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投稿者:小心者
■ 構造上のバランスが悪いマンション 1) 平面形状または断面形状が不整形なマンション L 字型・コの字型や雁行型など不整形な平面形状の建物や、セットバックなどで断面形状が不整形な建物では、局所的に ・・・・ ※1。 2) 上層部と下層部で構造形式が異なるマンション 上層部と下層部とで構造形式が異なる建物 (例えば下層階が SRC 造・上層階が RC 造) では、構造形式が切り替わる付近の階で、 ・・・・ ※2。 3) ピロティ形式のマンション (1階の駐車場や店舗により壁が抜けているなど) 1階がピロティ形式や大区画の店舗などがある建物は、その部分に耐力壁が少なく、剛性率 (変形のしにくさ) が小さいため、変形が集中し、 ・・・・ ※3。 4) 細長い形状 (辺長比が大きい) のマンション 梁行き方向 (短辺方向) は戸境壁が耐震上有効な壁として機能する。これに対し、桁行き方向 (長辺方向) は、開放廊下やバルコニーに面して開口部が多く、耐震上有効な壁が少ない。 細長い形状のマンションでは、桁行き方向 (長辺方向) に地震力が伝わるのに時間差があり、桁行き方向 (長辺方向) の各部位において異なる動きとなるため、耐震上弱い桁行き方向に被害が ・・・・ ※4。 当マンションでは、 ※1・・・ Ⅰ, Ⅱ番館 ※2・・・ Ⅱ番館(1~6層SRC、7~8層RC造) ※3・・・ Ⅰ, Ⅱ番館 が該当します。 (※4は該当なし。) ■ 新耐震基準 (1981年6月施行) 現行の耐震基準は、300 ~ 400 ガル程度 (目安で旧震度6程度) の地表の揺れに対して終局強度設計 (ある程度の構造的損傷を許容し人命を守る設計 = 即座には崩壊しない設計) するという最低基準になっています。 これは、主に梁の端部が壊れて大部分の柱は健全なままで部屋の空間が確保され、地震動が終わったら建物内の人が安全に外へ避難できるような状態を目標としています。 このような建物で最悪の場合は、本震に近い大規模な余震が来れば倒壊に至る場合もあるというのが、建築基準法の最低基準の建物の性能と認識しなくてはなりません。 つまり、現行の耐震基準(耐震強度 1.0)のレベルは、大地震がきたとき、人命を守ることが最大の目的で、建物は、壊れて使用できないこともありえる ということです。 ■ 構造上のバランスが悪いマンション【補足】 1) 平面形状または断面形状が不整形なマンション 【 補足 】 建物の重量の中心点、すなわち建物の平面形状の中心点を重心といいます。これに対し、柱・梁・耐震壁などの水平力に対する抵抗要素の中心点を剛心といいます。この重心と剛心が離れている場合を偏心といいます。 地震の力は各階の重心に作用することになりますので、偏心の大きな建物では、地震時には外力への抵抗要素 (柱・梁・耐震壁など) の中心点である剛心を中心にねじれ (回転変位) が生じ、部分的に過大な変形を強いられる部材が生じます。 2) 上層部と下層部で構造形式が異なるマンション 【 補足 】 耐力の急変や、復元力特性の差異などにより、切り替わる付近の階に被害が集中する恐れがあります。 3) ピロティ形式のマンション (1階の駐車場や店舗により壁が抜けているなど) 【 補足 】 建物各階の構造部材の水平外力に対する抵抗の度合い、すなわち変形のしにくさを剛性 (ごうせい) といい、各階の剛性 (水平方向の変形しにくさ) が建物全体のそれと比べてどの程度かを示す指標を剛性率といいます。 1階がピロティ形式の建物は、ピロティ部分の剛性率が極端に低くなるため、地震力による変形がこの部分に集中し、ピロティ柱が破壊される恐れがあります。 マンションの場合、ピロティの柱は、上部の戸境壁 (耐震壁) が柱を鉛直に押し込む軸方向力が大きく働き、柱が潰れる形で壊れる (圧壊する) 恐れがあります。 4) 細長い形状 (辺長比が大きい) のマンション 【 補足 】 辺長比 (長辺長さ / 短辺長さ) > 10 となるような場合では、短辺方向と長辺方向との耐震壁の偏在により、ねじれが生じやすくなり、耐震壁の少ない長辺方向に被害が集中する恐れがあります。 しかし「バランスが悪いマンションは全て弱いのか」というとそうではなく、設計段階から充分な対策を取り且つ万全な施工で変形に耐える粘り強い造りにしてある(※5)ならば安心です。 故に、余程のこと(設計・施工のミス、手抜き、劣化による著しい耐力低下、など)が無い限りに於いては安全であると言えます。 ● (※5)本当に「してある」なら、少しは安心できるのですが・・・。
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