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伊那下神社献詠歌まき
山人
投稿日:2011年10月01日 18:44
No.56
【Home】
昭和4年 海 辺 秋 夕
もしほ(藻塩)たく煙もきえて夕まぐれ海士が伏屋の秋ぞさびしき
浪の音も松ふく風もしづまりて浦は淋しき秋の夕ぐれ
え物得て帰る濱辺は海士の子の歌にぎわしき秋の夕ぐれ
うちよする三保の浦波しづまりて月さしのぼる秋の夕ぐれ
山の端に夕日はおちて松崎や海辺さびしき秋のくれかな
なきかはす鴎の声もさびしげに霧に暮れゆく松崎の浦
きりこめて夕日も落ちる伊豆の海浪の音さむし秋たけぬらし
もみちせぬ木もあやとりて夕栄の
にしきの浦は名にぞそむかぬ
海にてり空に彩とり入日かげさわに匂へる伊豆の浦
雁が音もさぎりにこめて夕汐のみつの濱辺はみるめさびしも
うき秋とおもひわびぬる此夕小雨にぬれてかへる釣舟
汐あみし海辺こひしく来て見れば今は淋しき秋のたそがれ
産土神の森のかげ高く影みえて海辺つめたし秋の夕ぐれ
立浪のひびきもさびし和田つ海の袖しの浦の秋の夕暮
三保の岬松ふく風の音たかく夕浪きほふ有度の嶋山
漁り火のかげほのめきて立つ霧の中に暮れゆく松崎の浦
さらてだに身にしむものを浜松のまた枝ならす秋の夕風
並風のいそ山嵐ふきあれて濱の夕の秋ぞさびしき
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