投稿者:スカンディナヴィア国民連盟
・マリエハムンを訪ねて
ストックホルムを出航した帰郷支援船「クラウンプリンセス・イングリッド」の船内はお祭り騒ぎである。誰も彼もが故郷への帰還を喜び、
オーランド諸島の祖国復帰を喜んでいる。みなが家族や親友のように肩を組み乾杯を繰り返す中、船はひたすら東進を続けた。
いわゆる『帰港速度』であるが、今回の場合は文字通りの『帰郷速度』だと言えよう。
マリエハムンはオーランド諸島最大の街で県都でもある。我々はおよそ130年ぶりに祖国へ復帰したオーランド諸島を訪ねるにあたり、
第一歩をこの街におろした。港では青と黄のオーランド諸島の旗が振られている。1934年以来、フィンランドによって禁止されてきた旗だ。
いまその旗が、スウェーデン国旗やスカンディナヴィア国旗と共に堂々と掲揚されている。我々はしばしの涙を禁じ得なかった。
さらにヘルシンキへと帰郷する人々を乗せ「クラウンプリンセス・イングリッド」が出航するのを島の人々とともに見送ると、
我々は街を見渡せる小高い丘に登った。この街が、この島が、130年もの間スウェーデンと切り離されてきたとは到底信じがたい。
島の人々はスウェーデン語を話し、スウェーデン国教会の祝祭日を祝い(島の祝日である3月30日だけは別だ)、自らをスウェーデン人であると
断言する。かくも明白な事実を前にしながら、ウィーン会議も、タルトゥ条約もこの島々をスウェーデン領であるとは認めなかったのだ!
かくも許し難い過ちがほかに存在したであろうか?
しかしいま、その過ちは正された。今年から島では新たな祝日が祝われることだろう。我々は記念すべきその祝日の第一回目を
島の人々とともに祝うことができたことを誇りに思う。誰もが家族だった。誰もが隣人だった。そして誰もがスウェーデン人だった。
我々はみなで一緒に喜び、一緒に笑い、一緒に歌い、一緒に乾杯し、一緒に踊り、一晩中を祝い明かしたのである。
翌日、我々はJu-52水上旅客機「ゼーデルマンランド」に乗ってマリエハムンを後にした。人々との別れを惜しみつつ、
次第に遠ざかる島々を目にしながら、我々は近日中の再訪を誓い合ったのである。