投稿者:アルフォンソ・キュアロン
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ROMA/ローマ(原題: Roma 米・墨合作) 2018年 全世界年間興行収入ランキング100 ランク外
1970年代のメキシコシティ。ローマという地区で中流階級の家庭に奉公する若い家政婦クレオは、料理、掃除、洗濯、子どもの世話とせわしなく働いていた。
そんなクレオの身にある出来事が起こる……
監督 アルフォンソ・キュアロン 代表作 『リトル・プリンセス』『トゥモロー・ワールド』『ゼロ・グラビティ』
脚本 アルフォンソ・キュアロン
音楽 Various Artists
主演 ヤリッツァ・アパリシオ(クレオ)
上映時間 135分
登場人物
クレオ: 住み込みの家政婦。
アントニオ: 医師。(フェルナンド・グレディアガ)
ソフィア: アントニオの妻。(マリーナ・デ・タビラ)
ペペ : アントニオ夫妻の子供。(マルコ・グラフ)
ソフィ: アントニオ夫妻の子供。(ダニエラ・デメサ)
トーニョ: アントニオ夫妻の子供。(ディエゴ・コルティナ・アウトレイ)
テレサ: ソフィアの母親。(ヴェロニカ・ガルシア)
アデラ: クレオと共に働く家政婦。(ナンシー・ガルシア)
フェルミン: クレオのボーイ・フレンド。(ホルヘ・アントニオ・ゲレーロ)
ラモン: フェルミンの従兄弟でアデラのボーイ・フレンド。(ホセ・マヌエル・ゲレロ・メンドーサ)
【起】
1970年、クレオはメキシコシティのコロニア・ローマで住み込みの家政婦として働いていました。
雇い主の一家は、医者であるアントニオとその妻ソフィア、4人の幼い子どもたちとソフィアの母のテレサで、クレオはもうひとりの家政婦アデラとともに毎日家の人の世話に明け暮れていました。
朝早く起きて、洗濯ものを干し、子どもたちを起こしてまわり、朝食の準備をします。
家族が出かけると、部屋の片付けや掃除をし、昼過ぎには一番幼い三男のお迎えも。夜は一家が寝静まるのを待って、部屋を消灯してまわり、やっと自分の部屋に戻って休むという毎日です。
子どもたちはクレオによく懐いていて、彼女も子どもたちをかわいがっていました。
医者であるアントニオはカナダのケベックでの会議から一時的に戻ってきますが、またすぐに出かけることになりました。
ソフィアはそんなアントニオを背中からぎゅっと抱きしめました。「すぐに戻ってくる」と夫は言いますが、二人の間には既に大きな溝が出来ていました。
【承】
休暇をもらったクレオとアデラは街で食事をし、ボーイフレンドのラモンとフェルミンと落ち合いました。
アデラとラモンは映画館に行きましたが、二人は行かず、部屋を借りました。フェルミンは全裸姿で武術の型を披露しました。
母を早く亡くし、スラムで荒れた生活をしていた自分を武術が救ってくれたと彼は告白します。「世界が変わった。君の目のようにはっきり」
後日、映画館の一番うしろの席に座り、クレオとフェルミンはキスを交わしていましたが、クレオが妊娠したことを告げると、フェルミンはトイレに立ち、そのまま姿を消してしまいました。
クレオはソフィアに妊娠のことを相談します。「首ですか?」と不安そうに尋ねるクレオに「首?そんなことはしないわ。でも一度診察してみなくてはね」とソフィアは応えました。
ソフィアの運転で病院に行き、診察を受けたクレオは妊娠三ヶ月であることを告げられます。そのことをソフィアに伝えると、「三階に新生児室があるから見てくれば?」と言われます。
新生児室の前には妹の誕生を喜ぶ幼い女の子の姿がありました。その時、激しい揺れを感じます。地震でした。まもなくおさまりましたが、クレオは低出生体重児の赤ちゃんに目が釘付けとなっていました。
ソフィアは、子どもたちとクレオを連れて、新年を迎えるために、親戚のアジェンダへ向かいました。
昼間の野外パーティーでは大人たちがピストルを盛んに撃ち、夜は夜で賑やかなどんちゃん騒ぎが繰り広げられました。
この家の家政婦がクレオを誘い、酒場に連れて行ってくれましたが、酒を飲もうとしたところ、フロアで踊っていた男女が激しくぶつかってきて、グラスは吹っ飛んで割れてしまいました。
屋敷に戻ってきたクレオは腰に手を回そうとした男をソフィアが撃退しているのを目撃します。
「必要じゃないかと思ってね。色気も何もあったもんじゃない」と男は憎まれ口を叩いて去っていきましたが、アントニオとソフィアが不仲であることが皆に伝わっているようでした。
その夜、山火事が起こり、山に駆けつけた大人も子供も、消火活動に励みますが、それはどことなく馬鹿騒ぎの続きのような光景でした。
一家は街にもどりますが、アントニオは家に戻ってきません。ソフィアが電話でそのことを話していると、次男が立ち聞きしていました。
ソフィアは思わず、息子の頬を打ちますが、すぐに「ごめんね」と抱きしめます。立ち聞きをやめさせなかったとクレオが責められました。他の兄弟には内緒にしておいてほしいとソフィアは息子に約束させます。
クレオはフェルミンが武術訓練場にいると聞き、ラモンに頼んで車で送ってもらいますが、ようやく会えたフェルミンは、赤ん坊の父親が自分であることを認めようとせず、二度と会いに来るなと暴力的な振る舞いをするのでした。
【転】
出産予定日が近づいてきたクレオはテレサに連れられて家具屋にやってきました。通りには政府に抗議する学生たちが集まってきていて、道路には大勢の警官たちが配備されていました。
ベビーベッドを見せてもらっていたとき、突然外が騒がしくなり、窓際によってみると学生たちが襲われ、逃げ惑う姿が見えました。
店の中にも一組のカップルが逃げ込んできました。4,5人の銃を持った男があとを追いかけてきて、男性を射殺します。
銃を持った男たちの中にフェルミンがいました。クレオと目のあったフェルミンは立ち尽くしますが、仲間に呼ばれて立ち去ります。
恐怖で棒立ちになったテレサの隣でクレオは破水してしまいました。
まだ銃弾が飛び交う道路に出て車に乗り込むと病院へ急ぎますが、道路は渋滞しており、まったく前に進みません。
ようやく病院にたどり着き、車椅子で運ばれますが、苦しんだ末、子供は死産でした。「抱きますか?」と尋ねられたクレオはその小さな亡骸を抱いたまま、なかなか離そうとしませんでした。
医者は彼女から赤ん坊を取り上げると、彼女が見ている前で、赤ん坊を白い布でくるんでいきました。
【結】
ソフィアは家のガレージに駐めるには大きすぎたギャラクシーを売却し、小型の新車を購入しました。
ギャラクシーが引き取られる前に家族旅行に行こうとソフィアは子どもたちに提案し、クレオも一緒に行こうと誘います。
首を振るクレオに子どもたちも一緒に行こうよと誘い、アデラも「行っておいで。家のことはやっておくから」と笑顔で言い、クレオは旅行に行くことを承知します。
ビーチで遊び、ホテルにチェックインしますが、子どもたちは日焼けがひどく、処置する際、痛さで悲鳴をあげました。
食事中、ソフィアは、父親はもう家に戻らないこと、自分の必要なものを取りに来るというので、旅行に来たことを告げます。
悲しむ子どもたちにソフィアは笑顔を向け「変化はあるけど私達は一緒よ、みんなで支え合いましょう。これも冒険よ」と言い聞かせます。
野外でアイスクリームを食べながらしんみりしている家族の横では結婚式が行われていました。陽気な音楽と歓声が響き渡っていました。
翌日、再びビーチにやってきた一家。ソフィアが車の点検に行くといいますが、長男を除く子どもたちはここに残りたいと言い張ります。
波打ち際にいるだけならと子供に言い聞かせ、すぐに戻るからとクレオに声をかけるとソフィアは長男と一緒に立ち去りました。
クレオは三男の体を拭いてやるため、いったん波打ち際から離れますが、波が荒くなり、子どもたちがどんどん沖へと離れていく様子を見てあわてて走っていきます。
泳げない彼女でしたが、海にはいっていき、二人の子供を探して押し寄せる波の間を進み続けました。最初に次男、次に長女が見つかって、なんとか浜辺に戻ってきた3人。
そこへ戻ってきた長男と母が駆けつけます。
「クレオが助けてくれた」と長女がいい母は「ありがとう!」とクレオに感謝しますが、クレオの口から出てきた言葉は死んだ我が子への悔恨の言葉でした。
「生まれてきてほしくなかったの」と涙を流しながら言うクレオにソフィアは「私たちクレオが大好きよ」と繰り返すのでした。
うちに戻った一家は本棚が全て取り払われた家を見ます。父の部屋が空いて、子どもたちの部屋も入れ替えられていました。
「楽しかった?」とアデラに尋ねられたクレオは「よかった」と応えました。彼女は自分の荷物を置きに階段を上がっていきました。
すぐに家の仕事が彼女を待っているのでした。
The End _Cinemarche
みんなの評価 3.66/5.0
最高 (^0^)
本作ほど映画館で鑑賞できた事を嬉しく思えたものもない。
この映画に出会えた奇跡に、心より感謝を。
最低 ( ` 3´)
純文学に涙できる変態とアート理解のフリをするアホが見る映画。
ヴェネツィア国際映画祭の最高賞の金獅子賞を受賞
第91回アカデミー賞 外国語映画賞・監督賞・撮影賞 受賞