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投稿者:浩泉丸
称:久留米正字(石持桐極印銭)は赤い銅質が多いのですが、今回の入手品は見れば見るほど石持桐に思えてきました。結構いい値段を支払ったのですが、石持桐で白なら納得です。色は黄白色で着色や鍍銀ではなく地金そのものの色で、真っ白ではないものの白銅銭と言って問題ないレベルです。肉厚で重いところなどは石持桐っぽくないのですが、それでもその可能性が捨てきれません。本来なら本稿で考察すべきなんですが皆様のご意見もお聞きしたくここに投稿した次第。背異替などでは白銅質(だと思われる金質)はみたことがあるのですが、正字濶縁で白いものは聞いたことがありません。(そもそも黄色い正字濶縁も聞いたことがありません。) 石持桐については存在数と言い、銭籍と言い謎が多い品。九州に多いことから久留米、大量にあることから水戸藩はもちろん、会津に代表される佐幕派の藩や倒幕にかかわったであろう雄藩(佐賀藩あたり)なども考えられます。 石持桐極印銭は赤い銅質が示すように鉛が12~13%含まれているだけでなく、亜鉛が6~7%も含まれているという分析結果が天保銭の鑑定と分類に掲載されています。この亜鉛という金属は當四文銭に使用されていたものの当時の日本国内では精錬技術が確立していなかったため、入手困難な輸入金属だったはずです。銅の溶解温度より沸点が低いため鋳造時に揮発して金属爆発を起こすことから温度管理が難しく、真鍮銭の鋳造を行っていた銀座関係以外では扱うことはもちろん、原料としての調達も難しかったはずなのですが・・・。このあたりが出自解明のカギになりそうな気もします。 ※鋳造に銀座関係者がかかわったとか、原料として當四文銭を使用したことが考えられますが・・・技術的には(溶解の途中で金属爆発を起こしかねないため)かなり難しい気がしますが、私は金属の専門家ではないのでこの点もご存知の方は教えてください。この爆発問題があるため亜鉛含有の江戸期の貨幣は民間レベルでは鋳造が難しく、亜鉛含有の江戸期貨幣の多くは明治後期以降の作であるという考えを私は持っていました。唯一、そして最大級の謎が石持桐極印なのです。さらに、この類には錫母が存在する(らしい)という謎もあります。錫母についてはその技術を知っている関係者は限られているらしいからなのです。
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