本型の特徴として進化したパワーエレクトロニクスを用いた護衛艦としては初めてとなる、2台のガスタービン主機と2台の推進電動機とを組み合せた『COGLAG(COmbined Gas turbine eLectric And Gas turbine)』方式推進機関が採用されています。
具体的には「低速・巡航時はガスタービン発電機を用いた電気推進、高速時には更にガスタービンエンジンによる直接機械駆動も併用して推力を得る」方式となります。
フェリーなどの商船では近年ディーゼル電気推進機関を採用する船が増えてきていますが、日本の護衛艦などはディーゼル機関の効率の利点よりも、大出力発揮時の振動や機関音の大きさという欠点のほうが重視されてガスタービン主機が採用され続けてきました。この流れから本型は電気推進の原動機にはガスタービンを使用した、IHI製『IM400ガスタービン発電機(出力:2.8 MW)』が2基搭載されています
また、一般的な商船ではまず必要とされない30ktの最大速力を発揮するためにガスタービンエンジンによる直接機械駆動も併用して所要推力を得るようになっています。このブースト用ともいえる高出力ガスタービンとしてGE/IHI『LM2500IECガスタービンエンジン(28,000ps)』が2基搭載されています。
これらを用いて『1軸に対してガスタービン主機及び推進電動機が各1台装備されており、いずれか一方又は同時に運転することで推進力を得る』2軸推進可変ピッチプロペラ推進であることが本型の最大の特徴といえます。
また、前級の『あきづき』型に類似した船橋上方の構造物は、対空任務を重視した『あきづき』型に搭載されている僚艦防空任務(Local Area Defense)に対応可能な「FCS-3A対空戦闘システム」を、個艦防空(Point Defense)用にダウングレードしつつ整備性・抗堪性の強化、信号処理能力・抗堪性の向上とともに、将来拡張余地も確保された「OPY-1多機能レーダー」が搭載されています。