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投稿者:坂本彰
皆さんご覧になっていると思いますが、今週のらんまんの植物はキツネノカミソリでした。ところがTVで用いられていたレプリカの植物は、キツネノカミソリでなくて変種のオオキツネノカミソリでしたね。 高知県におけるオオキツネノカミソリとキツネノカミソリは分布が微妙に違っています。オオキツネノカミソリはキツネノカミソリよりも標高の高い場所、しかも県全体でなく、中央部に遍在します。ドラマは作りものですので、こだわる必要はないと思いますが、佐川と高知の間だと見られるのはオオキツネノカミソリでなくキツネノカミソリということになります。確か日高村の小村神社の界隈には生育地があったと記憶しています。 ドラマでキツネノカミソリでなくてオオキツネノカミソリを用いた理由がよくわかりませんが、牧野富太郎が命名したことにこだわったのでしょうか?それともレプリカの元となる植物としてオオキツネノカミソリしか入手できなかったから??オオキツネノカミソリが見栄えが良く、TV映りが良いから??? 学名に関して、牧野富太郎はオオキツネノカミソリをLycoris kiushiana Makinoとして1948年に牧野植物混混録(Mkinoa)に発表しましたが、有効な記載でなく、認められていません。また平凡社の旧版の図鑑、保育社の図鑑にはLycoris sanguinea Maxim. var. kiushiana Makinoが使われていますが、この学名の記載論文は不明で、田中伸幸さんの牧野博士記載論文目録の中にもありません。現在の学名としては、YListではLycoris sanguinea Maxim. var. kiushiana T.Koyamaが正名となっています。 命名者のT.Koyamaは牧野植物園元園長の小山鐵夫博士です。 くどくどと長くなりました。写真の1枚目がキツネノカミソリ、2・3枚目がオオキツネノカミソリです。
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