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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.11.13) Q いまの常識、後世の非常識? A ユーチューブなどの動画サイトが、コロナワクチンに反対する記事や動画を削除してきたのは、広く知られているところです。なぜ削除するのかという問いに対して動画サイトの運営会社は、「WHOが決めたことに反対する行為は認められないから」と答えています(文献1)。 この方針がさらにエスカレートしました。2023年11月5日付け朝日新聞によれば、「根拠のないがん治療の動画」もユーチューブが削除することにしたとのこと。「ニンニクやビタミンCでがんが治る」、「抗がん剤は命を縮める」など誤った動画が人々を惑わせ、治療の機会を奪っているのではないか、というのです。 がんは、フリーラジカルと呼ばれる過酸化物が発生原因のひとつになっています。そのため抗酸化物質が予防に有効なのですが、ビタミンCやニンニクに含まれるビタミンB1はその代表です(文献2)。つまり、ユーチューブが削除した情報も、あながち間違いとは言えないのです。 一方、抗がん剤にはいろいろな種類があり、昔から使われてきたのが「化学療法剤」です。臨床試験は、どれも対象者数が極端に少なく、ランダム化比較試験にもなっていないなど、信憑性に乏しいものばかりでした。「化学療法剤が命を縮める」というデータもありました。実際、分子標的薬など新しい治療法の研究が進んできたこともあり、米国などでは昔ながらの抗がん剤はほとんど使われなくなってきています(文献3)。 さて、「昔は常識だったことが今では非常識」という事例がたくさんあるものです。しかし、その判断は簡単でなく、正解にたどり着くまでに長い時間の流れが必要でした。 医学も例外でなく、長い年月をかけた学問論争を経て、正しい方向に収束していくという歴史を辿ってきました。たとえばタバコの害についての論争がそうです。タバコが肺がんの原因であることは、いまでは疑いようのない事実ですが、過去、大騒動があったのです。 紙巻きタバコが世界中に広まったのは昭和の初期。タバコ産業は、ハリウッドのスターたちに大金を渡し、映画の中でカッコよく吸って見せるよう依頼していました。大スターだったゲーリー・クーパーもそのひとりでした。 それどころか当時の米国では、タバコ産業が医師たちにお金を払い、「タバコは健康に良く、喉のイガイガを癒す効果もある」などと語らせていたのです(文献4)。米国医師会誌(略称JAMA)は、当ホームページでもときどき引用している専門誌ですが、1933年からおよそ20年間にわたり、そんなタバコ広告を堂々と載せていました。 その後、タバコについて無数の研究が行われましたが、「害がある」と結論した論文と「因果関係はない」とした論文が相半ばし、決着がつかない状態が長く続きました。 国内でも、日本たばこ産業株式会社(JT)を訴えた裁判があり、激しいバトルが繰り広げられていました(文献5)。被告JT側の証人となったある病理医は、「タバコが原因というなら動物実験などで証明してほしい」、「単に可能性ということであって、原因という意味ではない」、「確証がない以上、タバコをやめたほうがいいなどと国民に説明すべきでない」と述べていたのです。 タバコ論争が決着するまでに、実に70年余の歳月を要しました。 その他の主だった事例を次表※にまとめました。 ※表 (画像)⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/oldmedicie.jpg これらのエピソードを知るにつけ、「いまは常識でも、のちの世には非常識」となる出来事も、たくさんありそうな気がしてきます。とくに現在のコロナワクチン禍は、全人類の将来にかかわる重大事です。現代人にとって、ユーチューブ動画の削除問題も含め、「常識と思い込んでいたことの間違い」に気づくのは簡単なはずです。そうでなければ、過去の失敗から何も学ばなかったことになります。 【参考文献】 1) YouTube to remove all anti-vaccine misinformation. BBC News, Sep 29, 2021. 2) Pisoschi AM, et al., Antioxidant, anti-inflammatory and immunomodulatory roles of vitamins in COVID-19 therapy. Eur J Med Chem, Feb 4, 2022. 3) Kolata G, Cancer without chemotherapy: 'a totally different world', New York Times, Oct 4, 2021. 4) Bayratar M, More doctors smoke Camels than any other cigarette! TRT World, 2023. 5) Iida K, et al., Learning from Philip Morris: Japan Tobacco's strategies regarding evidence of tobacco harms as revealed in internal documents for the American tobacco industry. Lancet 363: 1820-1824, 2004.           
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