投稿者:書類がドン エレオノーラ・エルグバリ
私もウプサラ住まいが長かったから、首都政界の微妙な人間関係の肌感覚が分かってなかったのかもね……
ええ、実際、私の「文法」は完璧に作用したのよ。
完全に組み合わされた有機的なスパイ網、「望む時に」「望む場所に」「望む内容の」偽書を届ける私の能力、
確認不可能な状態で、疑うのが不可能な情報を、望むがままに操る。
特に、書類を扱わせれば、私はこのスカンジナビアの誰にも負ける気はしないわ。
ただ、あのアンドレアス・フォルク監査委員長は予想外だったわ。
弁舌爽やか、優秀なエリート弁護士、リベラル政党で栄達を望む野心家、駒としては最適だったはずなのに……
フタを開けてみれば、あんなアホだったとは。
「協調ブロックの左右分離をちょーっと煽って、左派を労農に接近させる」
作戦は完璧だったのに、あんな大事になるなんて思ってなかったわよ……パルメ総裁とエプレボリ伯爵にも悪いことしたわ。
ああ、そんな怖い顔しないで。
自慢しているわけじゃないんだから……私どれだけウリヤノフ市長に怒られたか。
立場ないわよ、トホホ。