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投稿者:つくば・あべ
 今回は日周期活動です。  「日周期活動」とは、1日の中での蟻の「採餌活動の活動活性」です。大雑把には、「昼行性」と「夜行性」に分けられます。「昼」は明るい時間帯で、「夜」は暗い時間帯です。  蟻の夜行性で有名なのはミカドオオアリとアメイロオオアリです。昼行性で有名なのはクロヤマアリとクロナガアリです。  そうした活動を行なうのは、どういう理由があるのか。餌か、他種との関係か、捕食者か? というのも面白いテーマです。それ以前に、蟻の探索での基礎データとなるでしょう。昼間にアメイロオオアリを捜しても見付かりません。  また、昼行性、夜行性と行っても、全ての時間帯が同等の活性と言うことはなく、違いがあるはずです。明け方、午前、午後、夕刻、日暮れ時、深夜、夜明け前など、様々な時間帯があります。  私が学生の頃は、1時間に10分とか、30分に5分とか間隔を開けて計数していました。近藤さんを始め、この手の観察をしていた蟻観察者は、当時は多数いました。富士山でも手伝いました。現在は、ビデオカメラで録画して、画面を見ながら計数しています。作業している観察者はいるのでしょうかねえ。聞いたことがありません。私個人としてはケアリ属などが気になります。連中は個体数が多いですからね。報告書、ありますかねえ。  ビデオ撮影は、ヒトが巣口の傍いることによる影響が減少します。ムネアカオオアリでは、ヒトが見ていると行動を止めて静止します。他種でもあるでしょう。捕まえようとする隠れる種もいますからね。小さいコロニーほど、この傾向があると考えています。そして、街中に営巣する蟻は、ヒトを気にしなていないと考えています。同種内の「都会の蟻」と「田舎の蟻」と呼んでいます。  グラフは、5分間の計数データです。10分間でも良いかもしれません。5分間なら10分間に出来るので、そうしています。  巣内から出入りする個体数を全て計数するのが望ましいですが、中々それができるコロニーはいません。「傾向を知ることが目的」と割り切ることが必要です。クロナガアリで、理想のデータが取れたので、それを求めてしまいます。  ここでは、オオアリ亜属3種を載せます。クロオオアリは学生時代に人海戦術で取ったデータです。ムネアカオオアリとミカドオオアリはビデオ録画して、室内で暢気に計数したものです。繰り返し計数出来るので、計数ミスは減少します。  横軸は時間で、縦軸は個体数です。縦軸は最多数のクロオオアリに合わせました。未経験者は分からないでしょうが、5分間で50個体は、結構な数です。横軸の中央を夜間の24時にしています。そして、1日24時間のグラフにするために途中で繋げています。  3種それぞれが、面白いグラフになっています。私の「美しいグラフ」の自信作です。ムネアカオオアリは林内落葉層下の採餌と考えると昼夜関係ない結果なのでしょう。地上にあまり出ない黄色い蟻類はどうなんでしょうね。  ミカドは夜行性に特化し、陽の出前の入りの一山が特徴的です。体内時計か、紫外線把握の視力によるものか気になります。  クロオオアリは、更に「暮れ六つ」「明け六つに」特化します。多コロニーでの補充データが欲しいところです。  余談ですが、これは、2000年の蟻研大会で配布したものです。この時、ミカドオオアリの巨大コロニーの話をしましたが、あまり反応がなかったです。 左 ムネアカオオアリの日周期活動 2000年8月8~10日の一部 筑波山桜山   営巣地から餌場に向かう地表面で計数 コロニーの一部 中 ミカドオオアリの日周期活動 2000年5月25日15時5分~26日15時5分 筑波山桜山   営巣地から餌場に向かう地表面付近で計数 コロニーの一部 左 クロオオアリの日周期活動 1978年5月12日16時30分~13日16時30分 船橋市東邦大学   巣口で計数 コロニーの全部
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