迂回するが、そこへラウズィーガーが突進!
 アサルトライフルを撃ちながら接近するも、少々の被弾は無視して雷迅颶参も突進する!

 そして右の機甲刀を投擲!ラウズィーガーは左肩を前に突き出し、半身になってそれを避ける!
 今度は左の機甲刀を投擲!これも背を反らし、胸元を掠める軌道をやり過ごす!

 だが、雷迅颶参は既に目の前。もう近接戦の間合いだ。

(「……左腕は投擲直後で下がってるから、背の刀は抜けない!チャンス!」)

 ラウズィーガーは雷迅颶参目掛け、最速の右クローストレート突きを放つ!
 しかし、それよりも速く雷迅颶参の左腕が繰り出したのは、逆薙ぎの白熱手刀であった!!

「……しまった!!」

 薙ぎ上げの白熱手刀に右手首を斬り飛ばされた直後、ラウズィーガーは敢えてバランスを崩し右前転回避。
 ……それは、辛うじて間に合った。

 雷迅颶参が右腕を上に伸ばすのと同時に、背の鞘から機甲刀が飛び出していたのだ。
 そのまま磁力誘導で柄を掴むや掲げた両腕を振り下ろし、機甲刀と白熱手刀の変則モンゴリアンチョップ!

 もしラウズィーガーが立ったままであれば、避け切れず強か(したたか)に斬り裂かれて居たであろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~〜〜

~ クリスサイド ~

 戦局が動いたのは、ささやかな一撃からであった。

 ベルダの羅甲が恐る恐る放った銃撃。それは封刃が踏み出した足元で弾け、封刃の動きを瞬時阻害した。
 その隙を逃すゲインでは無い。相打ち覚悟の至近距離斉射を叩き込み、強引に封刃を沈黙させる。

 無論、雷獅子とて只では済まぬ。爆風に巻き込まれて吹き飛び転がりながらも身を起こし、膝立ち復帰。
 そこから上空の雷迅颶参を狙うが、敵もさるもの。

 即座に着地して吠弩羅に斬り掛かりつつ、もう一方の機甲刀を雷獅子に投げ撃つ!
 だが吠弩羅も同時にワイヤーナックルを飛ばし、その機甲刀を掴み取る!

「ムッハッハッ!やはりお主らと戦うのは面白い!」

 歓喜の叫びと共に、白熱手刀でそのワイヤーを断ち切る雷迅颶参。次いで機甲刀を手放し両腕を引く。
 そこから繰り出されるは、白熱手刀諸手突き!!

「 ム ウ ゥ ン ッ !! 」
「 一 意 ! 穿 ! 震 !! 」

 白熱手刀で両肩を大きく抉られつつ、吠弩羅が捨身で繰り出した対の竜穿が、雷迅颶参の胴体に炸裂した!!

 その攻撃で蹌踉めき離れた雷迅颶参に、待ち構えて居た雷獅子の全力斉射攻撃が引導を渡したのであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~ ティナサイド ~

 劾狼は、ホバー機動を駆使して封刃との間合いを取る。封刃の攻撃手段不足を読んだ上での立ち回り。
 格闘や鉄砂塵の有効範囲を外せば、互いに決定打を受ける事は無い筈なのだ。

 又、封刃のブースター高速機動の軌跡も予測しつつの位置取り。同時にラウズィーガーとの距離も調整する。

 ティナへの援護射撃も混ぜつつ立ち回るが、しかしこのままではジリ貧。
 焦りを押し殺していたレイナだが、視界の隅に入った光景に思わず笑みを浮かべた。
 
「……やっと来たわね」

 そう呟いて、封刃に牽制攻撃。このダメージには期待して居ない。ただ気を逸らすだけで良いのだ。

 キ ュ ド ォ ォ ン ッ !!  ド ォ ォ ン ッ !!

 直後、封刃に猛御雷の狙撃が命中!すかさず劾狼もその着弾箇所に狼天戟を撃ち込む!
 トドメは駆け寄って来た吠弩羅が繰り出す、烈迅跳び膝蹴り!
 さしもの封刃もこの連撃には耐え切れず、機能が停止した。


「良し!後はティナだ!」

 跳び膝蹴りの勢い余って転がった吠弩羅が立ち上がる。だが、その両腕はダラリと垂れ下がって居た。
 先の白熱手刀で負ったダメージは、ベルダ機の応急修理では修復出来ない程の損傷だったのである。

 改めて戦場を見渡したレイナが瞬時、瞠目する。
 しかし直ぐに部隊内通信で幾つか指示を飛ばし、吠弩羅と共に雷迅颶参へ攻撃を仕掛けた。

 だが雷迅颶参もさるもの。吠弩羅の蹴りとラウズィーガーの左クローによる猛攻を受け流している。
 劾狼も細やかに動いて援護射撃の隙を狙うのだが、近接する二機を盾にされて攻撃を放てない。
 そして雷獅子は、先程までの無茶で稼動限界に達したのか。煙を吐いて横倒しに転がって居た。


「 …… 今 よ !! 」

 数合斬り結んだ末、レイナの叫びに呼応した吠弩羅とラウズィーガーが、息の合った同時攻撃を繰り出す!
 しかし雷迅颶参も機甲刀でそれらの攻撃を押し留め、かつ劾狼が攻撃出来ない位置も保持していた。


「 な ん と か な れ 〜 っ !! 」

 キ ュ ド ォ ォ ン ッ !!

 その時!同時攻撃の対処で動きを封じられて居た雷迅颶参の背に、火砲が炸裂する!
 だがベルダの羅甲にはそんな大火力の砲は無い……いや!その正体は雷獅子の猛御雷。
 行動不能になった雷獅子から取り外し、単発砲として無理矢理、運用していたのであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~ シミュレーション戦の終了後 ~

「ムッハッハッ!ムッハッハッ!この儂を二度も負かすとはな!存分に誇るが良い!」

「……とは言え、私達もギリギリの戦いだったよねー」

「雷獅子は行動不能、吠弩羅の両腕とラウズィーガーの右腕も使用不能、劾狼も弾切れ寸前だったものね」

「あぁ。あそこでベルダの奇襲が無ければ、最後に押し返されてたかもな」

「あれはゲインさんのアイデアですぅ〜」

「いやー、あれが上手く行って良かったぜ。ベルダの立ち回りも上手くなった証拠だな!」

 そこで一旦言葉を切ったゲインは、暴牙堂と二人の従者の脇に立つ人物をジト目で睨む。

「……んで?何で居るンすか?影狼の隊長サン」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~ えぴろーぐ? ~

 ゲインの問いに、あっさりと答える影狼隊隊長。

「何、雷迅颶参の戦術コンピューターに暴牙堂殿の戦法などを学習させて居たのでな」
「実戦形式で学習させるのに、君達は申し分ない相手でね。こういう機会が有るなら一口乗るさ」

「ハハッ……そいつぁどうも。お陰様でクソゲー難易度でしたけどね!」
「こりゃもうね、敵さんに同情したくなるよなぁ……」


 その時、ボヤくゲインの背後に立った人影。

 ゴ ツ ン ッ !!

 問答無用でゲインの脳天に鉄拳制裁を見舞ったのは、この部隊の隊長であるカスムであった。

「客人に下らん愚痴を溢すなバカモン!」

「ムッハッハッ!構わん!若気の至りというものよ!」
「しかしな……儂も一つ愚痴を言わせて貰えば……」

「……何ですかね?」と、思わずカスムは問い返す。

「次も強敵が出てくれんと、消化不良に成りそうで怖いのぉ!!」

 そう言って、暴牙堂は部屋を揺らさんばかりの呵々大笑を轟かせたのであった。


 THIS EPISODE END


Re: 再来!雷迅颶参!! ( No.163 )
日時: 2022年10月20日 00:27
名前: REO=カジワラ [ 返信 ]
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大型で重装甲の4機の雷迅颶参と封刃相手にカスム隊大苦戦でしたね。
言う様に雷獅子が行動不能、吠弩羅の両腕とラウズィーガーの右腕も使用不能、
劾狼も弾切れ寸前。そんな中、ベルダ良く動いたなあ…ッ!これは伏兵でしたッ!!

前回のオブシダン戦もそうでしたが、暴牙堂達と戦う相手はタフな戦いを
強いられますね。それだけに骨太で激しいぶつかり合いが見てて、
読んでて面白いですッ!!


Re: 再来!雷迅颶参!! ( No.164 )
日時: 2022年10月20日 21:22
名前: 春休戦 [ 返信 ]
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毎度ありがとう御座います!(^^)
実は次の対戦相手は選定済でして、その前にカスム隊とも軽く調整したいなーが膨らんだ次第です。(^_^;)

今回はなるたけカスム隊の面々の特性を活かす方向で描写していた訳なんですが。
まさか「ちいかわベルダ」が爆誕するとは、書き始めの段階では構想も予想もしてませんでした。(笑)


Re: 再来!雷迅颶参!! ( No.165 )
日時: 2022年10月20日 23:26
名前: フィール [ 返信 ]
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カスム隊は各人別の得意分野を持ち、それぞれの引き出しも多く連携も優秀な部隊だから経験を積むには持って来いですよね。これには影ちょーもニッコリ。次の相手にも期待しています。

Re: 再来!雷迅颶参!! ( No.166 )
日時: 2022年10月21日 10:33
名前: 春休戦 [ 返信 ]
[ 削除 ]
毎度ありがとう御座います!
そそそ。カスム隊は色々と使い勝手が良いのですよ。(笑)
つーかね。相打ちに近いとはいえ、ぶっつけ本番で中ボス級の最終防衛部隊を撃破しちゃえるのも大概だと思うの。(www

んでまぁ、次の相手も御期待に添える様に頑張ってみますか。(^^)


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