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投稿者:KZ
今週の『東京歌壇/俳壇』から   (東京新聞) ☆上新粉が蓬に会ってつややかな緑に染まる時のときめき            横浜市  鈴木綾子 ⚫︎小さな瞬間の鮮やかな美しさ  その変貌にときめくこころの繊細 ☆始業式の新担任の発表に子らのどよめき微妙な違い            八王子市  赤羽克己 ⚫︎これからの一年 さてどんなクラスになるのだろう  本当はそれ 重大な岐路なのである。 当の子どもたちは それをよく知っている。 わかってないのは 超鈍感な大人たちだけ! ☆お彼岸の入りに二ヶ所の墓参り済ませ日曜競馬に向かう            青梅市  増田正 ⚫︎どちらも大切な行事なのですね 二ヶ所のお参りのあと 清清した気分で勝負に向かう  お父さん 幸多かれと(笑) ☆一ヶ月だけの休職抱き締める仔猫を拾ってしまったように            江東区  牧角うら ⚫︎思わぬ いとしい休暇なんですね  どうぞたいせつに  ほんとうに好きなことだけに使ってください ☆二時間の映画の字幕を見たのちの庭園 無尽蔵のゆきやなぎ            北区  土居文恵 ⚫︎ほんとうは そのユキヤナギの茫漠の方にこころ惹かれている自分 このひとの 独特の感覚(詩情)が溢れている一首   真似をしようにもできない歌なのです ☆シュレッダーに息をひそめて消えていく文字が美しいひとのメモ            京都市上京区  みおうたかふみ ⚫︎静かにこの世界から消えてゆく価値 誰にも見過ごされ消えてゆく美しい文字たちよ ☆ラーメンの三分を待つときに見る虚空がいちばんあったかい虚空            八王子市  吉村のぞみ ⚫︎なるほどの新発見 ですね  無心のあたたかさをそこに感じる時空 つかの間の虚脱に 永遠を観ているひとのこころ ☆知るほどに世界はヒトに都合よくプールの底の時計を見てる            福岡県古賀市  砂山ふらり ⚫︎ありそうで無かった水底の時計  なるほどなあと 今度はなお 「時」に絡めとられるのかもしれないけれど ……… ☆天使領ほどの真青のシート置く人の気配のせぬ家の屋根            『天使領』 (角川書店刊)より  三井修 ⚫︎こういう景色を あちこちで見るようになった気がします  天災の国 日本 これは天使の領分が増えたのかもしれぬと 詩人は感じている  その青さに嘆いてもいる ☆あたたかくなってくるのはありがたい母がなにかをゴシゴシしてる            『沼の夢』(左右社刊)より  工藤吉生 ⚫︎なるほど  良い季節になったんですね♪ 母のゴシゴシに ふと安んじているこころ … ☆ぶらんこの裏まで見せて跳びにけり ☆林檎むくまあるくほどけゆく時間             『四神』(朔出版刊)より  蜂谷一人(はつと) ⚫︎元気のいい跳躍です  ケガしないように気をつけてね  (うちのやんちゃ坊主は かつてこの大飛行で骨折してしまいました💦) ⚫︎あのリンゴの丸い皮むきは じつは実りまでの時間がほどけてゆく姿だったんですね! よく見ると 世界はたくさんの発見に充ちているものらしい ……… ☆麗らかや皆寝そべりてカンガルー             国分寺市  野々村澄夫 ⚫︎なんとものんびりと 平和でうららかで カンガルー日和とでも呼ぶのでしょうか ☆スプリング・ハズ・カムみんなちょっとねむい             富士見市  紡ちさと ⚫︎こういう把握が じつは詩を呼んでいるのですよね  ただの春の眠気じゃあなくてね ☆妣(はは)の名は片仮名二文字草の餅             川口市  高橋まさお ⚫︎ハルさんとか キクさんとか ですね やはり美味しい草餅を作ってくれそうな 日本のお母さんですね ☆トンネルが春を突き抜けゐたりけり             杉並区  土方けんじ ⚫︎陽気が良くなって いまやドライブも快適です この隧道も 春を突き抜けるような勢いなのです ☆庫裡(くり)の奥筆乾かしてある彼岸かな             練馬区  木津川珠枝 ⚫︎乾く間もなく また卒塔婆など書くのでしょうか まさしく 坊さんの書き入れ時に ☆春霖(しゅんりん)や花豆とろと煮くづれて             大阪市東成区  すずしろゆき ⚫︎菜種梅雨にこの一句   さして甘党でなくとも このとろとろには おもわず惹き込まれそうであります! ☆薫風や胸のすくほど恋破れ             入間市  砂狐 ⚫︎それにしても… みごとに振られましたなあ(笑) 男の子だ 涙はふりきって 新しい明日に生きようぜ   (女の子かもしれないけれど… まあ 同じことですから) ………           
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