掲示板 > 記事観覧
レポート 2001 クロスカントリーキャンプ ( No.14 )
日時: 2023年05月21日 09:37
名前: SATA_office [ 返信 ]
[ 削除 ]
旧SATAHPからの転載

クロスカントリーキャンプ成果報告
3週間にわたるクロスカントリーキャンプが無事に終了しました。
今回はウェザーにも恵まれ、合計17本ものクロスカントリーフライトが達成されました。

600Km 1本
450Km 1本
300Km~ 6本
200Km~ 3本
100Km~ 6本

5/27
180km EY DG400 M.Ishii

5/28
600km EY DG400 Y.Higuchi

5/30
140km TD Discus bT K.Onoda

6/ 4
110km TD Discus bT K.Onoda

6/15
320km AS ASW20L T.Ikeda
300km BD Discus a N.Kishimoto
180km 33 JANUS CM Y.Higuchi&T.Wakai
100km DC Discus CS Y.Terada
100km TP ASW20CL S.Hiraoka

6/16
450km 33 JANUS CM T.Ikeda&H.Yokoi
330km AO LS6C T.Okura
300km EY DG400 M.Ishii
300km MT LS4 Y.Nishizato
260km DC Discus CS Y.Terada
200km TP ASW20CL S.Hiraoka
200km AF DG400 H.Yokoi


1
▼ページの最下部に移動
5月28日、600km 日口 ( No.17 )
日時: 2023年05月21日 09:46
名前: SATA_office [ 返信 ]
[ 削除 ]
600kmフリーディスタンス -国内自己最長飛行の一日-



飛行データ

 日時:平成13年5月28日(月)

    10:02~17:23(7+21、エンルート7+09)

 変進点:芦別湖/神威山/幌尻岳/西興部/落合

 使用機:DG400/17m(JA2401:EY)

 

フライトインプレッション

 前日の寒気が残っているかが最大の関心事だった。朝、目が覚めると滝川エリアは層雲に覆われていたが、家を出るときにはもう割れ始めている。この時間に割れてくるなら影響は最小と考えていい。問題は、平野でなく山だ。いつ、どこにファーストCuができるのか?

 空と対話ができればいい…今日の、フライト上の唯一のテーマだった。天気図は確認していない。空の変化兆候を見逃さない、それを自らに課した。積雲は各山岳エリアに点在する程度にしか発生していない。急速に発達・増殖する様子もない。先ずは我慢比べか?10:02、離陸。

 上昇時、可視エリアの状況を観察する。離陸から機は微動だにしない。ヘイズトップは2500ft、全ての谷の空気は死んでいると考える方が良さそうだ。山もかなりの影響を受けている。美唄山系と音江山系は申し訳程度に積雲の一群れ。幌内山地上には低めの積雲が列を成しているものの、芦別岳~夕張岳ラインには積雲のかけらも無い。これは珍しい。その南東、日高エリアには積雲が広く分布しているようだ。日高山脈の東側はコンバージェンスに伴う低いカーテン雲が見え、十勝平野に抜ける飛行は望めそうにない。十勝・大雪山系にも西斜面に積雲は全くなく、裏大雪エリアのみ7000ftベースで既に活発化している。オホーツクエリアは白滝~置戸ラインあたりに既にコンバージェンスラインが発達しているのが確認できる。どこまで気温が上がるかがポイントか、気温が上がれば熱射型コンバージェンスコンディションになる。後は天任せ…。

 美唄山の内陸側、最も近い所にエンジンを使って滑り込む。ベースは4500ft、低くはない。すぐに内陸側の高いベースに乗り移る。ave.1.0m/s、5200ft。でも周囲の積雲は全てベースが低い。おまけに吸い込んでくれない。下の地形を読み、トリガーポイントを絞ろうとするが地面付近の風が読めない。雲はすぐに途切れ、芦別湖へ行って帰って来る間、どんどん地面が迫り、美唄山の稜線が高く感じる。と、全く偶然にいいプラスをヒットする。3300ftからave.3~3.5m/sで一気に5300ftまで回復する。上昇する間に、ゆっくりと考える。ここでじっとしていてもしょうがないから、とにかく北上する。先ずは音江山の雲に取りついて、幌内山地へ向かおうと。スピードを出して高度を下げ、低いベースに合わせて雲から飛び出す。今日最初の谷渡りだ。約20km、最良滑空速度を守る。大気はやはり微動だにしない。3200ftで音江山の積雲の下へ滑り込むことが出来た。ずらしていくうちに、ave.2m/sで上昇する。南斜面と北斜面とで明らかな山岳型コンバージェンスを形成していることに気づく。上空の風は弱い北西か? ベースまでまだ高度差があるが、上昇率が急激に落ちてくるので、早めに神威山経由幌内山地へトラバースする。またも谷渡り、最良滑空。幌内山地の積雲列は東斜面側にオフセットしており、稜線上に点在する積雲とステップを形成している。稜線上には次々と積雲が新しく生まれ、ベースも高い。強い日差しを受けた南斜面のひだから立ち昇る空気をイメージした。この頃には遅まきながら芦別岳から夕張岳の稜線上に積雲が点在し始めた。2m/sの積雲を2~3個乗り継ぎ、迷わず滝里ダム西側から布部岳西斜面につながる積雲のパフにトラバース。まとまりのないサーマルを乗り継ぐうちにave.2.5m/sのブルーサーマルをヒットし、7000ftに達する。この高度なら難なく西斜面を使える! 上空の弱い西風を意識しながら、芦別岳の南西斜面へ突っ込む。そして小刻みに高度を稼ぎ、夕張岳へ向かう。狙った積雲下でAve.3.5~4m/s、7500ftまで上がる。その先は飛行距離を伸ばすため南東進を考えていたのだが、観察すると日高方面はベースが二段も下がっている。一段低いベースに突っ込み、東進しながら南東進するルートを探る。と、よく見るといくつものカーテン雲がCuベースから垂れ下がっており、そのラインはトマム経由日高山脈の奥深くへと伸びていそうだ。時々、強いプラスを感じて高度を獲得する以外はガンガン飛ばす。久し振りにトマムのツインタワーを眼下に押さえる。ラインはこの辺りから進路を大きく南に変えている。日勝峠を横目に、ライン沿いにさらに南下する。急激なサージを感じてプルアップすると、ave.4m/s近いプラスに出くわす。ベースまで一気に駆け上がる。7800ft。さらに、次のプラスでは8200ft。東側は低く落ち込んだ積雲で十勝平野は全く視認できない。西側の積雲も一段低く、確認できるのは眼下の日高山脈の切り立った、どれも同じような稜線だけだ。機位を判定する地上目標を探す。ふと、西側に小さな湖が見える。奥新冠湖か? 肝心の新冠湖は山に隠れているせいか視認できない。そうすると、幌尻岳は越えたことになるな、でもどれが幌尻岳かわからなかったな…。そうこうするうちに、ベースが一気に1000ft以上下がり、山脈と完全にくっつき、前進を阻んでいる所に出くわした。カムイエクウチカウシ山か? とにかくここで反転、北上を決意する。

 四方を海に囲まれた北海道で、さらに飛行距離を伸ばそうと思うなら、海辺に近づくにつれて下がり続けるこのコンバージェンスの(積雲の)ステップをどこまで我慢して高度を下げられるかが、いよいよ次の課題となってきた。今回のケースでは、さらに西側へとコースを迂回することで、ベースは低くなろうとも積雲列の切れるところまでさらに南進が可能だったであろう。イドンナップ岳の西側を通過し、春別ダムあるいは静内湖に足が伸ばせただろうか? 今回、フライト後にGPSトレースを解析すると前進を阻止された地点がまさに日高山脈最高峰の幌尻岳だったことがわかった。コンバージェンスコンディションにより地点目標の取りずらい、似たような稜線の続く日高山脈の奥深くへ入って行くコース取りは、容易にロストポシションを引き起こすだけでなく、クルーズバンドを狭め、自分の行動範囲を自ら制限してしまうだけのようだ…ということを1994年にインゴさんから学んだはずなんだけどなあ…、すぐ高い方へ、高い方へと行きたがる!

 帰路は、ほぼ同じコースをコンバージェンスラインに沿って北上する。今度はどこまで北へ伸ばせるかだ。音威子府まで行ければ最高だ! トマムまで戻って北のエリアを見通すが、十勝岳への直行コースは完璧なまでのブルーエリアが広がっている。この谷渡りはどうみてもエンジン頼みのいちかばちかだ。ここはラインに沿って来た道を戻るしかないだろう。夕張岳~芦別岳~幌内山地を経由した後、幌加内までのブルーエリアを避けるため、神居コタンから旭川市街地北部に列を成して点在しているように見える、頼りなさそうな積雲を伝って白滝~置戸のオホーツクコンバージェンスラインにつなげ、さらに北上するという壮大な!ルート取りを考える。金山峠でave.4m/sを捕まえ、下げた高度を一気に回復、そこから伸びる積雲列を使ってダイレクトに布部岳へ抜ける。時間はまだ13:30。積雲は発達こそすれ、衰退の傾向は全く見られず、一抹の不安も感じない。西側から悪い空気がやってくる気配もない。上空の西風成分も非常に弱く、むしろ今日の条件はこのまま夕刻遅くまで残るに違いない。布部岳で最高高度を獲得し、何度目かのブルーエリア横断を試みる。幌内山地への谷渡りの際中に、もう一度じっくりと幌加内経由北上ルートと旭川市街から層雲峡を経由して北上するルートを再検討する。

 幌内山地の積雲列は午前中よりもさらに東側に位置している。そこから十勝岳方向へ短く積雲列が伸びているが、盆地の上は相変わらず完璧なブルーエリアが広がっている。よく見ると、神威山から先の進行方向は30km近く全くのブルーのようだ。困った…。確実に北上するにはここで十勝岳にトラバースするしかないな、途中のパフと西斜面の熱量を信じよう! 十勝連峰の稜線上は、今日は珍しく積雲が発達せず、所々積雲が点在する程度だが実際飛んでみると全くの杞憂だった。随所に強いブルーサーマルがあり、クルーズバンドを下げることなく天人峡の積雲下へ滑り込むことができ、3m/sのプラスで上昇。そこから旭岳、愛別岳を回りこみ黒岳へ、と書くといかにもスムースに事が運んだように聞こえるが、実際はこの辺りでは思惑が大きく外れ、ただただズブズブと沈むばかり…層雲峡を越えてニセイカウシュッペ山の南斜面へ辿りつく頃には山頂よりもはるかに低く、クルーズバンドの下限をとっくに下回っていたのでした。それでも諦めずに前進したのはこの山の裏側には白滝へ下っていく道路沿いに、畑地や牧草地などの大きなアウトランディング適地があることを十二分に調査済みであったことと、さらには白滝~置戸に横たわるオホーツクコンバージェンスラインのベースがどう少なく見積もっても9000ftはあると思えたからだった。さらに、白滝方向へ伸びる稜線上を少しずつ試しながら、ついにave.2.5m/sながら6000ftからベース9000ftまで上り詰めることができたのだった。

 ここからラインに沿ってさらに北上を続ける。カーテン雲が目印となり、ラインを保つのは容易で、所々強いプラスを使ってクルーズバンドを保ちつつ前進するが、いつも通り北上するに従いベース高度は徐々に下がる。ただ、名寄以北のエリアではオホーツクコンバージェンスと留萌コンバージェンスが混合され、南北方向の積雲列としてさらに北へと伸びていた。帰りのルート取りは留萌コンバージェンス沿いに進むことも考えたが、夕刻になるにつれ幌加内以南のエリアはブルーアウトするのは日を見るより明らかで、確実な帰投はやはり大雪山~十勝岳経由しかないだろう。15:30までは北上を続けようと思っていた(インゴさんの到達した仁宇布へ何としても足を伸ばしたいと考えていた!)が、滝上の芝桜を確認し、ウェンシリ岳を越えたところで積雲列が途切れ、急に決意が鈍る。結局、ここで北上を諦め、再度南下する。元来た道を引き返す時には、大気が呼吸しているかのように良くなったり悪くなったりしているラインの発達とうまくタイミングが合ったようでほとんど失高することなく天塩岳まで戻ることができ、ここでベース(8100ft)まで上げた後、旭岳までの長いグライドに入れた。

 5000ftで旭岳周辺に点在する積雲下に到達。そのうちの一つで高度を上げなおして時間を確認するとまだ16:00前。帰るというよりはまだ行けるところまで行くという自分の気持ちを確認、選択的にサーマルを拾い、クルーズバンドを下げることなく十勝岳西斜面に発達した雄大積雲に滑り込み、旋回することなくベース高度(6700ft)へ上げた後、今度はそこから富良野岳との間のコルを抜けて上ホロカメットク山にかかる東西方向の積雲列へとトラバース、最大高度を獲得した後、トマム山上空のコンバージェンスラインへ向かってブルーエリアを谷渡り。このコンバージェンスラインは東西方向に芦別岳付近にまで伸びているようなので、帰りはこのラインを使えばファイナルグライドも容易と判断し、強気でプッシュ。久々に5000ftを切る高度まで下がったもののすぐにいいプラスを捕まえ7000ftまで上昇、ラインに沿って狩勝峠へ向かう。が、東からせり出したカーテン雲にすぐに行く手を阻まれ、落合上空で最終的に帰投を決意。約80km、6500ftながらここから実質的なファイナルグライドと考え、ラインを着実に辿って失高を押さえて飛ぶ。山部(東大演習林)上空で雲列は途切れていたものの、グライドパスには十分にのっていたのでそのままグライドを継続。唯一、美唄山稜線の手前で大きめの沈下に遭遇し、久し振りの浅いパスにちょっと心が乱れる。平野の風もこの時、北風に変わっていることが分かる。この沈下は前線の位置が影響したのだろうか?

 結果的には計算通りに10km地点を通過、17:22フィニッシュ。国内自己最長飛行となった、長い一日が終わった。

ウェザーデータ

札幌(09:00) 気圧(HPa) 風向風速(kt) 気温(℃)
1000 097/08 10.6
925 261/06 9.7
900 311/08 8.8
850 313/12 5.2
800 356/12 2.9
700 009/12 -3.8
札幌(21:00)
気圧(HPa) 風向風速(kt) 気温(℃)
1000 338/04 14.5
925 234/08 12.5
900 247/08 10.6
850 281/08 7.3
800 297/08 3.9
700 295/10 -0.5

最高気温  札幌21.7℃  旭川22.3℃


6月16日、260km 寺田 ( No.16 )
日時: 2023年05月21日 09:42
名前: SATA_office [ 返信 ]
[ 削除 ]
260kmフリーディスタンス 

 南東20kmの美唄山までATで曳いて行ってもらった。山まで行けば平野より早く対流する。
ストリートを奥に進むにつれ6000、7000とどんどんベースが上がり、布部岳で7800ft。尾根に沿って南下し芦別岳、鉢盛山をクリア。富良野方面のエリアまで進出するのは今回が初めて。夕張岳がそこに見えていたがCuが途切れていたので引き返してしまい、非常にもったいないことをした。
 エリア自体は活発に対流しているので、芦別まで戻り滝里から布部岳、そして再び芦別岳をぐるぐるとまわり距離をかせぐ。クルーズバンドは6000~7000ft。西里LS4、平岡W20と同じエリアを飛んでいた。大倉LS6、石井DG400、横井DG400はここからはるか遠くに見える大雪山系へ渡ったらしい。池田/横井Janusはなんと北見まで行ってしまった。
 次に何とか北上して幌内山系へ渡りたかったが、ブルーなので躊躇していると、西里LS4がわずかな雲をつないで渡ったことを後で知った。やむなく積雲伝いに赤平経由でイルムケップへ渡る。5000ft。
 が、イルムの手前で滝川前線の発生を知り、即座に前線ソアリングに切り換え平野へ一気にグライド。3800ftまで降下したところで前線にのり、6000ftでスカイパーク上空を横切る。そのままピンネシリまでグライド。
 滝川へ戻る途中でまたサーマルで6000ft。夕方にもかかわらずサーマルの勢いはいつまでも衰えず、美唄オーバーパスへグライドして戻る途中でまた6000。今度は歌志内までグライドする。
 滝川まで戻ったところでJanusの接近を知り、ファイナルグライドを警戒してさっさと着陸した。
 昨日のベース4000ftサバイバルに比べるとパラダイスのようなコンディションでした。
 初めて進出するエリアなのでハイバンドキープを心がけ、非常に楽しく飛べました。ただ少し慎重過ぎて移動距離がいまいちでした。スーパー・ビッグデーだからもっとメリハリつけ積極的に飛ぶべきだったと思います。


6月15日、300km 岸本 ( No.15 )
日時: 2023年05月21日 09:41
名前: SATA_office [ 返信 ]
[ 削除 ]
1.飛行年月日 2001年 6月 15日
2.パイロット氏名  岸本 信弘
3.グライダー型式 Discus-A “JA32BD”
4.クラス
□ クラブクラス ■ STD □ 15m
□ 18m □ オープン □ その他
7.離陸時刻 10:20
8.着陸時刻 15:40
9.飛行時間 5+20
10.飛行距離 300 km
11.タスクの種類
■フリーフライト □ 宣言フライト □ FAI認定フライト □ 競技会フライト □その他
12.start  time
12.goal time
13.エンルート タイム 4+20
14.平均 速度 70 km/h
15.曳航方法 航空機曳航
16.出発高度 2000ftMSL
17.最高高度 7100ftMSL
18.離陸 滑空場 Takikawa Sky Park
19.使用した リフトの種類
■ サーマル □ スロープ □ ウエーブ ■ コンバージェンス □ その他

20.飛行経路

Takikawa → 芦別岳 → 富良野リゾート → 幌内山地 → カムイコタン
Sky Park  (夕張山系)         (上富良野・美瑛西方)
幌加内 → 朱鞠内湖北方5Km → 幌加内 → イルムケップ → Takikawa

 6月10日より北海道東南東オホーツク海上にて居座りつづけた低気圧もようやく13日後半より移動の兆しを見せ始める。 西側には高気圧がペアで移動しつつあり、15日の金曜日から週末にかけてXCフライトが出来る条件になりつつあることが予期できる。

当日の朝8時頃、既に東側内陸部には低いながらもCuのポップアップと所々にストリートが見られ、昨日の寒気がしっかり残っている事を確認。 喜び勇んで準備に取りかかる。 水バラストは60L搭載。 先週末より悪条件のお陰?で機体の整備に十二分の手間を掛ける事が出来た。 翼も胴体もワックスでつるつるピカピカ、アウトランディングツールも搭載済み。 後は、サーマルのブレークスルーを狙い飛び出すのみ。 今日の予定は少なくとも300KmのXC、又は豊富温泉O/Lでリトリブ部隊とドンちゃん騒ぎのいずれか。 10時にフライトプランを入れる。

気圧の場としては西高東低であるが、上空はどうも自分とは相性の悪い北東流が卓越している様子。 日口教官より、距離を伸ばすのであれば上がってからも臨機応変にタスクを見定める必要がある事と、東西よりも南北の方が良さそうである旨のコメントをもらう。

 10時20分予定通り、テイクオフ。 水は左右30Lづつの積もりであったが、どうも左翼だけ10L位積み過ぎたようだ。 左翼を落とさない様、右翼を押え付けて最後まで走ってもらった日口さんの努力も実らず、しっかり左翼を一発落としながら離陸となった。

東側の対流が良さそうであるが、未だクラウドベースは2000ftそこそこ。 とりあえず、7km東2000ftで離脱。 ところが、しっかりしている様に見えたCuだが、どこもかしこもスカスカ状態。 半周0.5ktに入れば良い方。 先に離陸して行ったLS-6も美唄山系のあたりで苦戦している無線が入る。 結局、1時間近くのた打ち回り、1500ftを切った時点で水バラストを全てダンプしてしまった。 ようやく11時過ぎよりブレークスルーが始まり、3000ftに達した時点で移動開始。 一路美唄山系を目指す。 美唄山上空で4000ft近く上昇し、次ぎは、布部岳へ。 いつもの通り北西~南東のストリートが何本か出来ているが、同じCuでも、北側の方が500ft近くベースが高い。 芦別岳到着時もやはり北側の方が高く、ここで上げて富良野盆地へ進出。 夕張岳へ向かうAS池田教官を視認。

夕張山地の富良野側は、北東流といえど目立った良い徴候は無く、仕方なく富良野リゾートへ転進。 布部岳のピークで一息つきながら次ぎのルートを思案。 北側の幌内山地沿いに高くは無いがしっかりしたストリートがあり、更に幌加内より名寄方面に別のストリートが出来つつあることが確認できた。 今日は何がナンデも大雪へ行こうと決めてきたのだが、離陸前の日口さんからのアドバイスを思い起こし距離優先でルートを決めることにする。 ブルーホールを暫く渡らなければならないが、この高度(5000ft)だったら大丈夫だろう。 AS池田教官より無線で夕張岳もあまり良く無い様子で、北へ転進するとの事。 こちらのインテンションを伝えた所、もしストリートの高度が高ければ芦別辺りから変針して合流されるとの事。 心強い限りだ。 

幌内山地沿いのストリートは4000ft以上あり、コンバージェンス性の為か、東側(富良野盆地側)の方が高かった。 右手に大雪山系の山々や美瑛の美しい丘を眺めながら殆ど旋回する事無くストリートの中を一気にグライドする。 思わず鼻歌が出る。 このストリートは、カムイコタン手前でイルムケップの方に迂回していたが、先程の予想通り、幌加内から活発な別のストリートが東側と西側に各1本、音威子府の方へ延びている。 これが、あの留萌コンバージェンスか?

程なく、幌加内の高速のトンネル上空で旋回中のAS池田教官を視認。 無線を入れ、合流の為暫く待っていただく。 AS池田教官と幌加内で無事合流。 ここからは、リード&フォロー形式でどんどん引っ張って行って頂く事にする。 池田教官の場合、多忙かつグライダーを公務とされておられる立場上、ASで自分のフライトとしてXCに出られる事自体が殆ど無いのに、フォローアーとして一緒にXC出来る事は千載一遇のチャンス。 必死に追いて行く。 

それにしても、ASのフライトは本当に華麗だった。 先ず、2本のストリートの内 西側を少し利用した後、ベースの高い東側へ渡って北上を続ける。 本当に強いサーマルとその強いサーマルバンドのみを有効に使い、決してクラウドベースまで上がりきる事はしない。 旋回は出来るだけしない。 かつ、必要な時はキチッと上がる。 あくまで、ストリートは対流の“結果”であり、常に地形(特に山の稜線)優先でコース取りとサーチを行う。 今回の場合、インターサーマルはほぼ70kt。 エンプティ‐のDiscusでW20について行くには少々厳しいものがあったが、単独ではもっと高速で飛んでおられるのだろう。 それでも、合流から後のAve.スピードは100Km/h以上あった。 こういうフライトが出来ないとやはり長距離XCは無理。 オーラと言おうか自身に満ち溢れた気迫が機体からほとばしっていた。 これが、1000Kmパイロットのフライトなのだ。

必死にフォローして行く中、前方に朱鞠内湖が見えてきた。 この季節の北海道は本当に美しいと思う。 さっきまで残雪の山のピークを飛んでいたのに、今は緑一面の大地に広がる透き通った湖の上を飛んでいる。 AS池田教官は躊躇する事無く湖の上空をまっすぐ飛んでいく。 高度に余裕があるとはいえ、グライダーではなかなか出来ない事。 絶景だった。 その後、湖を南から北へ横切って更に北のCuでサーマリング。 

ストリートは音威子府以北まで続いている様子であったが、池田教官の予定(午後5時より公務)の為、この地点で折り返す事となった。 豊富温泉は又の機会としよう。

帰路、風は前半の北東流から弱い南にシフトしヘッダーの中を帰る事になる。 対流も往路よりも確実に深くなってきており、状況に関する認識の切替(ギアシフト)が必要である事を確認する。 名寄と足寄の中間地点より、別のストリートが旭川の北(愛別の辺りか?)を通って大雪山系へ延びている。 何時か、もっと早い時間に来れればこれを使って更に内陸へ進出したい。 そうすれば、500Kmも夢ではない。

再び幌加内手前まで戻ってきた頃、帰路の気楽さもあってか一瞬集中力が途切れた瞬間、ASをロストしてしまった。 対流の深い中、結局低い高度でのたうち回る羽目になりAS池田教官には申し訳ない事をしてしまった。

20分以上ロスをしてしまっただろうか? やっと対流の中心ゾーンまで戻る事が出来た。 

その後、幌加内上空でおよそ5000ft。 このままグライドしても戻れない高度ではない。 さて、ここでASはどのようなコース取りをするのだろうか? 興味津々で後を追うと、少し東へ迂回してイルムケップを目指している。 なるほどシュアな選択だ!

私はここで別れてカムイコタンのCuを狙った。 これ以上低くなって御迷惑をお掛けする訳には行かず、更に手前のリフトでもう一度上がりなおそうと思った為。 その後、イルムケップのピークで旋回しているASを視認。 有り余る高度を200Km/hの速度に変換しつつ、RWを東から西にローパス。 15:40 RW190にロングタッチ。

最後までシュアにリード頂いた池田教官。 並びに離陸前にコース取りに関しコメントを頂き、その夜の酒宴に辛抱強くお付き合い頂いた日口教官に感謝致します。 有難う御座いました。

Happy Soaring !!!


1
▲ページの最上部に移動
タイトル
お名前
E-Mail
削除キー( ※記事を後から削除する際に使用します )
コメント
画像


文字色
Powered by Rara掲示板