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青年は荒野をめざす
Johnny 投稿日:2018年10月09日 11:14 No.1990
「青年は荒野をめざす」で昔、こんな文章を書いていました。 

「ソ連民間航空のTU114は、雲海の上を粘り強く飛び続けていた。ハバロフスク空港を発ってから、もう六時間はたっぷり飛んだだろう。 私にとっては、ついてない空の旅だった。暑い雲海にさえぎられて、シベリアは完全にその顔を隠していた。わずかに見えたのは、離陸直後に急上昇する翼をかすめて光ったウスリー江ぐらいのものだ。」(「さらばモスクワ愚連隊」講談社文庫 p.6)
これは「さらばモスクワ愚連隊」。五木さんが作家として登場する最初の作品。その書き出しはこのようにして始まっている。主人公は飛行機でモスクワに向かっている。
そして、もう一つの作品。「ソ連極東船舶公団バイカル号は、今、船体をかすかに震わせながら、出航を待っていた。晴れた五月の真昼だった。乾いた初夏の陽ざしが、軽快なシンバルの連打のように海面を叩いている。海のほうから、潮の匂いを含んだ強い風が吹いていた。」(「青年は荒野をめざす」文春文庫 p.7)

この「青年は荒野をめざす」。この作品も当時夢中になって読んだ作品である。「……五千三百トンソ連客船バイカル号は、いま横浜港を出て、シベリアの玄関、ナホトカへ向かおうとしていた。」主人公ジュンは船旅でソビエトに向かおうとしている。二作品とも1960年代の物語。
2008年に出された「青年は荒野をめざす」の新装版には、新しくこう前書きがつけられている。「これは1960年代、旧ソ連とアメリカの間で激しい対立が続いていた時代、そして人工衛星が初めて宇宙を飛んだ時代の物語である。」
 この「青年は荒野をめざす」は「週刊平凡パンチ」に1967年3月から10月にかけて連載され、同年12月15日に文芸春秋社から発刊されている。この本は柳生弦一郎さんのジュンがトランペットを吹く白黒のイラストと裏表紙の五木さんの写真がダンディーで颯爽としていた。また「週刊平凡パンチ」は「週刊プレイボーイ」よりも先駆けて発刊され、ファッション、女性、自動車等のグラビアや若者向けの記事を中心に、当時の男性週刊誌のトップを切り発行部数100万部を突破したという。もう、今の五木ファンで「平凡パンチ」を知っている人も少なくなっただろうと思う。それに「面白半分」や「季刊誌NOW」という雑誌もあった。

海外旅行といえばベストセラーとなった小田実さんの「何でも見てやろう」を思い出す。「太平洋一人ぼっち」の堀江謙一さんや登山家の植村直巳さんなど冒険家もいた。今や海外留学などでも海外へ出て行く若者たちが少なくなっているという。

プロフェッサーは独り言のように呟くのである。「男たちは常に終りなき出発を夢見る。安全な暖かい家庭、バラの匂う美しい庭、友情や、愛や、優しい夢や、そんなものの一切に、或る日突然、背を向けて荒野をめざす。だから彼らは青年なのだ。青年の特権なんだ。……」(同p.393)
そして、ジュンは手紙の中でこう書いている。「世界とは?人間とは?青春とは?そして音楽とは?
ぼくは体中に、そのクェスション・マークが、ギチギチつまっていることを感じていました。それに息苦しくなって、ぼくは船に乗ったのかも知れない。……」(同p.396)
 
バイカル号、モスクワ、ヘルシンキ、ストックホルム、コペンハーゲン、パリ、マドリッド、リスボンと回ったジュンはアメリカに渡ろうとする。新たな未知の荒野をめざそうとする。
五木さんはこの「青年は荒野をめざす」で夢と冒険を与えてくれた。少なくとも僕がジャズを聴くようになったのはこの本の影響も大いにあった。

「よくスイングするなあ、これは」。植草甚一さんの解説の書き出しである。この文句を思い出しながら、今でも「朝日のようにさわやかに」(ソニー・クラーク)、「ゴールデン・イヤリングス」(レイ・ブライアント)、「クレオパトラの夢」(バド・パウエル)、「ウィスパー・ノット」(ジュニア・マンス)などといったピアノ・トリオのジャズを聴いている。


Re: 青年は荒野をめざす  投稿日:2018年10月09日 13:26 No.1991
五木さんの実際の渡航体験を踏まえての作品ですので真にせまりますよねぇ
ってぇ読んでないのですけどねぇ・・・・・・( 一一)

僕の周りでも同年代の同僚たちが「青春の門」」がどうだとかこうだとかは
話題になって僕の耳にも自然に入ってきてはいましたが( 一一)何故か興味
は湧かなかったのです・・・レベルの問題かもしれんですははは(^-^;

Johnnyと出会うまでは僕の五木さんとの出会いは日刊ゲンダイに連載の
「流されゆく日々」だけでしたから( 一一)まぁ小説は読んではないけど
売れっ子の有名作家のコラムを毎日読んでるってことにはちょっと誇れます
程度の低い?日刊ゲンダイのグレードをアップを一人で支えている五木さん
今も書き続けているのって凄いですねぇ(゜o゜)


Re: 青年は荒野をめざす  投稿日:2018年10月09日 13:47 No.1992
追伸記憶を辿って読んだ作品を列挙します(^^)
さらばモスクワ愚連隊
蒼ざめた馬を見よ
海を見ていたジョニー』
ソフィアの秋
白夜物語
四月の海賊たち
海峡物語
浅の川暮色
風の王国
金沢望郷歌
この流れ行くと忘れただけで「青年は荒野を目指す」は読んだような気もします
現在手もとにあるのは
演歌の誕生
平凡パンチ「五木寛之・時代を駆け抜ける作家}
五木寛之ブックマガジン 定価500円(^-^;中身は
北欧小説傑作選(霧のカレリア・白夜のオルフェ・白樺のエンブレム)
金沢小説傑作選(小立野刑務所裏・聖者が街へやってきた・浅野川暮色
「晴れた日は鏡を忘れて」は漫画でした(^^)

もう少し読んでるようなきもしますが
Johnnyの影響で五木さんの著書結構読みましたねぇ(^^)


Re: 青年は荒野をめざす Johnny 投稿日:2018年10月09日 21:39 No.1999
それだけ読んでいれば充分ですねぇ。
主要作品はほとんど読んでいるのでは、と思います。
欲を言えば、あと「青春の門」(筑豊篇と自立篇)くらいは・・・
「涙の河をふり返れ」「ソフィアの秋」「戒厳令の夜」「燃える秋」
「水中花」「冬のひまわり」「旅の終りに」・・・
キリがありませんね。




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