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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析し日々更新  正しい情報を偏りなく (2022.12.12) Q 政府に間違った情報を提供したのは誰なのか?  次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/newinfectionsimulation.jpg )をご覧ください。これは以前、当ホームページに掲載したもので、第2波における毎日の新規感染者数(棒グラフ)と、私が作成した数式でシミュレーションした結果(点線のグラフ)を重ねて表示したものです。シミュレーションに用いた数式は、できるだけ実際の統計データに一致するように調整したものです。 この数式には、「海外から入ってくる1日当たりの感染者数」が含まれています。その値を1人から15人まで少しずつ増やしていくと、国内の新規感染者がどれくらい増えていくかを計算し、その結果もいっしょに表示しました(実線のグラフ)。 実は、このシミュレーション結果が正しいのかどうか、私にもよくわかりません。 なぜなら、このように、実際のデータと見かけだけ一致するだけでよいなら、数式はいくらでも作り出すことができるからです。つまり研究者が作成した数式によるシミュレーションの結果だけで「何かを判断」したり、あるいは「重大な決定」を下したりするのは無意味であり、ときに危険だということなのです。 国内には、コロナ関連のシミュレーションを行っている研究者が何人かいて、テレビなどにも登場しています。そのお一人が、ある学会主催の講演会で述べたひと言が気になりました。 自分の研究内容が内閣府の目にとまり、「内閣官房新型コロナウイルス感染等対策推進室 COVID-19 AI・シミュレーションプロジェクト」という長い名前の組織の一員にされた、という話なのです。ある日、政府高官に呼ばれ、専門家会議の代表もいるところで「シミュレーションで感染者増加の予測や行動制限の効果が予想できること」、「ワクチンの有効性を証明できたこと」の説明を行った、ということでした。 その研究者が書いた論文には、デルタ株に対するワクチンの有効率として、「1回接種した人は60.5%、2回接種した人は75.6%だったこと、およびオミクロン株はデルタ株に比べて64.5%に低下したこと」を海外の文献から引用して、数式に代入したとありました。 しかし、この主張には2つの疑問があります。まず、数式にインプットした「有効率」が、すべて「後ろ向き調査」※の結果でしかなかったことです。この調査方法の欠陥はすでに繰り返し述べてきたとおりです。二つ目の問題は、数式に予め有効率を与えておき、それをもとにシミュレーションを行えば、「ワクチンは効いていた」という結果になるに決まっている、ということです。 (※:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2212#2376 ) (※:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page2172#2808 ) シミュレーション理論は難解ですから、政府高官には結論だけが伝わったはずです。もし、そのことが、ワクチン接種を狂信的なまで国民に強要してきた政府方針につながっていたのだとすれば、由々しき問題です。 ただし、内閣府の中での出来事は、他人にはうかがい知れないことです。新型コロナウイルス感染症に関わるシミュレーション研究を行っている方々には、この素朴な疑問に対し、どうぞSNSなど公開の場で反論していただき、もし私の理解に間違いがあれば正してくださるようお願いします。 【参考文献】 1) Furuse Y, Simulation of future COVID-19 epidemic by vaccination coverage scenarios in Japan. J Glob Health, 11, 05025, 2021. 2) Tsuruyama T, Nonlinear model of infection wavy oscillation of COVID-19 in Japan based on diffusion kinetics. Sci Rep, 12:, 19177, 2022. 3) Tran V, et al., Tweet analysis for enhancement of COVID-19 epidemic simulation: a case study in Japan. Front Public Health, Mar 31, 2022. 4) Kodera S, et al., Estimation of real-world vaccination effectiveness of mRNA COVID-19 vaccines against delta and omicorn variants in Japan. Vaccines, Mar 11, 2022. 5) Kodera S, et al., Estimation of mRNA COVID-19 vaccination effectiveness in Tokyo for omicron variants BA.2 and BA.5: effect of social behavior. Vaccine, Oct 28, 2022. 6) 新型コロナワクチンの接種状況に関するオープンデータ仕様 政府CIOポータル, accessed on Dec 11, 2022. 7) Tartof SY, et al., Effectiveness of mRNA BNT162b2 COVID-19 vaccine uo to 6 months in a large integrated health system in the USA: a retrospective cohort study. Lancet, Oct 4, 2021. 8) Andrews N, et al., Covid-19 vaccine effectiveness against the omicron (B.1.1.529) variant. N Engl J Med, Mar 2, 2022. 9) Thomas SJ, et al., Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine through 6 months. N Engl J Med, Sep 15, 2021. 10) Zeng B, et al., Effectiveness of Covid-19 vaccines against SARS-CoV-2 varinats of oncern: a systemic review and meta-analysis. medRxiv, Sep 26, 2021. 11) Buchan SA, et al., Effectiveness of COVID-19 vaccines against omicron or delta symptomatic infection and severe outcomes. medRxiv, Jan 28, 2022.        
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