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投稿者:滝 敏美
Zaic年鑑の1957-58年版にゴム動力カナード機に関する記事がありましたので,翻訳しました. Google翻訳を滝が手直ししたものです.(訳語がおかしいところがかなりありました.) 長文で申し訳ありません. 参考になれば幸いです. Zaic Model Aeronautical Yearbook 1957-58, pp.181-185. カナード機の設計 Clarence Mather クラレンス・マザー カナード機は、主揚力面の前にスタビライザーがあり、通常はフィン(垂直尾翼)とプロペラが後部にある。ライト兄弟の飛行機を含め、初期の飛行機のほとんどがカナード形態だったことを知ると多くの人が驚く。そして、ベル・エアクラフト社のラスカルやノース・アメリカン・アビエーション社のナバホミサイルなど、現在のいくつかのミサイルではカナード形態は生き残っている。 過去12年間に、私たちは約15機のゴム動力のカナード機を製作してきた。私たちはそれらを完全に調査したわけではないが、いくつかの点で一貫していることがわかった。これらの記述は飛行観察のみに基づいており、正確な実験には基づいていない。したがって、間違いがある余地は十分にある。 カナード機の全体的な性能と安定性は、従来のトラクタ機とほぼ同等であると思われる。カナード機は上昇についてはトラクター機を超えているように見え、上昇の間はより安定している。われわれの最高のカナード機の滑空は、最高のトラクター機と同じくらい優れていた。ただし、良好な滑空を得るには、いくつかの明確な制限が存在することがわかった。 プッシャープロペラは、カナード機の優れた上昇の一部の要因となっている可能性がある。トラクター機のように高速プロペラの後流が機体の多くの部分を通過することがないため、抗力が低減されている可能性がある。また、主翼は、乱れのない空気中でより効率的に機能している可能性がある。しかし、プッシャープロペラは乱れた気流の中にあるが、おそらく、これはプロペラの後流がモデルに当たるほど有害ではない。 われわれのカナード機ではスタビライザーが比較的高い迎角で機能し、これによりプロペラの回転中ずっと機首が上がった状態が維持されるようである。したがって、ゴムのエネルギーを最大限に活用することができる。対照的に、多くのトラクター機は動力飛行の後半で水平状態になり、巡航する。 カナード機は非常にらせん安定性が高い。サイドスラスト,またはラダー舵角が多すぎるとスパイラル状に突っ込む可能性があるが、通常は十分な予兆がある。左旋回上昇,左旋回滑空に調整した。 通常の方向にゴムを巻き上げることができるプロペラ(動力飛行中に機体の後ろから見て左回転する)を使用したため、この旋回上昇はトルクに対抗している。トルクに逆らわない上昇を何回か試したが、特にハイパワーモデルではトリムはより困難であった。所望の旋回滑空を行なうにはある程度の左舵が必要であり、上昇の旋回をきつくするには通常 2 度または3度の左スラストの追加が必要であった。よりハイパワーのモデルでは、上昇が急になりすぎないようにするために、ある程度のダウンスラストが使用された。 われわれのカナード機の滑空は、上昇ほど簡単には調整できなかった。スタビライザーの面積は翼面積の約3分の1である。いろいろな寸法のスタブを試したわけではない。スタビライザーの取付角は主翼の取付角よりも3度大きくした。しかし、いくつかの調整された機体をチェックした結果、通常、主翼よりも 5 ~ 6 度大きい取付角が必要であることがわかった。角度差が最小のモデルが最も効率的であると思われるが、かなりの量の取付角が発生するまで、縦の安定性は良好ではなかった。この取付角差は、主翼の失速の前にスタビライザーが確実に失速するようにするために必要である。機体が飛行のために機首を急に上げた場合、前方の揚力面が最初に失速するべきである。その後、機首が下がり、機体は急速に飛行速度を上げる。後部の揚力面が最初に失速すると、モデルの尾部が下がり、ホイップストールが発生し、その後に大幅な降下が発生する。カナード機の優れた失速回復特性は、おそらく失速状態でも主翼がまだ揚力を持っており、これにより機体が大きく下降するのを防ぐという事実によるものと思われる。もちろん、機体がよく調整されているか、ほぼ調整されていると仮定している。トラクター機の主翼は最初に失速するが、これはスタブよりも全体の揚力のはるかに大きな部分を占める。したがって、トラクタ機は失速から回復する前に落下する程度がより大きいように見える。 胴体長には最大値があることがわかった。ここで、いろいろな寸法のスタビライザーを試していないことを思い出す。数年前、ウェイクフィールドに動力ゴムの量の制限がなかったとき、われわれは長い胴体のカナード機を試してみたことがある。実験のために、小さい機体を製作した。翼幅は 30 インチ、翼面積は 115 平方インチであった。胴体の長さは 44 インチで、1/4インチ幅の茶色のゴムを 10 本撚り合わせたたるみのないゴム束を搭載した。 直径16インチのプロペラを使用した。機体は矢のように上昇したので、あらゆる調整にもかかわらず安定した滑空が得られないとわかるまでは、われわれはうまくいったと思った。 少しでも空気が乱れるとモデルは失速してしまう。この最初の失速の動きがどんなに小さくても、その後の高度の大幅な低下を伴う長い急降下になる。明らかに、動力ゴムの長いモーメントは、スタビライザーがこの動きをすぐに減衰するには大きすぎる。主翼は面積 145 平方インチ、スパン 36 インチに拡大された。スタビライザーも比例して大きくなった。その結果、機体はかなりおだやかな空気中で非常に安定し、上昇気流の中で最長 7 分間の飛行を達成した。ただし、風が強くて気流が乱れる場合、機体は急降下滑空を起こし、急速に沈む。一般的な規則として、胴体は翼より長くすべきではないと結論付けられる。この条件を満たすわれわれのモデルは、非常に荒れた気流の中でも良好な安定性を示す。 カナード機にはたるみの無い動力ゴムを使用することを推奨する。たるんだ動力ゴムは編組することにより、効果的にたるみをなくすことができる。動力ゴムの不均一なこぶは機体のバランスを崩し、滑空を台無しにする。以前はたるみをたっぷりととり、動力ゴムの全長にわたって2重のこぶが均等に形成されることを期待していた。通常はそうなるが、時々そうではなく、機体が失速したり急降下したりすることがあった。もちろん、これは競技飛行中にも起こりうる。非常に長い動力ゴムが必要な場合は、ギアが良い解決策になると考えている。このようにして、安定性のために必要となるよう、胴体をかなり短く保つことができる。 フィン(垂直尾翼)の面積はカナードにとって非常に重要であった。われわれは折りたたみプロペラを使用し、その後方に折り畳まれたブレードには、フィンとラダーの効果があった。常に主翼面積の約 15% の面積のフィンを使用する必要があった。それでも方向安定はぎりぎりであった。しかし、おそらくこれがカナードの急上昇に有利に働いたのだろう。機体は簡単にサーマルに入り込み、そこにとどまるように見えた。プロペラブレードが適切に折りたたまれずにバタバタしてしまうと、機体はブレードが止まるまで揺れたり、スピンしたりしてしまうだろう。したがって、折りたたみプロペラには確実な fire tensioner(意味不明)が必要である。折りたたまれたブレードを最適な位置で停止するために,プロペラハブには小さなブロックを付け,その位置に固定するためのゴムバンドを付けた。前方に折りたたむブレードが検討されたが、機体にぴったりとフィットしなかった。一枚ブレードのプロペラは後ろ向きに約 270 度折りたたむことができ、そうすれば胴体の反対側にきちんとフィットするだろう。われわれはこの方法に適したヒンジシステムを見つけることができなかった。空転プロペラを使用すると、張力は不要で,折り畳みの問題を回避できるため、フィン面積を大幅に削減することが可能になる。機体の後部の抵抗は安定化に寄与する。沈下速度は増加するが、直径が小さいピッチ比の大きいプロペラを使用すればおそらく抵抗はあまり増加しないだろう。何人かのモデラーがこのタイプのカナード機を飛ばしたが、トラクター機と比べてどのような滑空をしたかは知らない。 胴体の下に取り付けられた単一のフィンが、これまでで最高の安定性をもたらすことがわかった。胴体上部にフィンを備えたカナード機の写真はあったが、このような機体をテストするたびに、方向安定性が足りないことがわかった。ある機体では、フィンの面積を主翼面積の 3 分の 1 に等しくなるまで増やしたが、それでも機体はジグザグに飛行した。フィンを胴体上部から取り外してその下側につけると、通常のサイズに縮小できた。明らかに、われわれのカナード機といま説明したカナード機の間には、いくつかの基本的な違いがあるに違いない。われわれは、上側のフィンがスタビライザーの乱れた後流にあるのではないかと考えたが、他の機体もスタビライザーの位置は同様であった。興味あることに、私たちは最近、われわれが上側にフィンのついたカナード機で経験した結果と同じことを経験したモデラーに会った。 胴体からさまざまな距離だけ離されて主翼の下に取り付けられた2枚のフィンが、いくつかのカナード機で試された。いずれの場合も、各フィンの面積は主翼面積のほぼ 15% でなければならなかった。 重心と胴体の側面積を考慮すると、大きなフィンが必要であることは理にかなっていると思われる。われわれのカナード機は、主翼からスタビライザー間の距離の約 3 分の 1 でバランスがとれており、胴体後部から機首までの半分より少し小さかった。したがって、フィンのモーメントアームは短く、十分な安定力を発生するには広い面積が必要である。また、バランスポイントの前方は後方よりも横面積が多く、不安定な状態である。フィンはフロントエリアとのバランスをとらなければならない。カナード機を設計する際には、胴体前部の側面積を最小限に抑えるとよい。一部のカナード機には、パイロンではなく支柱でにスタビライザーを取り付けている。私たちは小さなキャビンを使用しているが、目立った悪影響はない。ある機体は、スタビライザーの下に高いキャビンを備えていたため、間違いなくより大きなフィンが必要であった。その後キャビンは縮小され、機体の方向安定性は大幅に向上した。 前に述べたように、カナード機のバランスポイントは主翼からスタビライザーまでの距離の約 3 分の 1 であった。製作手順は、翼とスタビライザーのマウントは後にして、主翼、スタビライザー、胴体を先に完成させる。ゴムとプロペラを取り付け、主翼とスタビライザーをおおよその位置で胴体に置く。上で説明した条件が実現されるまで、両翼を移動させ、移動するたびにバランス ポイントをチェックした。通常、両翼を機体の端近くに置いたため、両翼間の距離が大きくなってしまった。その後で、主翼とスタビライザーのマウントを適切な位置に取り付けた。滑空試験によって、どのような取付角の調整が必要であるかがわかる。 われわれはガソリンエンジン動力のカナード機を飛ばしたことがない。エンジンが後部に取り付けられている場合は、重心を適切な位置にするために機首に重りを配置する必要がある。この重りはかなり大きくなるだろう。いくつかのラジコンモデルでは、主翼の後ろにある幅の狭いパイロンにエンジンが取り付けられる。このパイロンマウントは、カナードデザインのエンジンを非常にうまく支持するために使用できる。機体のバランスを保つように配置できる。おそらく重心は主翼とスタビライザーの間の約半分になるだろう。このアレンジメントを近いうちに試してみたいと思っている。カナード機は、現在のA.M.A.のゴム動力機のルールの2つの競技に適している。 手動発進により、おそらく面倒な R.O.G が不要になる。われわれの2つのカナード機には降着装置がついていたが、実際に R.O.G. をやったことはない。ウェイクフィールド級のゴム制限により、安定性の要件に適合する胴体長が可能になる。重量制限のない無制限クラスでは、軽量構造機体を使えば,機体の総重量の大部分を動力ゴムが占めるようにすることが可能である。おそらくカナード機が扱えるトルクには限界があるだろうが、われわれは主翼面積190 平方インチの機体に 1/4 インチ幅ん0の茶色のゴムを 20 本も使用した。その機体の上昇は、トルクに対抗する方向の旋回はうまくいったが、トルクの方向に旋回させようとすると危険であった。 ここで説明した翼面積の比率を持つカナード機の滑空が、新しいウェイクフィールド級の大きな主翼と小さなスタビライザーに対抗できるかどうかは疑問である。しかし、カナード機にも同様のパーセンテージを使用することは確かに可能かもしれない。それは実験するには良い分野だと思われる。
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