☆東方掲示板☆


| トップに戻る | 検索 | 管理用 | ▼掲示板作るならRara掲示板 |

オリキャラ出来ました。
投稿日:2017年12月25日 23:48 No.124
鬼宿
鬼宿型1番艦 鬼宿型安宅船(戦艦)
 鬼宿型安宅船『鬼宿』です。
私はここで人を待っているの
ああ、どこ?どこなの

答志島の波止場で一人の少女が膝を抱えて座っている。
 微かに風で揺れている以外に、少女にはずっと変化がない。
海の上、気がつけば雨は止んでいた。
 微笑むと相手を安心させる柔和さが魅力の彼女は、けれど色の
抜けきったような無表情で固まっている。 

 少女の名前は鬼宿。
夕日が海に溶けていくように赤く染まる海岸線を、彼女はじっと見つめていた。
ずっとここに一人で座っていて、もう数時間は経過している。
鬼宿を知るものが今の彼女を見れば、その痛々しさに思わず目を逸らしてしまいたくなるだろう。
 彼女はここでずっとある人を待っている。
 最も自分に近しい、生みの親でもあり親友でもある少女、・・・の帰りを・・・・。
けれど、願いにも似た鬼宿の行為が実を結ぶことはない。
・・は家臣の手により命を落としたのだ。
人間以上の頑強さと力を持つ鬼宿だが・・は違う。
敵を迎え撃つ形で行われた先の戦。
互いの損害を比較すれば十分な戦果を残した戦いではあった。
 だが犠牲というのは電卓のように軽く弾き出して納得できるものではない。
 
それでも鬼宿は・・の死を受け入れなかった。
・・が死ぬ瞬間を直接見た者はいない。その事実だけが今にも折れそうな彼女の心を支えている。
 その支えがあるからこそ、鬼宿が解放されることもない。
 出口のない迷路を、彼女は今もたった一人で彷徨い続けている。
 鬼宿にできることは、ただここで・・の帰りを待ち続けることしかない。
 もう戻ることのない者に、献身的な愛を捧げ続けるのみである。
それに、・・の死を認めるということは、彼女の存在を薄めてしまうことでもあると鬼宿は思っていた。
 形の良い爪や、ふわりと広がるような笑顔。彼女がよくする風に靡く髪を抑える所作。
 そんな、なんでもないようなことが、流された涙から一緒にこぼれ落ちていくような気がする。
 流れて流れて、いつか彼女の顔まで思い出せなくなってしまうのではないか。
 そう考えると急に不安感がこみ上げてきた鬼宿は、思わずぎゅっと目を瞑り膝に額を擦り付けるように首を下に曲げる。
すると、闇の中から・・の笑顔が浮かんでくる。大好きな彼女の顔だ。
 まだ忘れていない。優しさと慈愛に満ちた笑みがしっかりと浮かんだことに鬼宿は安堵した。
 すると次に浮かぶのは、彼女が生きて戻ってくる未来だ。
 ボロボロになった露出の多いセーラー服姿で、少し照れたような笑みを浮かべて鬼宿の前に立っている。
(今戻ってきたわ。ごめんね、待たせちゃって)
 ううん、いいの。・・が無事に戻ってきてくれたから。
 約束したよね。わたし、・・に伝えたいことがあったの
(何、鬼宿?)
・・・よ。・・。
(……)
 突然の告白に対して・・は驚いたように瞬きをする。
 ・・・、だよ……。
本当は事情を説明するつもりだった。けれど、それ以上は詰まって次の言葉が出てこない。
 鬼宿の一言には、あまりに多くの意味がないまぜになっていた。
 それでも・・ははにかんで、鬼宿の大好きな優しい笑顔を返してくれる。
(わたしも……・・・よ、鬼宿)
 歩み寄ってくる・・の腕が鬼宿を包み込む。
 大好きな彼女の優しい腕……けれどそこにぬくもりはなかった。
「……」
 気が付くと赤は全て海に飲み込まれ、深く静かな濃い青と、黒く染まった夜空がそこにあった。
 どうやら顔を伏せている間に、少しうとうとしていたらしい。
「駄目ね、わたし……ちゃんと・・を待ってないといけないのに」
 ・・が戻らなかったあの日から、学校や食事の時間以外、鬼宿はずっとここで彼女を待っている。
皆を心配させないよう明るく振舞っているものの、鬼宿の疲労は確実に積み重なっていた。
それこそ、自分のいつも通りを意識した調子が、かえって他の子達を心配させていることにも気付かない程だ。
 身体が心についていけないのも仕方のないことだった。
その心さえとっくに悲鳴を上げているのだ。無自覚の内に空想の幸せに浸るくらいに。
 それでも鬼宿は、ここで待つ他にどうすればいいのかわからなかった。
 どうすれば・・がこの場所に、自分の元へ帰ってきてくれるのか彼女にはわからない。
――ありがとう。大好き。素敵。嬉しい。……大切なひとへの大切な気持ち。
 そんな言葉をかけられる未来はもうないという、心の何処かで呼びかけてくる自分の声にも、わからない振りをしていた。

「明日もくるわ」
ポツリと呟いて鬼宿は立ち上がり、もう一度だけ海原に視線を向ける。それは誰に投げかけた言葉なのか、彼女自身にもわからなかった。

次の日も、鬼宿は波止場にいた。昨日と同じ姿勢で同じ服装。そして同じ無表情をずっと海へと向けている。
 地平線に見えるものも昨日と同じだった。
 何も変わらず、心もあの日のままで、今日もまた繰り返す。

諦めちゃいけない。諦めたら・・を 
迎える者がいなくなってしまう。
 そうしたらもう、・・は帰ってこない。
 なら待っていれば・・は戻ってくるの?
 戻ってくるよ。
 いつ?
 いつか。
 いつかって、いつ?
 わからない。
 どうやって帰ってくるの?
 わからない。
 本当に帰ってくるの?
 わからない。
 わからない。
 わからない。
 わからないからここにいる。
 わかりたくないからここにいたい。
 明日も明後日も。認めてしまったら、もう二度とあの言葉を伝えられなくなる。
 それだけは間違いなくて、それだけは嫌だった。
わたしはただ、ここで・・が帰ってくるのを待ってればいいんだから
 そうして、また空が茜色に染まるまで鬼宿は座り続ける。その努力が報われることはない。

今日も、・・・・は帰ってこなかった。

性格 着衣と艶やかな黒髪が特徴で右眼が隠れている。
普段はあまり喋らず 何気ない気遣いが人に愛される。
クールで美しい。
それは良かったわね 私は別に嬉しくなんてないわ。
一人称 私
二人称 名前
船長十八間(約32m)幅六間(約11m)
史実では矢倉は打ち落とされ端々しか残らず 帆柱も射切られる大損害も受けたが
健在だった。




お名前
メール
タイトル
画像添付


アイコン [イメージ参照]
削除キー ( 記事を削除する際に使用 )
文字色