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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.11.20) Q 新薬開発に潜む社会病理? A 怪しげな開発経緯をたどった新型コロナワクチンが、なぜこれほどまで専門家と称する人たちに熱狂的に迎えられてしまったのか。『アルツハイマー病研究、失敗の構造』(カール・ヘラップ著、梶山あゆみ訳、みすず書房)という本も参考に、背景をまとめてみました。 2023年9月25日、アルツハイマー病の新薬が国内で認可されました。製薬企業のホームページには、「毒性の強いアミロイドベータをブロックし、脳内から除去して認知機能の低下を遅らせる、世界で唯一の薬」と説明されています。このニュースがテレビで報じられた折、「待ち望んでいた薬です」「これで認知症の治療が大きく変わる」との専門医のコメントもいっしょに紹介されていました。 この薬のランダム化比較試験について報じた論文によれば、認知症テスト(18点満点)を用い、症状の進行が1年半でどれくらい抑えられたかが評価されました(文献1)。結果は、この薬を使った人たちのほうで、プラセボ群より、わずか0.45点だけ進行が抑えられたというものでした。この結果に対し、「効果があったと言っても、家族も気づかないほど微々たるものであり、この薬の開発は失敗だったのではないか」との批判が殺到したのです(文献2)。 アルツハイマー病は、誰もが知っている病気です。進行すると、食事をしたこともすぐ忘れ、家族の顔も分からなくなり、ときに暴力的になるなどの症状が認められるようになります。脳に「アミロイドベータ」なる物質が溜まって起きる病気だとされてきたことから、着目されたのが、この異常物質を消し去る薬を作れないか、ということでした。 アミロイドベータ原因説が広まったきっかけは、1999年に米国の研究者がネイチャー誌に発表した論文でした。ラットを使った動物実験の結果があまりに明快であったため、世界中の研究者をとりこにしてしまったのです。しかしラットと人間は、同じではありませんでした。 実際、アミロイドベータを抑える薬も続々と開発されてきたのですが、いずれもうまくいっていません(文献3)。アミロイドベータをいくら抑えても、認知症の進行を止めることはできていなかったのです。 では、なぜ世界中の研究者と製薬企業が「アミロイドベータ原因説」にこだわり続けてきたのでしょうか。 新薬を発見したり、合成したりする基礎研究は大学などの研究者が担い、有望と判断される物質が見つかれば、ベンチャー企業の手に渡り、磨きがかけられます。その成果は、製薬企業によってそっくり買い上げられ、大規模臨床試験が始まる、という図式が定着しています。新型コロナワクチンの開発も、そうでした。 問題は、その背景にあります。流行のテーマにそって研究を行っている大学には、予算執行の権限を持つ行政機関も研究費を集中的に配分するようになります。その結果、名声を博した研究者は製薬企業から注目され、顧問として迎えられます。そして彼らのアドバイスで自信を深めた製薬企業は、大枚をはたいて大規模臨床試験にのめり込んでいったのではないか、というのが冒頭に紹介した本の主張です。 この本の著者は、自身がアミロイドベータ原因説に反対する立場の研究者でもあることから、その主張を全面的に認めるわけにはいきませんが、私がこれまで調査してきた情報と符号する部分をまとめれば、以下(※画像)のようになります。 (※画像)⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/alzheimer.jpg さて、新型コロナワクチンの問題にも似たような構造が背景にありそうです。ご意見をぜひお寄せください。 【参考文献】 1) van Dyck CH, et al., Lecanemab in early Alzheimer's disease. N Engl J Med, Jan 5, 2023. 2) Belluck P, New federal decisions make Alzheimer's drug leqembi widely accessible. New York Times, Jul 6, 2023. 3) Rubin R, Who should-and can-get lecanemab, the new Alzheimer disease drug? JAMA, Sep 27, 2023.           
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