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投稿者:葉蔵
専用使用権はありますが、あくまでもバルコニーは共用部分であり、入居者全員の生命を守るための避難場所および避難経路(避難通路)です。 ●巨大地震時の変形で玄関ドアが開かない場合や、火災時などに外廊下(外階段)から避難できない場合、その際に逃げる経路はバルコニーしかありません。 ●その重要な避難経路(避難通路)が各戸の私物で塞がれている※1ようでは入居者全員の生命は絶対に守れません! ●バルコニーの蹴破り戸(隔て板)の前や避難ハッチの上、避難はしごが下りてくる場所には物を置いてはいけません。 「いざという時になったらどかせばいい」そんな風に考えている方もいるかもしれませんが、バルコニーの避難経路を利用するのは自分たちだけではありません。他の居住者の方を危険にさらしてしまう可能性もあるのです。 ●避難の支障になる物件が放置されないよう又はみだりに存置されないよう平時から常に避難経路として維持管理しておくことは専用使用者に課せられた義務です。 ●普段からバルコニーの避難経路は、物や観葉植物などで塞ぐことのないようにしてください。 (※1:区分所有者の共同の利益に反する行為(区分所有法6条1項)に当たります。) ----------------------------------------------------------------------- 【裁判例】 マンションのバルコニーは、構造上、専有部分(居室の内側等、区分所有権の目的となる建物の部分)に付属していますので、当該専有部分の所有者が専用使用することができます。 そのため、バルコニーは居室の延長部分として専有部分に当たるとも考えられます。 しかしその一方で、バルコニーは、構造上、隣の住戸と接着して作られており、また、火災時等、緊急時の避難通路としても想定されています。 このことから、一般的には、バルコニーはマンションの共用部分であると考えられています。 では、バルコニーを共用部分と考えると、その利用はどれほど制限されるのでしょうか。 この点につき、裁判例には、「バルコニーは建築構造上躯体の一部であり、管理上も共用部分と考えるのが一般的であるから、居室の居住者の専用使用権が認められるとしても、建物の居住者等の緊急時の避難を妨げ、もしくは建物自体の維持・管理を妨げ、老朽化の原因となり、あるいは建物の美観を害するような利用は、その性質に照らしても予定されていないものと解するのが相当である」と判示したものがあります(東京地裁平成3年11月19日判決)。 このように、緊急時の避難の妨害となるような利用や、建物自体の維持、管理を妨げる利用、老朽化の原因となるような利用、建物の美観を害するような利用は許されません。 そのような場合であれば、管理組合の指示に従い原状に戻す必要があります。 なお、緊急時の避難を妨げるような物をバルコニーに設置することは区分所有者の共同の利益に反する行為(区分所有法6条1項)に当たり得ますので、他の区分所有者は、集会の決議によって、これを原状に戻すよう訴訟を提起することもできます(同法57条1項、2項)。 -----------------------------------------------------------------------
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