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不老長寿
鹿伏兎定長 投稿日:2017年10月28日 14:28 No.5

米科学者が加齢を止める方法を発見

 「クルッペル様転写因子」という分子の経路を増減させることで、動物の寿命を伸ばせる可能性があるそうだ。

 米ケース・ウェスタン・リザーブ大学薬学部の研究チームは、線形動物(カエノラブディティス・エレガンス/Caenorhabditis elegans)のクルッペル様転写因子経路を編集して、その量を増やすことで、寿命を増減させられることを発見した。

 この研究を率いたネルソン・シェイ(Nelson Hsieh)博士によると、線形動物、C. エレガンスは哺乳類と同じタンパク質ファミリーを持っており、哺乳類の加齢においても同じ効果が得られる可能性が期待できるという。

 研究チームが発見したのは、クルッペル様転写因子を多く持つC. エレガンスは寿命が長く、健康であるということだ。また同じ結果がマウスからも得られている。
 
 ここからクルッペル様転写因子タンパク質の機能は、自食作用を制御することではないかと推測された。

 自食作用とは、加齢とともに蓄積してしまう分子副産物を清掃する細胞の機能のことだ。細胞の加齢が進むとこの作業の効率が下がり、やがて細胞の生存が脅かされるようになる。

 そこでクルッペル様転写因子を増やすことができれば、細胞が自食作用をそれまでより長く維持できるようになると考えられるのだ。

 またクルッペル様転写因子の量を維持することで加齢にともなう血管機能の低下を防げることも観察された。血管機能の低下は高血圧、心疾患、痴呆といった加齢に関連する症状に大きく寄与することが知られている。
 
 今回の発見は加齢によって起きている現象を明かしたものだ。今後、加齢の進行を遅らせる技術の開発の基礎になるだろうとのことだ。


*転写因子

転写因子はDNAの配列を認識・結合し、遺伝子の発現を制御するという基本的機能を持つタンパク質の一群である。

ヒトゲノムは、1セットあたり4種類の文字(A, T, G, C)を使って書かれた、約30億文字の言わば暗号配列です。しかし、タンパク質の設計図が書かれている部分は、暗号全体の数%です。それでは、残りの配列は何をしているのでしょうか。残りの配列の一部には、タンパク質が、どの細胞でいつ・どのくらい発現するか、厳密にコントロールするための配列(制御配列)が含まれています。

私達の細胞は、基本的にどの細胞でも、つまり血液の細胞でも、皮膚になる細胞でも、同じゲノムを持っています。しかし、血液の基となる細胞が、血液の細胞になれたのは、血液で必要なタンパク質だけが、必要な時期に必要な量、発現したからです。例えば、血液で重要な遺伝子の近くにはG-A-T-Aという制御配列があり、血液で働くGATA-1と呼ばれる転写因子が認識して結合します。酸素を運搬するヘモグロビンをつくるのに必要な遺伝子の近くにも、-G-A-T-A-という配列があり、GATA-1転写因子が結合して遺伝子の発現をONにしています。

しかし、G-A-T-Aという配列があれば、必ずそこにGATA-1が結合して、近くの遺伝子のスイッチをONにするのかというと、そうではありません。-G-A-T-A-の配列の周辺の配列や、協力して働く別の転写因子の結合する配列があるかなどの様々な条件が整って、初めてGATA-1が機能を発揮できるようになっています。さらに最近では複数の転写因子が結合したときに、その間をつなぐような働きをする転写共役因子の重要性も指摘されるようになってきました。制御配列も含めて、私たちのゲノムの多くの部分の機能は、分かっていません。ヒトの遺伝子の解読技術が飛躍的に進んだ現在、この制御配列の解明が期待されています。









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