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投稿者:はっちん
【元記事:https://digital.asahi.com/articles/ASN827W8RN7QUZPS003.html?_requesturl=articles%2FASN827W8RN7QUZPS003.html&pn=11】 内閣支持率、「岩盤支持層」だった30代も低下 背景は 2020年8月3日 17時00分 第2次安倍政権が発足した2012年12月以降、朝日新聞社が今年7月まで実施した計111回の全国世論調査(電話)を分析すると、年代による特徴が浮かんでくる。  16年途中から調査対象などが変わったため単純比較はできないが、年平均で算出した年代別の内閣支持率を見ると、30代以下は一時的に支持が離れてもやがて戻る「岩盤支持層」だったことが分かる。  集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法が成立した15年は、すべての年代で支持率が下がった。ただ変動幅に差があり、40代以上で支持率と不支持率がほぼ並んだのとは異なり、30代以下では支持率が不支持率を大きく上回った。  消費増税を再延期した16年にすべての年代で支持率が戻った後、森友・加計問題が発覚した17年、30代以下と40代以上では再び対照的な動きを示した。40代以上の支持率は低下し、支持率41%と不支持率40%でほぼ並んだ。一方で18~29歳の支持率は上がり、30代の支持率は16年から横ばいだった。  さらに、財務省による公文書改ざんが発覚した18年の支持率は、40代以上では36%に下がったが、18~29歳は48%、30代は45%と高止まりした。 年平均でなく個別の調査で見ても、その傾向ははっきりしている。  公文書改ざん発覚直後の18年3月の調査で、全体の支持率は第2次政権下で当時としては最低の31%を記録。40代以上で不支持率が支持率を大きく上回る一方、18~29歳は支持率34%が不支持率29%を上回り、30代は支持率37%と不支持率39%がほぼ並んだ。  同じ調査で、改ざんをどの程度問題と思うかを四者択一で尋ねると「大いに」「ある程度」を合わせた「問題だ」が40代以上で9割前後だったのに対し、18~29歳と30代はいずれも8割弱とやや低かった。ほかにも安全保障関連法や「桜を見る会」など安倍政権の政策や姿勢への評価について、40代以上と30代以下の間にこうした差がたびたび生じている。 全体の支持率を押し下げる要因に  ところが、新型コロナウイルスの感染拡大が、この構造に変化をもたらしつつある。  18~29歳と30代のうち、特に30代が支持離れの兆しを見せている。今年1~7月の30代の平均支持率は38%。第2次政権発足以降の各年の同時期と比べると、最も低い水準となった。  今年5月の調査では、全体の内閣支持率が29%と第2次政権下で最低を記録した。30代の不支持率は45%で、支持率27%を大きく上回り、全体の支持率を押し下げる要因となった。  背景には政府への厳しい視線があるようだ。新型コロナへの政府対応の評価を尋ねた今年2~7月の調査を分析すると、30代の「評価しない」は55%(2~7月の平均値)に対し、「評価する」は35%(同)。30代の「評価しない」は、40代と60代の55%(同)と並んで高い水準にある。  30代は子育て・働き盛り世代だ。新型コロナの生活への影響に敏感な世代とも言える。3~7月の調査で、生活が苦しくなる不安を「感じる」は30代で57%(3~7月の平均値)。50代の60%(同)、40代の59%(同)に次いで高かった。  7月の全体の内閣支持率は33%、不支持率は50%。低空飛行が続く支持率の行方は今後も政権のコロナ対応にかかっているといえそうだ。 「解散の条件」にも影響  安倍晋三首相の自民党総裁任期は来秋までだ。政界の関心は「ポスト安倍」レースに集まっている。後継者争いを占う上で、長期政権だった佐藤栄作内閣(1964年~72年、在職2798日)と小泉純一郎内閣(2001~06年、在職1980日)の残り1年余りの動きは示唆に富む。  佐藤氏は70年に党総裁4選を果たしたが、有権者に長期政権への「飽き」が広がり、71年に支持率が急落。72年7月、後継を指名できずに退陣した。一方、小泉氏は05年1月の支持率は33%だったが、同年9月に「郵政解散」で圧勝。支持率を回復させた小泉氏は求心力を保ったまま、安倍氏を事実上の後継に推して06年9月に退陣した。 安倍首相が後継選びを主導できるかどうかは、衆院解散へのシナリオをどう描くかにも関わってくる。  いまの選挙制度となった96年以降の8回の衆院選について、解散直前の内閣支持率と政党(与党第1党)支持率をみると、政権を維持するための「解散の条件」がはじき出される。  内閣支持率と政党支持率の合計が50を切ると政権運営が厳しくなる。これは青木幹雄元自民党参院幹事長が提唱した「青木の法則」だ。解散直前の数字を当てはめると、合計が50に満たなかった自民党の森喜朗氏と麻生太郎氏、民主党(当時)の野田佳彦氏の3内閣は議席を大きく減らし、いずれも短命に終わった。  もう一つ考慮が必要な要因は、野党第1党の政党支持率だ。「マニフェスト選挙」となった03年衆院選は民主党への期待が高まり、解散直前に13%だった民主党支持率は投開票日直前に18%まで上昇。内閣支持率と自民党支持率の合計は90だったものの、自民党は苦戦した。一方、14年、17年の衆院選はそれぞれ71、67だったが、野党第1党の支持率が1ケタということも重なって自民党が大勝した。  7月の調査で、内閣支持率33%と自民支持率30%の合計は63。野党第1党の立憲民主党支持率は5%。数字は自民勝利の条件を満たすようにもみえる。とはいえ新型コロナをめぐる情勢や野党再編の動きも考えれば、解散をめぐる判断は簡単ではなさそうだ。      
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