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「おにいちゃんのハナビ」
岡山のTOM 投稿日:2010年11月20日 19:33 No.1537
久しぶりの“映画の感想”です。 まず、お断りを。 主要都市での本作の公開はほぼ終っているようですし、一方DVDの発売までは少なくとも3~4ヶ月以上ある筈で未見の方が今この拙文を読まれてもその頃までにはほとんど忘れているでしょうから、映画の内容にもかなり具体的に触れます。 だいたいのあらすじを知っていた私でもそれが関係ないぐらい惹き込まれたので、そうしても大丈夫ではないかと思えるし、何より、書きたいのです。 書きとめておきたいのです。<br><br>始まりはテレビの或るドキュメンタリー番組でした。 新潟県小千谷市片貝町には、400年の伝統と世界一の四尺玉花火を誇る 『片貝まつり』 という、町民が様々な慶事を祝して、神社に奉納する形で花火を打ち上げる祭りがあります。 成人を迎えた兄が、亡き妹のため1年をかけて準備し、片貝まつりで花火を打ち上げるという実話が、5年前のその番組で紹介されていたのです。 このエピソードに心を打たれ、映画にしようと決意したのが、本作が劇場用長編映画デビューとなる国本雅広監督なのでした。<br><br>病弱な妹のため東京から引っ越してきたことで孤独な高校生活を余儀なくされ、とうとうひきこもりになってしまった太郎を演じるのは、高良健吾。 明るく病と闘い続け、兄をどうにかして元に戻そうと奮闘する華(ハナ)役に、谷村美月。 両親役は、個人タクシーをやっている大杉漣さんと、宮崎美子さんです。 ハナの願いは、片貝まつりで奉納花火を上げる成人会に兄が入る事と、家族4人揃って夕食をとること。<br> 兄妹役の高良健吾と谷村美月が、とにかく良いです。 特に、美月ちゃん。 あれを見るためなら何でもやってやろうとさえ思える、そんな笑顔で兄を応援していくのです。 これまでの出演作の中で一番魅力的に思えました。<br><br>実は、観る前は、そんなには泣かないだろう、と大した根拠もなく予想していたのです。 ━━甘かった。 念のため、ティッシュをすぐ取り出せるようにしていて、助かりました。 寄せては返す波のように、何ヶ所もで涙腺が優しく刺激されるのです。<br> 効果的な携帯の使い方にも、やられました。 昨年のマイ・ベストワン作品 「余命1ヶ月の花嫁」 のラスト近く、亡き千恵(榮倉奈々)からのビデオメッセージを観ながら太郎(瑛太)は号泣しますが、あれに匹敵するシーンが出てこようとは。 あ・・・・! 両作とも、同じ太郎ではないですか。 何だか、じ~んときました。<br><br>太郎(高良健吾)は、お金を納めて上げてもらうだけではないやり方でハナのための奉納花火を準備します。 そして、『片貝まつり』 の夜━━。 会場には、劇中の色んな場面で登場してきた人々が、奉納花火のそれぞれの主役として集まってきています。 何度も登場し優しく兄妹を見守ってくれていたおばあさんの88歳を祝って・・・、マイホームを持てたお祝い・・・、出産を祝して・・・、そして成人を祝う中学の時の同級生たち・・・・。 巧い構成に、両目は早くも決壊寸前です。<br><br>やがて、おにいちゃんの花火が、ハナの笑顔に負けないぐらいの明るさで夜空に大輪の花を咲かせるのでした。 遺影のハナが収められた額のガラスにも、まばゆく映りながら。 ここでの花火は、本場だけあってものすごく綺麗です! 花火大会などはあまり興味のない私ゆえ、最近の花火がここまで進化しているのにもびっくりさせられました。 いや、お見事! 最後に、ある人のためにも花火はオレンジ色の花を開かせるのでした。<br><br>エンディングでかかるのは、藤井フミヤの歌。 彼の曲が流された映画ではっきりと覚えているのは、ちょうど10年前の年末に大阪で観て大竹しのぶの名演に唸った 「天国までの百マイル」。 あれも、あんなに泣かされるとは思ってもいなかった1本でした。 2度あることは・・・・。 この次、フミヤの曲がどんな映画に使われるのか楽しみでなりません。<br> また、エンドクレジットを見て、ちょっと驚くと共に、深く頷くことに。 企画は、惜しくも昨年お亡くなりになった 「ディア・ドクター」 等の安田匡裕(まさひろ)氏だったのですね。 だから、こういうしっかりとした映画になったのでしょう。<br><br>昨年だったか、大杉漣さんがテレビのトーク番組に出演した際、「映画の役のため、この歳になって初めて運転免許を取りに行きまして」 とおっしゃってました。 確か2度くらい試験に落ちて、クランクインの直前に何とかぎりぎりで取れたのだとか。 「すぐ監督に “ 通りました!” と電話して、2人で泣いて喜んだものです」。 この作品の事だったのですね。<br><br>病院の屋上でハナが太郎に言った印象的なセリフがあります、「おにいちゃんの色はオレンジ。 優しくて、あったかいイメージだから」。 そういう映画でした。 優しくて、温かくて、心に残る━━。<br> 

Re: 「おにいちゃんのハナビ」 いまいまさこ 投稿日:2010年11月20日 21:09 No.1539 【Home】
TOMさんおひさしぶりです。<br><br>この作品、評判いいですよね。<br>わたしも何人かから「地味な作品だと思ったら、やられた」と聞きました。<br><br>花火の話は書いてみたいと思って資料を集めているのですが、<br>すでに傑作が生まれてしまったようですね。<br>花火の持つ美しさとはかなさ、その一瞬にいろんな思いがよぎります。<br><br>TOMさんの書き込みで安田さんの企画だったと知りました。<br>立ち消えになった企画をご一緒したご縁で、お世話になりました。<br><br>>「おにいちゃんの色はオレンジ。 優しくて、あったかいイメージだから」。 >そういう映画でした。 優しくて、温かくて、心に残る━━。<br><br>まさにそういう方でした。<br>



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