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投稿者:はっちん
【元記事:https://digital.asahi.com/articles/ASN484G0RN3SPLZU001.html?pn=8】 新型コロナで注目の「免疫系」 戦う力を下げないコツは 2020年4月11日 9時00分 新型コロナウイルス感染拡大が気になる中、「免疫力を高める」というフレーズをよく聞くようになった。コツがあるなら知りたいところだが……。  「(あまり)病気をしない暮らし」の著者、大阪大の仲野徹教授に尋ねると、まず「免疫力」という言葉は医学用語にはないと指摘された。病原体から体を守る仕組みの「免疫系」はとても複雑で、その働きは一つの指標で測定できるものではない。免疫力が具体的に何を意味しているのか不明で、「私はその言葉を使わない。記事でもできるだけ使うべきではない」と釘をさされた。  身の回りに病気を起こす病原体がいても簡単には病気にならないのは、体に防御の仕組みが何重にも備わっているからだ。たとえば、気道や腸の粘膜は物理的に病原体の侵入を防ぐだけでなく、病原体を殺す物質を含む液を出す。唾液(だえき)や涙、汗にもバリアーとしての役割がある。  バリアーを乗りこえて体内に病原体が侵入すると、さまざまな種類の白血球が待ち構えている。その一つ、マクロファージは病原体を殺す物質を出したり、病原体や感染した細胞を食べたりする。また、別の白血球であるリンパ球に「敵がきた」と警報を伝える働きもある。これらは第一段階で働く「自然免疫」と呼ばれる。  第二段階の高度なシステムが「獲得免疫」だ。過去に侵入してきた病原体を覚えていて、その病原体が再び入ってくると素早く排除する。 血液中の細胞数は変化  こうした体を守る仕組みに注目してPRした商品も見かける。商品の効果をうたうために、血液中の特定の免疫細胞を測って「増えた」と示している例も見られる。血液中の免疫細胞を調べるのは、血液以外から免疫細胞を採取するのは簡単ではないためだが、免疫細胞すべてが血液中を循環しているのではない。臓器の中で重要な役割を果たしている細胞もいる。また血液中の免疫細胞の数は、時間によって変化する。測定が朝か夜かによっても変わる。  免疫細胞は協力して敵と戦っている。大阪大の宮坂昌之招へい教授(免疫学)は「免疫系は多くの部品をもった機械のようなものだ。それぞれの部品(免疫細胞)を調べても機械全体の性能はわからない」と指摘する。特定の食品などで免疫系の働きを上げる秘策はなく、働きが悪くならないように維持することが大切だ。  免疫系の働きが悪くなる要因としてストレス、栄養や睡眠の不足が知られる。  米カーネギーメロン大は、健康な人が普通のかぜのウイルスにさらされる実験を行い、ストレスが少ないと感じている人は症状が出ない傾向があると報告した。  ストレスがかかると、血圧や体温が上がり、筋肉が緊張し、副腎皮質ホルモン(ステロイド)が分泌される。過剰に働くと、リンパ球の働きを抑えたり、睡眠障害を起こしたりする可能性がある。 「自分にとって楽しい」が重要  ストレスや不安を感じている人のために、米疾病対策センター(CDC)が勧めるのは、栄養バランスのとれた食事、十分な睡眠、運動だ。友達や家族と連絡をとったり、リラックスして深呼吸したりするなど、自分にとって楽しいことをすることも必要だという。  宮坂さんによると、免疫細胞は骨髄や胸腺で作られ、血管やリンパ管をいったりきたりする。すみやかに流れるように、ウォーキングやストレッチなどでゆっくり筋肉を動かしたり、お風呂などで体をあたためたりすることもお勧めだ。食事もゆっくり食べ、一休みして散歩に行くとよいという。禁煙し、お酒の飲み過ぎにも気をつけるといいという。当たり前のことばかりだが改めて自分の生活を見直してみたい。(瀬川茂子)    
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