投稿者:名無し
松崎弁天さん(巨鯛嶋)
奉献額(延享2年=1745)
奉 納 京隆志撰
句 四季 さてもつめたい
折 ツララ おもへば
ミゾレ とふしや とふしやそ
にくい事かな
○ 炭かたつ 打つけていふのも とふやらはつかし
火吹所 まんぞく
ひろいせかいに
つめたい物 うきよ也けり
▢ 白い物 よるでも ひるでも
赤い物
ウ 拙(つたな)るは戸棚も添し嫁入荷 加劦金沢友川堂
ニ 二神の流をよごす墨ころも 長州萩大紋堂
ヲ 花のよもつみあるふたと五十萑(かん) 加州金沢三養堂
サ 深雪に塞がぬ窓や竹の袖 藝州山縣□堂
ニ 切植比のそしりはしりを鮒船 卅(そう)州白子窓風
ト せつかるく嬢(むすめ)がまづし恋やつれ 駿劦葱枝十文字
ウ 馴逢ふもあるに波をす嫁入船 加州金沢詠草扜(う)
同 九重に一重恵か年る行屋住ミ 駿今泉万歳堂
同 恋といふ一字露歌にひらく寺 加金沢法川堂
同 子の跡をとって栄る老おくら 濃州関的水
マ 琴の師へ末子の手土産 路茗荷 三州吉田若松堂
ウ 雨降てうけて智へたる初發心 塾田万里友廣舎
マ 二者には襷かけじと季を重ね 加金沢法川堂
ト 出智りて馴染ぬ井戸の水鏡 同所詠草軒
サ 名の流(はやり)夢は旅人のくすり箱 駿府ゑ保志
観世音
ニ 川越が負ひ奉る間ぜをん 藝廣島三打堂
ウ 聞度に懺悔のうまさ夢見草 同鳥取△□□
ヨ 不所咲桜に勝るさく桟けん 伊白子白梅
ヲ 其樹もうらおもてある腹かわり 越府竹雪
ヲ 置きたまふ扇は恋のはんじ物 江小枩呑酒
ニ 悟を踏まで近よれと月に雲 加金沢仙子
ウ 相中の髪を師とする尼衣 伯季白魚
ヨ 通ひ路の其関守へ鼻くすり 情立野寸虫子
ウ 若年の惚(ほれ)もこなひと□ 友 中ツ鉄石
句 腰の弓友かへしたる山御くら 小マツ竹林堂
ヲ 古道の千代を誉てし松の垣 伊上ノ若水
マ つゝ井筒より老そめて諸白髪 濃品方連水
ニ 新店へうつりかねたる暮寂 丹市場桜風
同 日参の訳はとなりへかよふ神 情シ木三笑
ヲ 釣鐘の施主には入らぬ桃灯屋 但竹田春風
ニ 我せごと芸にうそつく下り場 三思﨑指本堂
ヲ 印判に無念の□□川つ掛 駿□鹿入江堂
ウ 此度の母は拙者と同年 但出石扇風
折 辛籠の売のつもるゝ灰吹 加金沢中越堂
サ 傘の手も懐へ番かわり 同所廣小跡
ニ 宝には目も付ず顔美目ゑらみ 同所寸蛍子
ウ 全快を又わずらひし不養生 江舟木流水
同 ひのへ午かなたこなたの迠(しよう)からし 長萩大紋堂
同 青物を買にゆらるゝ鬼瓦 同島取△若
ヲ ふり袖も見る目の春のおそ桜 大カキ紅花
ニ 思ふまま蚊に責めさせて明の鐘 若西津品□堂
ウ 忌明て手代に付る夫の名 遠気賀五味堂
ヲ 口惜しや縁なき家に語り過ぎ 豆江奈古倫
ウ 捨た子の乳母にあり付く本の母 加金沢法川堂
同 はんどくに借用申文珠判 伊白子白梅
ヒ 初物も所在におくは雪ばかり 諸関テキ水
ウ 若主も銭のきれ目はせいかない 越府枩雪
ヨ 盲人の杖は借なき道しるべ 長萩大紋堂
サ 雁鳴いて夜気のむしも渡る声 □ 白子梅風
ト 我店の評判聞にひとり棹 中ツ舟流
ニ 源平よ我素戻りも九十九(つくも)勺(しやく) 加金沢棱同
ヲ 身の花も夢の間に姥さくら 同所里笑
ニ 根に帰しるとは釣迎す桜魚 同所法川堂
マ 静にてつみ下紐を時津風 侍三原若而堂
ニ 栁かとさはればひんと梅の枝 駿府桂花堂
ヨ 獅子ヶ谷四も五も言す六字浩 藝山カタ□堂
ニ 尼寺へそっと何漕かしのび □ 加金沢詠草軒
ウ 聟(むこ)かねを嫌ふて落穂ひろふる 同所山魏々堂
ト 舌打は秋か不足かきりぎりす 同所 自笑
ニ 御隠居はいかにも能衛な昼の思 駿長沢落□堂
ニ 諸願成就親の手前は斬まくら 堂藤枝十文字
ウ 御を請て我かよい路の垣をする 濃関的水
ロ つめたい物鶏の行身と両の耳 加金沢幅□
マ さし引も済して若水濁なし 遠気賀五味堂
サ 薪尽き火是もひへる小夜嵐 豆岩科琴領堂
マ 初産にひびく男子の梅太郎 〃 不醒
(一七四五) 願主
延享二乙丑歳 古倫
五月良旦 水巴
庭泉
延享年間
1744年から1747年までの期間を指す。
この時代の天皇は桜町天皇、 桃園天皇。
江戸幕府将軍は徳川吉宗、徳川家重。
今から272年前の額故に不明な点や訂正しなければならない点が多々あります。
平成29年四月 吉日 伊那下神社
(2017) 宮司 森清人