投稿者:宮沢賢治
父親のことで同級生たちにからかわれている孤独な少年ジョバンニは、ある夜、ひとりで星空を眺めていた。
すると「銀河ステーション」というアナウンスとともにまぶしい光に包まれ、気が付くとカムパネルラとともに銀河鉄道に乗り込んでいた。
2人は銀河鉄道に乗って、星を巡る旅を楽しみ、そこでさまざまな考えや生き方をする人々に出会う。
旅の終わり、2人は旅の途中で聞いた「本当の幸い」のために一緒に歩んでいこうと誓うが、カムパネルラは意味深な台詞を残して、いつの間にか姿を消してしまう。
カムパネルラが残したのは、「僕のお母さんは、僕を許してくれるだろうか。わからないけれど、誰だって本当によいことをしたら幸せなんだ。だから、きっとお母さんは僕を許してくれると思う。」という意味の言葉。
夢から覚め、ひとり草むらで目を覚ましたジョバンニが町へ向かうと、カムパネルラが川に落ちたザネリを助けようとして溺れてしまい、行方不明になったことを知る。
そしてその瞬間、カムパネルラの言葉が何を意味していたのかを悟る。自分は死んでしまったけれど、友を救うという良いことをした。だからきっと、僕が死んでしまってもお母さんは許してくれるだろう…。
カムパネルラの父親は、ジョバンニに、ジョバンニの父がもうすぐ帰ってくるという手紙が来たことを告げる。ジョバンニが、父からの知らせを持って母の元へ帰るところで物語は終わる。
物語の解釈
孤独で世界に居場所のない少年ジョバンニが、銀河鉄道の旅を通して、みんなの幸せのために尽くすことが生きる意味であると悟るまでを書いた、哲学的なストーリーです。
一緒に旅をするカムパネルラは、自らの命を犠牲にして友人を救いました。この姿が、ジョバンニに生きる意味を気付かせるきっかけになります。
さらに、ジョバンニにとって大きな孤独の原因であった父親が帰ってくるという知らせを受け、物語序盤では世の中に居場所のなかったジョバンニが、物語の最後では、生きる意味と自分の居場所を取り戻して、自分の家へと帰る姿が描かれています。
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