投稿者:小心者
■ 国民の生死に関わる大問題です!(新・旧震度階級の混同!)
現行の耐震基準は、300~400ガル程度の地表の揺れに対して終局強度設計(ある程度の構造的損傷を許容し人命を守る設計)するという最低基準です。
● 1996年以前(気象庁震度階改定以前):
建物の安全限界の加速度 300~400gal ≒ 震度6-7境界の地動加速度 400gal
⇒ 「震度6-7(境界:400gal)まで倒壊等の被害が生じない」と言える。
● 1996年以降(気象庁震度階改定以降):
建物の安全限界の加速度 300~400gal << 震度6強-7境界の地動加速度 800gal(※1)
⇒ 「震度6強-7(境界:800gal)まで倒壊等の被害が生じない」とは全く言えない。
となります。以上の安全限界の話は、地表面地震動ではなく、建築物への真の地震入力の震度で、且つ構造躯体(「建築物の構造耐力上主要な部分」)のみの耐力の場合であり、且つ標準せん断力係数C0=0.2、C0=1.0の構造計算をしている場合です。
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(※1)卓越周期(※2)0.6秒の場合。
(※2)卓越周期・・・・・卓越周期とは、地震の揺れは「振幅」と「周期」に分けて考えることができる。「振幅」は地震の揺れの大きさ、「周期」は地震の揺れの往復する時間。そして、この地震の振幅と周期は地盤によって差があり、軟らかい地盤では振幅が大きく(周期が長くなる)、硬い地盤では振幅が小さい(周期が短くなる)傾向がある。このような地盤がもつ揺れの周期の特性を「卓越周期」と呼んでいる。
地盤の「卓越周期」と建物ごとに違う「固有周期」が一致してしまうと、「共振」をおこし、建物が一層大きく揺れ、最悪、倒壊につながる。
なお、RC造の建物の固有周期(秒)は、建物高さ(m)x2%で概算できる。(概算例:Ⅱ番館高さ25mx2%=固有周期 0.5秒となる。)
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◇ 耐力として余裕があるか
●有利な話
・余裕を持って設計している場合
・不静定次数が高い場合
・地震入力方向については、建物にとって有利な方向(正方形建物の場合 45度入力等)で入力する場合
・「建物と地盤の相互作用」が有利に働く場合
●不利な話
・余裕を持って設計していない場合も多い → が殆ど
・不静定次数が高くない場合
・設計、施工のミス(手抜きの場合もある) → 現実に多い
・使用上の問題、経年劣化
・地震入力方向については、建物に不利な一方向で入力する場合もある
・「建物と地盤の相互作用」が不利に働く場合もある
・31m以下の建物で、不整形(剛性率・偏心率が規定値外)で無い場合は、標準せん断力係数C0=1.0の計算をしていない場合が多い → 法で不要のためしない
結局、不利な話も考えると、有利な話だけをしていては大変危険です。
■ 現行の建築基準法通りの建物の「安全限界」は震度6弱程度ですから、
・「震度6弱」から危険レベル
・「震度6強」では「安全限界」を超え、(建築物が倒壊・崩壊等しないという)安全が保証されない
状態になります。
然るに、関東・東海・近畿等の広域で「震度6強以上」の地震発生が予測されています。
上記の「安全限界」の問題が連動するのは「標準せん断力係数=0.2」であり、その概念自体は、関東大震災直後の 1924年の「市街地建築物法施行規則改正」以来一貫してきたもので、今年で93年となります。
※現在の余裕の無い状態、というよりも “不足” している状態が解消されない限り、地震被害は無くなりません。