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投稿者:はっちん
新型コロナのエビデンス 元記事URL⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/ 岡田正彦 新潟大学名誉教授(医学博士)  テレビでは語られない世界の最新情報を独自に分析  正しい情報を偏りなく 今週の新情報 (2023.10.30) Q コロナワクチンで神経麻痺? A コロナワクチンの副作用で顔面神経の麻痺が起こることが、以前から知られていました。その詳細を報じた論文が相次いで発表されましたので、まとめてみました。 この症状は、200年ほど前、スコットランドの解剖学者ベルによって発見されたことから、ベル麻痺とも呼ばれています。顔面の片側の運動神経が突然、マヒして片方の眼が閉じられなくなる、片方の眉が垂れ下がる、顔が歪んで見えるなどの変化が出ることから、本人や家族が容易に気づくことになります。 イラスト⇒ https://okada-masahiko.sakura.ne.jp/bellpalsy.jpg        顔面神経は、脳から出て顔面骨の細いトンネルを通って表情筋に広がっています。このトンネル内に、何らかの原因でむくみが生じ、神経が圧迫されるために起こるのがこの病気です。直接の原因はいまだ不明で、ヘルペスやインフルエンザなどのウイルス感染がきっかけになるとも言われていますが、恐らく特定の原因があるわけではなく、さまざまな状況で発症するものと考えられます。また顔面骨のトンネルが生まれつき狭い、という体質の人もいますから、個人差もあるはずです。 症状は、2~3週間で改善し始め、3~4ヵ月後にほぼ完治しますが、3割ほどの人は何らかの変化が長く残るとされています。治療は、プレドニゾロンという薬が有効です。そのほかの薬や運動療法、電気刺激療法などによる治療も試みられていますが、効果は証明されていません(文献1,2)。文献2には、実際の患者さんの顔写真が掲載されています。 コロナワクチン接種との関係については、多数の論文が発表されており、それらを厳選して17編に絞った上で、まとめを行ったレポートがあります(文献3)。それによると、以下のようなことが判明しています。  ・接種後1~48日の間に発症する  ・顔面の左側に比較的多い  ・すべての年齢層に認められ、男女の差はない  ・ほとんどがファイザー社かモデルナ社のワクチン接種後に起こっている さて、問題は本当にワクチン接種と因果関係があるのかです。真相を究めるにはランダム化比較試験しかないことは、繰り返し述べてきたとおりです。しかし、mRNA型のワクチンについて行われたランダム化比較試験は、ワクチンを製造している製薬企業ごとに1編ずつしかなく、その中でも、ベル麻痺に言及した論文は、ファイザー社とモデルナ社の各1編しかありません。 両論文のデータをまとめたところ、プラセボ群に比べてベル麻痺の発症率は3.57倍も高くなっていました(文献4)。その他の論文も含めると、インフルエンザや髄膜炎などのワクチンでベル麻痺の増加は証明されていないこと、このように高い値はコロナワクチンにしか認められないこと、そしてその発生率は自然の発生率と比べて1.5~7倍も高いという結論になります(文献5~7)。 米国食品医薬品局(FDA)は、日本の厚生労働省と同様、すべての副作用を「ワクチンとの因果関係なし」と決めつけてきた役所ですが、一時、「ベル麻痺とワクチン接種の因果関係は認められない」としていた公式文章の文言を、のちに削除しました。つまり因果関係は認めるという立場に変わったのです。 ベル麻痺は、心筋炎と並んでコロナワクチン接種後に確かに増加することが確認されたことになります。接種後、かなり時間が経ってから発症していますから、自己免疫病と同じメカニズムが働いていると推測されます。 気がかりなのは、ずっと昔からあった病気ですから、たとえ病院を受診してこの病名をつけられたとしても、コロナワクチンとの関係は言下に否定されてしまっていたであろうことです。コロナワクチンの悲劇を表わす真実が、統計データとして記録されないまま、永遠に埋もれてしまうのかもしれません。 【暮らしのヒント】  前々回(2023.10.16)の当ホームページで、オミクロン株やインフルエンザに特効薬はなく、感染してもあえて薬はいらないという報告をしました。それにしても、新型コロナとインフルエンザ、それに普通の夏風邪も加わって、体調を崩す人が非常に多くなっています。テレビが煽るせいもあって、そのような人たちが医療機関に殺到しているのです。  どの医療機関でも、発熱者に対しては粗末な小部屋や路地、玄関先などで診療が行われています。そのような場所での診察は、高熱を出している人にとって、ただただ辛い時間となり、病状を悪化させているだけのように見えます。インフルエンザやオミクロン株の感染症では、高熱が3~5日ほど出たり、咳が数週間も続いたりするものです。  発熱や咳、鼻水、下痢などの症状は、病原体を滅菌し、あるいは早く体外に排除するための大切な生体反応です。このような症状は、薬で止めてしまうのではなく、体を休めること、水分と栄養を少しでも摂ること、抗酸化物が豊富な果物をとることなどが治療の原則ですが、つらい症状には市販薬が大いに役立ちます。家のくすり箱に、以下の市販薬を備えておくだけで、ほとんどの場合、医療機関に行かずにすむはずです。  ・解熱鎮痛剤:アセトアミノフェンだけを成分とする商品(胃に負担がない。体温38℃以上で飲む)  ・総合胃腸薬:制酸剤、消化酵素、ロートエキスを含む商品(胃痛、嘔気、下痢などに有効)  ・咳止め:  ブロムヘキシンやL-カルボシステインを含む商品、あるいは龍角散などの生薬  ・のどの薬: 塩水でうがいするのがベスト、市販品ではヴイックスメディケイテッドドロプなど  くすり箱には、ほかに体温計とパルスオキシメータも入れておきましょう。呼吸が苦しいとき、あるいはパルスオキシメータの測定値が92パーセントを下回る状態が続く場合は受診が必要です。 【参考文献】 1) Murthy JK, Bell's palsy: treatment guidelines. Ann Indian Acad Neur, Jul, 2011. 2) Obermann M, et al., Bell's palsy following COVID-19 vaccination with high CSF antibody response. Neurol Sci, Jul 29, 2021. 3) Shahsavarinia K, et al., Bell's palsy and COVID-19 vaccination: a systematic review. Med J Islam Repub Iran, Jul 30, 2022. 4) Rafati A, et al., Association of SARS-CoV-2 vaccination or infection with Bell palsy, a systematic review and meta-analysis. JAMA Otolaryngol Head Neck Surg, Apr 27, 2023. 5) Ozonoff A, et al., Bell's palsy and SARS-CoV-2 vaccines. Lancet Infect Dis, Feb 24, 2021. 6) Cirillo N, et al., Bell's palsy and SARS-CoV-2 vaccines - an unfolding story. Lancet Infect Dis, May 28, 2021. 7) Wan EYF, Bell's palsy following vaccination with mRNA (BNT162b2) and inactivated (CoronaVac) SARS-CoV-2 vaccines: a case series and nested case-control study. Lancet Infect Dis, Aug 16, 2021.           
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