投稿者:ベーダー少佐
プロローグ0:存在の耐えられない軽さ
メルクールの例会に出席していつも思う事は、メルクールの航空機モデラーのレベルは、おそらく日本でトップを争うのではないかという事です。6月例会には、機体全体に凸リベットを打ったDC-10、全くデカールの跡が見えないMirage2000、徹底的に作りこまれたMH-60TとOV-10A、7月例会には、優れた工作と塗装のA6M5 ZEKEとFw190 A-8/R8が・・・ふと思うのは、航空機モデラーとしての「存在の耐えられない軽さ」。そうだ、もっとインパクトがある作品を作ろう!という事で、レベル1/32メッサーシュミットG-10Erlaの製作を開始することにしました。
プロローグ1:Bf109G-10ASの幻影
25年以上も昔になるが、ある一人の模型ライターの稚拙な解釈により、G-10ASは生まれる事になる。
そのライターの解説によると、G-10ASはエルラ社で製造され、DB605ASエンジンが搭載されており、その特徴は以下の通りとしている。
①ASエンジンを搭載している為、シリンダーヘッドが大型化したDB605Dエンジンを搭載するための機首バルジが無い。
②エルラ社の機体は、左側のエンジンカウル膨らみが他のG-10と異なる。
③機首のオイルクーラーは、G-6と同じままである。
④主脚タイヤは、G-6と同じ660X160のタイヤを装備している。
かつて阿部孝一郎氏が、このG-10AS説が完全な間違いである事を、SA誌vol.10で解説していますが、阿部氏の解説が専門的な為、いまだにG-10ASの存在を信じている人が多い。
そこで、以下の1枚目の掲載写真を、クリックで拡大してください。この写真を見ると、前述①~④が完全な間違いである事を、どなたでも容易に理解できると思われます。
①エンジン上部に、白色で605DエンジンのⅮの識別マーキングが確認できる。
②この胴体のバルジ形状により、明らかにエルラ社製の機体であることが確認できる。
③605Dの搭載によるオイルタンクの大型化が確認できる。当然ながら、機首オイルクーラーもG-6と同じではなく、大型のものに変更されている。
④明らかに大型のタイヤバルジが確認でき、660X190のタイヤを装備している。
阿部氏の解説によると、エルラ社のG-10のカウリング金型は、G-6で使用された628型とは異なる全くの新型(形式不明)が使われており、機首は下ぶくれのおにぎり形状になっており、機種バルジが無くとも、DB605Dの搭載が可能であった。また大型化したオイルクーラーも一見すると、下ぶくれ機首のおかげで、G-6と同じにように見える。
なおエルラ社製のG-10初期生産型は、660X160タイヤを使用していたのは事実である。
本当はまだまだプロローグは続くのですが、あまりにも長くなるので、とりあえず製作へ。
製作1:プロペラの製作
レベルのスピンナーは、開口部の逆カンバーを表すためか、中間部に型割がある。極めて塗装しにくいので、型割部をスピンナー基部に修正する。プロペラも尖りすぎなので、先端から1.5mm切り落とし、先端を丸く加工する。プロペラ直径は、切り落としても問題ない。写真②を参照してください。
製作2:スピンナー塗装“Once is not enough!”
ドイツ空軍戦闘機の象徴たるスパイラルを塗装する。1度の塗装ではうまく行くわけが無く2回塗装したが、まだ駄目で修正が必要です。本来はコクピットの製作から始めるのが常道ですが、スピンナーから始めた訳は、単に士気高揚のためです。写真③