「はやぶさ／ＨＡＹＡＢＵＳＡ」

岡山のＴＯＭ投稿日：2011年10月12日 17:04 No.1843

クライマックスでは泣ける、という評判を一つならず聞いていた。こういう映画で？　―― 大気圏突入の場面で「はやぶさ」に感情移入してしまうからなのだとか。　涙もろい私ゆえ、十分有り得ると思っていました。　自分もそうなればと願いながら、でも、期待しすぎず、” 腕前拝見 ” ぐらいの軽い気持ちで臨んだ本作。 噂に嘘はありませんでした。その箇所では、涙をこぼすまではいきませんでしたが、目尻に溜まっていましたし、先に周りの人がそうするから安心して鼻をすすったのは確か。実は、既に序盤で ” あ、これは何度も込み上げてきそうだな ” との予兆があったのです。そこまでの苦労が手際よく語られた後での、打ち上げのシーン。科学者であろうが、思わず手を合わせて神に祈る姿にじ～んとしましたし、近くの港から宇宙をめざして上昇していくロケットを見送る漁師が演歌の「帰ってこいよ」を口ずさむ所では、そのベタさがあまりにも合っていたので背中を弱電流が走る等、映画に惹き込まれたのを嬉しく自覚できましたから。 役者は個別に褒めていくのが大変なぐらい、誰もが良くて。高嶋政宏、佐野史郎、山本耕史、鶴見辰吾、生瀬勝久、筧利夫････等など。各人、モデルとなった人物がいる場合はその人へのなりきりをめざしたそうなので、オーバーアクトにならなかったのが好演の第一の要因かもしれません。ちょっと苦手な西田敏行もまあ普通に観ていられたし、ヒロインの竹内結子もなかなかでした。彼女は水沢恵という広報も担当する、チームの一員役。イラストにして擬人化し日記風に「はやぶさくん」を紹介していきます。そして、彼の声としてナレーターも務めていくのです。我が子にもこんな感じで読み聞かせしているのかな、と連想するぐらい心地よく耳に入ってきました。もちろん、「はやぶさ」に感情移入する大きな要因でもあります。 「はやぶさ」はミッションに成功し帰路に就くも、通信遮断で行方不明になったり、エンジンの重大なトラブルに見舞われたり････。ネットで観ながら茶の間で応援する一般の人々も、プロジェクトチームの皆と同じく一喜一憂。彼らの描写は、良いアクセントになっていました。また、７年以上にも及ぶ年月の経過を示す手段の一つとしても役立つ結果に。そろそろクライマックスに差し掛かろうという頃、岡山県の中和神社が登場してきたのは、嬉しいサプライズ。ロケがあった事など全く知らなかったので。 ２０１０年５月９日、７回目の、そして最後となる「はやぶさ」のバースデーがやってきます。翌６月の１３日、大きいのと小さいの、まるで親子のような光が夜空を流れていくのでした――。堤幸彦監督作品の中で、１、２を争うぐらい大好きな１本となりました。 　製作・配給は、ハリウッドの２０世紀フォックス。アメリカでは、この「はやぶさ」の偉業を日本以上に評価しており、十分映画化に値する出来事だと捉えているのでしょう。日本も負けじと、来年には２本も「はやぶさ」の映画を公開する予定ですが、今作は、” もうこれ１本で十分。他の２本は必要ないのでは ” というぐらいの素晴らしい出来でした。 エンドクレジットで、「はやぶさくん」のナレーション担当を水沢恵（竹内結子の役名）と表記しているのに気づき、つい、にやり。このところ、秀作に出合う確率が極めて高くて！　これから年末まで、あと何本、映画の感想をこちらに書き込ませてもらうことになるのでしょうか。

Re: 「はやぶさ／ＨＡＹＡＢＵＳＡ」　いまいまさこ投稿日：2011年10月16日 10:31 No.1844

TOMさん、怒濤の映画紹介ありがとうございます。 はやぶさ３連発、映画関係者の間ではよく話題になります。 まさかこれだけ重なるとは、とか、最初に公開するところがいちばん有利なんだろうか、とか、相乗効果はあるだろうか、とか。 全部見比べようという方も現れるかと思いますが、TOMさんがそれをやってくれるのではという期待も。（今は一本でおなかいっぱいのようですが） さて、気になる１作目の本編内容ですが、レポートを読むと、良さそうではありませんか。「はやぶさ」に感情移入して、祈る思いで観てしまうのですね。ひとつの「命」としてどう描かれているのか、興味をそそられます。堤監督のことですから細かいところでも楽しませてくれるのでしょう。


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