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投稿者:リワキーノ
数日前に寝屋川市駅から電車に乗るのにそれに間に合うバスがだいぶ速く着くので、駅近くの寝屋川市立児童図書館を覗いたところ、『飛ぶ教室』(エーリッヒ・ケストナー著)を見つけました。 ドイツのギムナジウム(高等学校)の寄宿舎でのクリスマスシーズンにおける少年たちの物語で、私が小学生のころ、夢中になって何度も何度も読んだ本です。 大人になっても図書館で借りて(その本は甥たちの手に渡り、その後行方不明になった)読むことがありましたが、ここ40年間は読んでおらず、とても懐かしく思って借りてきて読んだのです。 面白さは変わらず、朝の寝起きのときに床の中で二日に分けて読みました。 ケストナーの児童向け作品は他に『エミールと探偵たち』とその続編『エミールとかるわざ師』『点子ちゃんとアントン』などを読んだのですが、いずれも第二次大戦が勃発する前の平和なドイツでの子どもたちの日常生活が生き生きと描かれており、私はとても魅了されたものでした。 そして大人になってからは、これらの作品が書かれてから10年経たないうちにヒトラーによって起こされた世界大戦にこの物語の少年たちの同世代の若者たちが戦場に駆り出されたであろうことを思うと暗澹たる思いにもなったので、今のウクライナ紛争を見るとき、同じ思いになります。 自由主義と民主主義を尊ぶ作者のケストナーはファシズムを非難していたためにナチスが政権を取ると執筆活動を禁止され、やがてはナチスによって反政府的とされた他の作家たちと共に焚書の目に遭うのです。 ナチスはケストナーを拘束したかったようですが、国民の人気が高いために、民衆の反撥を招くことを恐れてそれはしなかったようです。 ケストナーはドレスデンの出身なのですが、戦前からベルリンに居た彼は東西ドイツ分断でドレスデンに住む母親とは離ればなれになります。 しかし亡命せずに反ナチを貫いたケストナーを東ドイツ政府は高く評価し、母親に対して手厚く保護したそうです。 本のあとがきに、阿川佐和子さんが『飛ぶ教室』の大ファンで、若い頃に小学校の図書室にアルバイトで働いていたころ、生徒たちに相談を受けるといつも『飛ぶ教室』を勧めていたことを記してました。 阿川さんが子どものころ読んだ『飛ぶ教室』は講談社の世界名作全集の中の「ドイツ編」で『飛ぶ教室』『エミールとかるわざ師』『点子ちゃんとアントン』がセットで収納されているのです。 私が何度も読み返したのはこの全集もので、その挿絵が好きだったのでもう一度手に入れたく思ったのですが、64年前に出版された本なので無理だろうなとダメ元でAmazonで調べたら何と出てきたのです! しかも961円。即、注文しました。 たまたま児童図書館に寄ったことで懐かしい少年時代の本がまた手に入ることにとても幸せな気持ちになっています。 本が届いたら挿絵なんかを紹介しますね。
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