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投稿者:越田和男
高野秀行『イラク水滸伝』文藝春秋 2023年7月 一寸変わった話題提供になるかな。 探検家、ノンフィクションライター高野秀行のフアンなので、彼の書いたものはかなり読んできたが、今回はその書名から判断して、読まないことに決めていた。ところが新聞各紙の読書欄での評価高く、「イラクの湿地帯の話と聞いて、自分が読む本ではないと思った読者にこそ読んでほしい」などと書く評者がいたりして、読むことに。500頁を越える分厚さにちょっと怯んだけれど結論として面白かった。 砂漠の国のイメージのイラクにある巨大な湿地帯を5年かけて早稲田の探検部の先輩ひとりを巻き込んでのユニークな取材結果である。背の高い葦と細かい水路からなる、反権力の一匹狼たちの隠れ住処。平生はバラバラに、ことあればより集う集落がある。まさに「水滸伝」と「梁山泊」の世界が1000年も続いて今もある。かのフセインさんもてをやいたらしい。
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