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投稿者:安全環境委員会:堀晃浩
419 北海道観光船の事故について 安全環境委員会・堀晃浩 2022/4/24 ご安全に。 安全環境委員会の堀です。 4月23日に行方不明になった観光船について、当時何が起こっていたのかを気象の立場から見直してみました。 現在観光船の修理が不十分であって浸水したのではないかなどの情報も錯綜していますが、とらえられた気象場の特徴などをコメントしたいと思います。 ふと思いついたことなので考察は不十分かと思いますが、分析してみました。 使用するデータとして、ウトロアメダス(住所がウトロ高原、標高140mあまりなので高台に設けられているようです)、そして網走アメダスを見てみました。 観光船が出港したのは4月23日の10時ごろと報道されています。その時のそれぞれのアメダスの風向風速、気温は、 ウトロ:ENE 1.6 m/s, 10.3℃ 網走:NNW 8.4 m/s, 13.4℃ ウトロの風速が妙に低いのが気になります。白波が立っていたとの証言からすると、そこまで低かったのかなとも思えます。知床半島は急峻な地形なので、西風時は半島の風上側が閉塞して風が見かけ上弱まることが起こっていたのでしょうか。もちろん現地の方はこのような特性は熟知していたはずです。 天気図を見ると知床半島を寒冷前線が通過しており、この後気温も低下していきます(ウトロ5.8℃:13時、3.4℃:16時)。練習であれば、事前に寒冷前線の存在を知っていて急激に気温の低下が起これば「危険」と判断したいところですね。 風速は網走では11~16時まで安定して北西の風が吹き10分平均で13時には16.4 m/sの風が吹いていました。この風が海上では吹いていたのかなと想像されます。 観測値は大切ですが、設置場所によって地形の影響を受けた風を測ってしまいますから、本来知りたかった海上の風の記録は網走のほうが参考になるということかもしれません。 事故の報道を受けてどれくらいの風が吹いていたのか見たところ、ウトロでは強風の記録がなく、気温の急変から寒冷前線の通過したことがわかり、全線近傍では強風が吹くことが多く、その痕跡が網走アメダスに残っていたというお話でした。 4/24 17:11ニュースで10名の方がなくなられたとの報道がありました。ご冥福をお祈りすると主に、複眼的な視点でデータを見て危険回避の努力を続けたいと思いを新たにしました。
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