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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.7.24) Q ポストコロナ時代の体調不良に対処する方法とは? A 「コロナ後遺症は本当に存在するのか?」という疑問があることについて、以前、当ホームページで考察しました。しかしポストコロナのときを迎えた今、さまざまな体調不良に悩む人が少なくないことは確かです。そこで、コロナ後遺症や慢性疲労症候群、あるいはワクチンの副作用などをとくに区別せずに、長引く体調不良にどう対処すればよいのかを、最新情報からまとめました。 症状の多様性については、すでに2023年6月12日付の当ホームページ(記事⇒ https://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page4054#4201 )で述べたとおりですが、中には病気を新たに発症したという人もいます。心臓病、脳卒中、腎臓病、間質性肺炎、起立性(または体位性)頻脈症候群、眼疾患、鼻炎などが代表的で、その人にとっては初めてとなる病気です。そのため、特定の症状が長引く場合は、まず病院で胸部エックス線や心電図、血液検査など一般的な検査を受けるか、あるいは眼科、耳鼻科などを受診したほうがよいでしょう。 それで病名がはっきりしなかったり、「異常なし」と言われたら、専門的な検査に進むことになります。健康保険で可能な検査としては、単球(血液中の細胞成分)の増加、血液中コルチゾール(ホルモンの一種)の低下、血清フェリチン(鉄分を蓄えるたんぱく質)の増加などが認められれば、「長引く体調不良」の傍証になるかもしれません(文献1)。 ワクチンが免疫機能を破壊する仕組みについて、当ホームページのQ18(記事⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/index_part2.html#PQ18 )で解説しましたが、そこに登場したさまざまな炎症物質(Il-1β、IL-6、TNF、INFβなど)が異常値を示しているとの研究発表も少なくありません。しかし、それらの特殊検査の結果が原因解明や治療に役立つことはなく、高額な支払いを求められるだけ損かもしれません。実際、クリニックで法外な料金を請求されたと、怒りのお便りも届いています。 長引く体調不良の人を対象にした研究では、さまざまな抗体の値が高くなっていたとするデータも多いのですが、やはり治療に結びつくものではないことが、あきらかになっています(文献1)。 腸内細菌の乱れが関与しているという説もあります。腸の粘膜にコロナウイルスやワクチン接種でできたトゲトゲ蛋白(スパイク蛋白)の受け皿(受容体)が多いためですが、対処法はまだわかっていません。 では、「長引く体調不良」に対して、どう対処すればよいのかです。以下、注目を集めている対処法をいくつか取り上げて、評価を加えました。 <起立性頻脈症候群>  急に立ち上がったりしたときに心臓がどきどきして、脈拍数が2倍くらい(120回/分ほど)に増加する人がいます。自律神経の障害によるもので、頻脈を抑える薬(β遮断薬など)が有効とされていますが、血圧が下がり過ぎてしまうという問題点も指摘されています(文献1)。 <コルチゾールの低下>  血液中のホルモンのひとつコルチゾ-ルが極端に低い人がいる、との報告も複数ありますが(文献2)、同系統のホルモン剤を使って補っても、症状は改善しなかったとのことです。 <頭のもやもや・認知機能の低下>  脳の中に霧がかかったような感じがすると訴える人が多く、ブレイン・フォグ(脳の霧)とも呼ばれています。このような症状に対し、磁気で脳を刺激するTMS(経頭蓋磁気刺激法)が使われ、話題になっています。脳梗塞でマヒが残った人の治療に使われてきた装置なのですが、効果が十分に証明されていないことに加え、脳に与える副作用もよくわからないままとなっています(文献3)。「長引く体調不良」にも応用されていますが、効果が証明されているとは言い難い状態です(文献4)。 <自分でできる養生>  自分一人で行える健康回復法もいろいろ研究されています。日々の運動習慣が、コロナ感染症からの回復を早めることが以前からわかっていました。大規模な学術調査も行われていて、適度の運動習慣がある人は症状が軽くすんでいた、と報告されています(文献5)。適度な運動量とは、「たとえば早歩きを1日30分、週に4回くらい行うこと」と報告されています。 興味深いのは「鼻うがい」です。具体的な方法はネットに多数の動画が公開されていますので、参考にしてください。500ミリリットルの水に小さじ1杯の食塩を加えたものを、鼻うがい専用容器に入れて使います。 ※鼻うがいの方法:イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/hanaugai.jpg 鼻うがいは、鼻腔粘膜に残る過剰な免疫反応が、多くの症状を悪化させているのではないか、との発想に基づくもので、新型コロナ感染症の重症化を予防することが多くの研究で立証されています(文献6)。「長引く体調不良」に対しても有効かどうかは、まだわかりませんが、多くの医師が推奨していることと、人畜無害で副作用の心配がないことがポイントです。試してみる価値はありそうです。 ホルモンの1つであるコルチゾールが低下すると、血圧や血糖値が下がったり、脱力感や頭がぼ~とするなどの症状が出てきます。また血液中の塩分量が減少してしまうため(低ナトリウム血症)、塩分を多めに摂取するよう勧めている研究者もいます。 体調不良の原因のひとつが、フリーラジカルという異常物質の蓄積です。この物質は、放射線や紫外線、あるいは炎症や睡眠不足によって生ずるもので、疲労の原因物質としても知られています。幸い、野菜や果物には、フリーラジカルを消去する抗酸化物質が豊富に含まれています。 したがって、長引く体調不良を改善する確かな方法は、睡眠を十分にとり、生の野菜と果物を食べ、気分転換も兼ねた軽い運動をすることです。ただし、強い疲労感が残っている人は運動が逆効果になりますので、体調への配慮も必要です。 【参考文献】 1) Davis HE, et al., Long COVID: major findings, mechanisms and recommendations. Nat Rev Microbiol 21: 133-146, Mar, 2023. 2) Klein J, et al., Distinguishing features of Long COVID identified through immune profiling. medRxiv, Aug 10, 2022. 3) Kim W-J, et al., Repetitive transcranial magnetic stimulation for management of post-stroke impairments: an overview of systematic reviews. J Rehabil Med, Dec 18, 2019. 4) Noda Y, et al., Real world research on transcranial magnetic stimulation treatment strategies for neuropsychiatric symptoms with long-COVID in Japan. Asian J Psychiatr, Dec 28, 2022. 5) Ezzatvar Y, et al., Physical activity and risk of infection, severity and mortality of COVID-19: a systematic review and non-linear dose-response meta-analysis of data from 1 853 610 adults. BMJ, Aug 22, 2022. 6) Wang T, et al., Efficacy of nasal irrigation and oral rinse with sodium bicarbonate solution on virus clearance for COVID-19 patients. Front Public Health, Mar 15, 2023.        
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