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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.7.31) Q 今後、コロナのワクチンはどう考えればよいのか? A 「最初の2回のコロナワクチンを打っていない人は、なぜオミクロン株のワクチンを受けられないのですか?」とのご質問が届きました。今回は、この問題にまつわる話題を取り上げます。 厚生労働省のホームページには、次のような説明があります。「従来の1価ワクチンによる初回(1回目と2回目)接種を終えた方を対象に、オミクロン株対応2価ワクチンによる追加接種を実施しています。・・・・・接種が受けられる期間は令和6年(2024年)3月31日まで。」 1価のワクチンとは、2019年の暮れに中国武漢市で最初に流行した新型コロナウイルス(武漢株)の遺伝子配列を元に、製造されたワクチンのことです。対象となるウイルス(抗原)が一種類だけなので、1価と呼ばれています。 理由は、「1回目と2回目を終えた人だけを対象にした臨床試験しか行われていないから」というものです。厚生労働省が挙げている臨床試験は2つあり、どちらも米国で行われたものでした。臨床試験の対象者を選ぶに当たり、ワクチン未接種の人が少なかったことと、1価のワクチンも販売を続けたいから(あるいは在庫がダブついていたから)というメーカーの思惑もあったかもしれません。 しかし、その米国では、国の機関である米国食品医薬品局(FDA)が、「1価のワクチンは使用停止し、すべて回収する。この処置は、ワクチン接種の際の混乱を避け、ミスが起こらないようにするため」と、明言しているのです。 では、1価ワクチンと2価ワクチンには、どんな違いがあるのでしょうか。 2価ワクチンには、1価ワクチンの成分もそのまま含まれていますので、基本的な違いはありません。したがって、1価ワクチンを先に受けていなければ2価ワクチンは受けられないという説明には、医学的根拠がないことになります。 実は、2価ワクチンにも2つの種類が存在していました。旧聞に属しますが、オミクロンの流行には、BA.1とBA.2、それにBA.4とBA.5とがありましたが、ファイザー社とモデルナ社がオミクロン株対応のワクチンを試作しFDAに申請したころには、前者の流行がちょうど終わりかけていました。そこで専門家会議は、両メーカーに対し、BA.4とBA.5に対応したワクチンに作り直すよう指示したのです。 当時、日本政府が慌てて発注した2価ワクチンは、実はこの流行遅れのほうだった、という逸話を、以前の当ホームページで紹介※1しました。さらに言えば、BA.4、BA.5変異株の流行もすでに終息し、いまはXBBなど、さらに新しい変異株が主流になっています。 (※1:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_covid.html#PQ12 の(10)オミクロン用のワクチンは大丈夫? を参照) (※1:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3197#3566 ) 1価ワクチンと2価ワクチンの効果の違いを具合的に検証した研究が、いくつかあります(文献3,4)。それらによると、新型コロナウイルスの各変異株に対する効果(中和抗体の産生や免疫細胞の反応)に、まったく違いがないことがわかっています。2価ワクチンにはオミクロン株の成分も入っているにもかかわらず、同株に対する効果が1価ワクチンを打った場合と同じだったのです。 次のグラフ(画像⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/bivalent.jpg )は、2種類のワクチンをそれぞれ打つ前と打ったあとで、中和抗体がどうなったかを比較したものです。グラフ上は、2価ワクチンを打ったあとの抗体価が少し強くなっているようにも見えますが、個人差も大きく、統計計算で有意差なしと判定されています。 2種類のワクチンで差が出なかった理由もあきらかになっています。 2023年1月9日付の当ホームページでも紹介した「敗者は抹殺せよ」理論※2にしたがって、先に接種したワクチン(抗原)の情報が、免疫細胞に強力に記憶されます。一方、あとで、形状がわずかに異なるだけの抗原(オミクロン株ワクチン)に遭遇すると、免疫反応が起きないようにブレーキがかかる仕組みになっているからなのです(文献5)。「似たような抗体が無数にできて混乱しないようにするため」の仕組みではないか、というのが私の推論です。 (※2:記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_part2.html#PQ18 の第3回 敗者は抹殺せよ! を参照) (※2:記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page3708#3873 ) 以上、専門的な話題が続きましたが、今後、コロナワクチンをどう考えていけばよいのかを以下にまとめました。  (1) 1価ワクチンによる初回接種は、令和6年(2024年)3月31日まで受けること    ができるが、市町村から郵送される接種券とマイナンバーカードなどが必要  (2) 1価ワクチンと2価ワクチンはどちらも効果が同じであり、両方打つ意味はない  (3) ワクチン接種よりも、実際に感染した人のほうが免疫がつきやすく、その後の    予防効果が少しだけある  (4) それにもかかわらず、一度感染した人も再び感染しているという実態がある  (5) 当ホームページで紹介してきた数々のエビデンスから、どのワクチンも効果が    証明されておらず、かつ副作用も深刻であることがわかっている  (6) したがって、どのコロナワクチンも、またいかなる場合であっても、あらためて    打つ理由は見いだせない 【参考文献】 1) COVID-19 bivalent vaccines. FDA, May 30, 2023. 2) Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccines. FDA, Jul 14, 2023. 3) Wang Q, et al., Antibody responses to Omicron BA.4/BA.5 bivalent mRNA vaccine booster shot. bioRxiv, Oct 24,2022. 4) Ai-ris Y, et al. Immunogenicity of the BA.5 bivalent mRNA vaccine boosters. bioRxiv, Oct 25, 2022. 5) Offit PA, Bivalent Covid-19 vaccines - a cautionary tale. N Engl J Med, Feb 9, 2023.        
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