| トップに戻る | 検索 | 管理用 | ▼掲示板作るならRara掲示板 |

「舟を編む」(三浦しをん著)
岡山のTOM 投稿日:2012年04月08日 14:51 No.1922
10日(火)に発表される 【第9回本屋大賞】 のノミネート作である。<br><br>【 玄武書房に勤める馬締(まじめ)光也。 営業部では変人として持て余されていたが、人とは違う視点で言葉を捉える馬締は、辞書編集部に迎えられる。 新しい辞書 『大渡海』 を編む仲間として。 定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生を捧げる老学者、徐々に辞書に愛情を持ち始めるチャラ男、そして出会った運命の女性。 個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。 言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく――。 しかし、問題が山積みの辞書編集部。 果たして 『大渡海』 は完成するのか?! (本書の帯より) 】<br><br>読み始めてしばらくしてから確信していた。 いや、読む前から、私の勘ビューターが予想していた。 ”今年はこれだ!” と。 「辞書は言葉の海を渡る船だ」―― 言葉の・・・本の好きな者たち書店員が投票するのが本賞である。 これほど大賞にふさわしい本があるだろうか。<br><br>全編に流れるそこはかとないユーモアや慈しみの心を何と形容したら良いだろう。 今の世にこういう主人公で物語を成立させた作者の力量に感服! 何気ないシーンなのに、気がついたら目尻が濡れていたりするのだ。 さっきまでくすりと笑っていた口元の横を、涙が伝ったりするのだ。 実写で観たい! 大きなスクリーンで。 獲れ、大賞を! いや、こんな肩に力の入ったような応援は本書には似合わない。 そう ―― 獲っちゃえ、【本屋大賞】。<br><br>馬締を無敵たらしめている武器は、心を素直に表明する以外の方法を知らぬその性格だった。 辞書の編纂がこんなに面白く、こんなに熱いものだなんて! いつまでも、この舟に乗り続けていたいと登場人物たちが思うように、読者に ” いつまでも読み続けていたい!” と思わせてくれる。 ページがラストに差しかかったのは、高崎行きの電車の中(3月25日に2年ぶりで開催された高崎映画祭の授賞式に参加してきまして)。 そう、旅の供として持参しようと前から決めていたのです。 このまま読み進めると、泣いてしまうのは分かっていた。 けれど、中断などできるものか。 くしゃみが出たり鼻をかんだりとちょうど花粉症の症状が出始めていた時だったので、うまくごまかしてそのまま読み終えられたのでした。<br><br>” 傑作!” という以外の褒め言葉がないか、本書によく出てくるようにもっと 「用例採集」 に努めてくれば良かった。 そうすれば、この感想をより人の心に届くものに出来たろうに。<br><br>10日夜の発表が楽しみでなりません。<br> 

Re: 「舟を編む」(三浦しをん著) いまいまさこ 投稿日:2012年08月04日 07:59 No.1934
TOMさん、さすがですねー。<br>映画評論はもちろんのこと文芸評論も玄人ですね。<br>とくに好きな作品を語るときの筆が冴えること冴えること。<br><br>舟を編む、とても読みたい作品です。<br>辞書を引くのが大好きなわたしを、ますます辞書好きにしてくれそうです。<br><br>これまた大森寿美男監督脚本で映画化されたりしないでしょうか。<br><br>三浦しをんさんのエッセイも大好きなんですよ。この方のユーモアのセンス、おおらかで、人間をよく観察していて、ひざを打つことが多いです。



Name
E-Mail
Title
URL
Icon [イメージ参照]
Key (英数字で8文字以内)
Color