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163年間の沈黙 <東海地震> ( No.74 )
日時: 2017年06月18日 14:00
名前: 小心者 [ 返信 ]
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東海地震または東海・東南海・南海トラフ連動型巨大地震で、当地域に震度6弱以上の地震が発生した場合、その後も住み続けることは可能でしょうか?

塑性化した構造躯体の補修にはどの程度の信頼性があるのでしょうか?

1981年(新耐震基準施行)以降の一般的なRC造建物が弾性変形領域を超えると、各接合部位が(梁 ⇒ 壁 ⇒ 柱の順に)塑性化(破壊)されていき、軸組をグラグラにすることで、それ以上の外力をやり過ごせるように設計されているそうです。いわゆる倒壊を防ぐことが目的です。

・許容応力度設計の一次設計では、建物に加わる地震水平力を0.2G(≒200ガル)として計算※1します。

(現行の耐震基準は、300 ~ 400 ガル程度(目安で旧震度6程度)の地表の揺れに対して終局強度設計(ある程度の構造的損傷を許容し人命を守る設計 = 即座には崩壊しない設計)するという最低基準になっています。)

・二次設計では、建物に加わる地震水平力を1.0G(≒1000ガル)としていますが、実際には1.0Gを弾性領域に設計する※2のではなく、一次設計で想定した外力を超えていけば建物が塑性化していくので、前述の如く外力は減殺されその結果、建物への入力(応答加速度)は一般的な建物で1/3~1/2(≒400ガル)程度になります。そして、この「健全な壊れ方」を検証することこそが二次設計での目的です。


上記のことを言い変えると、一次設計で建物に加わる地震水平力を0.2G(≒200ガル)※1として設計された建物は、応答加速度≒400ガル程度で限界(終局強度)に達するということです。これは、一次設計の0.2G(≒200ガル)に対して約2.0倍です。
これを、大雑把に言えば材料強度に対する許容応力度の安全率(余裕率)ということになります。この一次設計での水平力0.2G(≒200ガル)が基準ですので、この基準数値を変えない限り終局強度も変わりません。67年前に0.1G(≒100ガル)から現行基準の0.2G(≒200ガル)に引き上げられましたが、そろそろ、0.4G(≒400ガル)程度で限界(終局強度)に達するという現行の最低基準(一次設計基準の0.2G)を見直さない限り震災被害は減ることが無いように思えます。


よく分からない乍らも、以上のことを踏まえて、近年起きている巨大地震の揺れの強さ(震度ではなく加速度[ガル]の数値)を見てると、不安は増すばかりです。

◆巨大地震が来るまでの寿命なのでしょうか?・・・。神のみぞ知る、ことです。


※1:建築基準法制定時( 1950 年)からの基準。
 建物の 1 階に作用する水平力を、建物の全重量の 20% と考えます。これは結局、「 2 階の床位置での応答加速度が約 200gal(ガル) である」としていることになります。(重量 = 質量 × 重力加速度( 980gal )から、 0.2 × 980 = 約 200gal )

※2:原子力発電所建屋では1.0G以上で弾性設計されています。
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Re: 163年間の沈黙 <東海地震> ( No.113 )
日時: 2017年07月02日 13:06
名前: 小心者 [ 返信 ]
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建築基準法の耐震基準の概要です。

地表面の揺れ300~400ガル(旧震度6)程度の地震に対して構造躯体の部分的損壊は許容してもいきなりの倒壊だけは防ぐことを目的としています。(損壊していくことで建物のあちこちに関節を作り、大きな揺れのエネルギーをより大きく塑性変形していくことで吸収しながらやり過ごす粘り強さを一度だけは発揮する設計。 ⇒⇒ 本震並みの強い余震を受けると即倒壊する危険性がある設計。)

しかし、1996年に震度の基準(気象庁)が大きく変更(新震度 図2)されているのに現行の耐震基準(新耐震基準)の震度は1981年(新)耐震基準法施行当時の旧震度基準のままです。
しかも、旧震度を単純に新震度に置き換えているだけであり、新震度6強(450ガル~800ガル)~新震度7(800ガル以上)でも即座には倒壊しないと国民には伝えています。(下記■『 』内を見てください。)

■現行の「耐震基準」の国交省説明 (http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html#10)では、
(10)現在の建築基準法の耐震基準(新耐震基準)を満たしている建築物は、どの程度の地震に耐えられるのですか?
『現行の耐震基準(新耐震基準)は昭和56年6月から適用されていますが、中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないことを目標としています。』


と書いてあります。しかし問題は、
「(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じない」の震度は1996年改定前の「旧震度階」に基づくもので、それが、現在の改定震度階(「新震度階」)と “ 混同 ” されていることにあり、しかも、その旧と新の震度階の差が非常に大きい(図2)ことが、現行建築基準法通りの建物の安全限界を大きく引き下げていることです。

◇ かなりいい加減だとは思いませんか!?。これが地震大国ニッポンの行政です。



Re: ガル (Gal) とは ( No.128 )
日時: 2017年07月04日 15:10
名前: 小心者 [ 返信 ]
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■ガル(Gal)とは

【人間や建物にかかる瞬間的な力を表すもの】
 ガルとは、加速度(単位時間あたりの速度の変化率)の単位であり、人間や建物に瞬間的にかかる力(揺れ) を意味します。
 1ガルとは、1秒間に 1センチメートルの割合でスピードが増していく状態を指します。(1ガル=1cm/s2)
 地球の重力加速度(物体が重力に引かれて地面に向かって落ちる時のスピードの変化率)は、980ガル程度です。


【大きな地震になるほど有効な指標】
 地震が発生した際、その大きさを表す単位として、ガルの他に、マグニチュードや震度が使われます。
 ・マグニチュードは、地震そのものの規模を示します。
 ・震度は、ガル同様に観測地点での揺れの大きさを示し、建物への実影響に近い数字を表しますが、震度階が 1~ 7という表記の為、震度が大きくなるにつれ、その数字の意味合いが抽象性を増すことになります。事実、同じ震度 7であった阪神大震災では 800ガル、新潟県中越沖地震では 1700ガルが計測されています。


【新耐震基準とガル】
 日本では、1981年 6月に新耐震基準が施行されました。関東大震災級の極めて稀にしか起こらない大地震に対しても建物が即座に崩壊しない耐震性を満たすことが、この時期以後の基準となりました。
 ここで言う大地震とは、おおよそマグニチュード 8以上、目安で(旧)震度 6程度、ガルで示すと、地表最大加速度 300~ 400ガル程度と考えられます。


【地震の歴史で見る“揺れ”の大きさ】
 2011年: 東日本大震災 M 9、 震度 7、 2933ガル
 2011年: ニュージーランド地震 M 6.3、 震度 6強、 940ガル ※1
 2010年: チリ地震 M 8.8、 震度不明、 550ガル ※1
 2004年: 新潟県中越地震 M 6.8、 震度 7、 1700ガル
 2003年: 十勝沖地震 M 8.2、 震度 6、 870ガル
 1995年: 阪神大震災 M 7.3、 震度 7、 800ガル
 1923年: 関東大震災 M 7.9、 震度 7、 300~400ガル


さらに、実影響には、ガルの大きさや連続性の他に、
 ・ピロティ( 1階が店舗、車路)やセットバックでバランスが悪い
 ・地震動周期が、建物固有周期※2と一致して共振する可能性
 ・設計裕度
 などが係わってきます。

ちなみに、浜岡原発(現在停止中)原子炉建屋の設計値は、1000ガル( 2009年以降、3~ 5号機)となっています。


※1 参考値
※2 RC造の建物の場合では、建物高さ (m) × 2% = 固有周期 (秒) で概算できます。 (概算例:Ⅱ番館高さ25mx2%=概算の固有周期 0.5秒)



【関連記事】
・キラーパルス <建物破壊プロセスの新事実> ( No.28 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page28

・震度5弱 : 震度6強 = エネルギー比 1 : 6 ( No.34 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page34

・簡易な耐震診断 ( No.39 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page39

・ピロテイ形式のマンション ( No.40 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page40

・上層階で2ランクUP、中間階で1ランクUP <床応答震度> ( No.43 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page43

・バルコニー片持ちスラブの「ひび割れ!」 ( No.45 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page45

・構造上のバランスが悪いマンション ( No.53 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page53

・大規模地震の被害と対策に係る映像資料【南海トラフ巨大地震編】‐全体版(17分)‐ ( No.84 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page84

・大規模地震の被害と対策に係る映像資料【首都直下地震編】-全体版(13分)- ( No.87 ):http://rara.jp/royal_chateau_nagaizumi/page87


Re: 国民の生死に関わる大問題です!(新・旧震度階級の混同!) ( No.131 )
日時: 2017年07月05日 14:26
名前: 小心者 [ 返信 ]
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■ 国民の生死に関わる大問題です!(新・旧震度階級の混同!)

現行の耐震基準は、300~400ガル程度の地表の揺れに対して終局強度設計(ある程度の構造的損傷を許容し人命を守る設計)するという最低基準です。

● 1996年以前(気象庁震度階改定以前):
建物の安全限界の加速度 300~400gal ≒ 震度6-7境界の地動加速度 400gal
⇒ 「震度6-7(境界:400gal)まで倒壊等の被害が生じない」と言える。

● 1996年以降(気象庁震度階改定以降):
建物の安全限界の加速度 300~400gal << 震度6強-7境界の地動加速度 800gal(※1)
⇒ 「震度6強-7(境界:800gal)まで倒壊等の被害が生じない」とは全く言えない。

となります。以上の安全限界の話は、地表面地震動ではなく、建築物への真の地震入力の震度で、且つ構造躯体(「建築物の構造耐力上主要な部分」)のみの耐力の場合であり、且つ標準せん断力係数C0=0.2、C0=1.0の構造計算をしている場合です。

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(※1)卓越周期(※2)0.6秒の場合。
(※2)卓越周期・・・・・卓越周期とは、地震の揺れは「振幅」と「周期」に分けて考えることができる。「振幅」は地震の揺れの大きさ、「周期」は地震の揺れの往復する時間。そして、この地震の振幅と周期は地盤によって差があり、軟らかい地盤では振幅が大きく(周期が長くなる)、硬い地盤では振幅が小さい(周期が短くなる)傾向がある。このような地盤がもつ揺れの周期の特性を「卓越周期」と呼んでいる。
地盤の「卓越周期」と建物ごとに違う「固有周期」が一致してしまうと、「共振」をおこし、建物が一層大きく揺れ、最悪、倒壊につながる。
なお、RC造の建物の固有周期(秒)は、建物高さ(m)x2%で概算できる。(概算例:Ⅱ番館高さ25mx2%=固有周期 0.5秒となる。)
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◇ 耐力として余裕があるか

●有利な話
・余裕を持って設計している場合
・不静定次数が高い場合
・地震入力方向については、建物にとって有利な方向(正方形建物の場合 45度入力等)で入力する場合
・「建物と地盤の相互作用」が有利に働く場合

●不利な話
・余裕を持って設計していない場合も多い → が殆ど
・不静定次数が高くない場合
・設計、施工のミス(手抜きの場合もある) → 現実に多い
・使用上の問題、経年劣化
・地震入力方向については、建物に不利な一方向で入力する場合もある
・「建物と地盤の相互作用」が不利に働く場合もある
・31m以下の建物で、不整形(剛性率・偏心率が規定値外)で無い場合は、標準せん断力係数C0=1.0の計算をしていない場合が多い → 法で不要のためしない

結局、不利な話も考えると、有利な話だけをしていては大変危険です。


■ 現行の建築基準法通りの建物の「安全限界」は震度6弱程度ですから、
・「震度6弱」から危険レベル
・「震度6強」では「安全限界」を超え、(建築物が倒壊・崩壊等しないという)安全が保証されない
状態になります。
然るに、関東・東海・近畿等の広域で「震度6強以上」の地震発生が予測されています。
上記の「安全限界」の問題が連動するのは「標準せん断力係数=0.2」であり、その概念自体は、関東大震災直後の 1924年の「市街地建築物法施行規則改正」以来一貫してきたもので、今年で93年となります。

※現在の余裕の無い状態、というよりも “不足” している状態が解消されない限り、地震被害は無くなりません。




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