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投稿者:小心者
〔精度の高い偏心計算をする改良理論法〕 計算精度に影響を及ぼして計算誤差を生じる時があります。 例えば、加力方向の角度を変えても、剛心位置に変化は無く一定のはずです。しかし、加力方向の角度を変えれば、変形状態も変わり、その変形から剛心位置が算出されるため、全く影響がないかというと(基本的には影響はないのですが)、計算誤差により剛心位置が正しくないところを示す場合が、不整形な建物の時に非常に稀にですが起こります。 そこで、現状の剛心計算手法(以下、“従来理論法”とここでは呼びます)において稀に起こる上述の弱点を改良したのが“改良理論法”と呼んでいる計算手法です。 〔改良理論法と各剛心計算手法に関するまとめ〕 剛心や偏心率の計算手法と適用範囲についてまとめると以下の通りです。 ① 技術基準による方法: 剛心や偏心率の計算において、柱、耐力壁とも、加力直交方向の剛性成分を無視している。よって、整形な建物(加力方向又は加力直交方向にのみ壁配置)以外には適用できない。 ② 従来理論法: 柱は加力直交方向の剛性成分を無視しているが、耐力壁は加力直交方向の剛性成分を考慮している。よって、通常の建物では問題なく適用できるが、耐力壁がX方向、Y方向共に全く無く、かつ柱が不規則に配置されている建物には適用できない。 ③ 改良理論法: 柱、耐力壁とも、加力直交方向の剛性成分を考慮している。加力方向(角度)が変わっても剛心計算結果に影響を与えない。よって、全ての建物に問題なく適用できる。 セットバックした高層建物(図 4-1)の事例は、平面的に整形な柱・壁の配置のため、上記①②③のいずれの方法を採用しても、剛心位置、偏心距離、偏心率等は同じ結果となります。剛心計算に違いが出る不整形な建物とは、耐力壁が斜めに配置された場合で、加力方向または加力直交方向に耐力壁が配置されている場合には違いは少ないようです。 *注意!「①技術基準による方法」は、不整形な建物に適用すると(適用範囲外の剛心計算方法のため)危険側になります。 大臣認定プログラムの性能評価においては、改良理論法が必須とされていますので、今後※1は、改良理論法による計算が一般的になってくるものと考えます。 <※1:本文は2011年(平成23年)の内容です。>
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