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バルコニー片持ちスラブの「ひび割れ!」 ( No.45 )
日時: 2017年06月06日 12:25
名前: 小心者 [ 返信 ]
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【片持ちスラブは脆弱】

バルコニー部分は、管理範囲の狭間に位置するため、欠陥の発見については、お互いに無関心になりやすい (見落としがちな) 箇所でもあります。
当マンションのようなバルコニーは、いわゆるキャンティスラブ (片持ちスラブ) のオーバーハング (ハネ出し) バルコニーですので、積載荷重に対しては、強度的にも脆弱な部分といえます。
また、バルコニーは、長辺方向の寸法が長く、日当たりのよい南面に面しているため、コンクリートの乾燥収縮によるひび割れや温度変化によるひび割れが、多く発生する部分でもあります。

■バルコニー床付け根部分の長辺方向の大きなひび割れ
長辺方向 (外壁に平行方向) の、特に幅0.3ミリを超える大きなひび割れは危険です。
これは配筋に問題がありますので、弾性波レーダー検査などの結果を基に、適切な補強・補修が必要となります。
そのまま長い間放置されて劣化が進行し、著しく耐力が低下している場合には、突然の大きな外力 (地震の上下動) で 「根元から崩落」 する恐れもあります。
なお、短辺方向 (外壁に直行方向) のひび割れや、先端部分のひび割れは、構造耐力上問題となることは少ないです。しかし、幅0.3ミリを超える大きなひび割れは、雨水が浸入しやすく、鉄筋腐食の原因となりますので、補修が必要です。

■バルコニー揚げ裏 (天井) 部分の貫通ひび割れ
貫通ひび割れかどうかは、ひび割れから、白い溶出物 (エフロレッセンス) が出ているかどうかで判断します。
*白色・・・貫通型クラックが生じており、雨水が通り抜けています。
*茶色・・・内部の鉄筋がかなり腐食しています。
いずれも補修が必要です。

■バルコニーRC手摺壁の大きなひび割れ
毛細ひび割れ (ヘアークラック) は、放置していても問題ないですが、幅0.3ミリを超える大きなひび割れは、雨水が浸入しやすくなるので、補修が必要です。



【片持ちスラブの安全率】

片持ちスラブの設計は、図 8.3 のような幅 1 mの梁が連結してならんでいるものと考えて行います。
片持ちスラブの厚さに関しては、長期荷重に対するたわみ防止の観点から、 lx / 10 以上にするという規定がRC規準に定められています。
その結果、スラブの引張鉄筋比は、ほとんどの場合、釣合い鉄筋比(※1)以下となり、コンクリートよりも鉄筋の方が先に長期許容応力度ftに達することになります。
したがって、スラブの鉄筋量は次式で求められます。

at = M / ft・j

ただし、
M: 単位幅あたりの曲げモーメント
at: 単位幅あたりのスラブの鉄筋量
ft: 鉄筋の長期許容応力度
j: スラブの応力中心間距離(※2) j=(7/8)・d、 dはスラブの有効せい(※3)

RC規準には、スラブの鉄筋比 (鉄筋全断面積のコンクリート全断面積に対する割合) を 0.2 %以上にするという規定も設けられています。さらに、鉄筋間隔があまりにまばらであると危険ですので、鉄筋間隔は短辺方向で 20 cm以下、長辺方向で 30 cm以下とされています(※4)。なお、スラブには曲げモーメントと同時にせん断力も生じますが、せん断補強筋が必要になる場合はほとんどなく、通常は曲げモーメントに対する配筋のみが必要になります。

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(※1)釣合い鉄筋比とは、コンクリートと鉄筋が同時に許容応力度に達するときで、「引張鉄筋比が釣合い鉄筋比以下の場合」とは、引張側鉄筋が圧縮側コンクリートより先に許容応力度に達すること。
(※2)圧縮側コンクリートの応力心と引張鉄筋位置までの距離
(※3)スラブの有効せい = スラブ厚t - 引張側の主筋かぶり厚 - 同鉄筋径の半分
(※4)力学的には長辺方向の鉄筋は不要だが、乾燥収縮や温度差に伴うひび割れに対する備えとして必要である。施工の際も、短辺方向の鉄筋の位置を保持するために長辺方向の鉄筋がある方が便利である。このような理由により、 0.2 %の最少規定は、長辺方向にも適用される。
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なお、はね出し部材は、次の3つの理由から安全率を十分に確保する必要があります。
一般のはね出し部材では 1.5、はね出しスラブでは 2.0 の安全率を確保します。

① 静定構造となるため冗長性がない。
② 地震時の上下動震動(±1G程度)を考慮する必要がある。
③ 主筋(短辺方向の上端鉄筋)が下がり、耐力低下の懸念がある。→【前述の計算式 at = M / ft・j を参照。】


故に、余程のこと(設計・施工のミス、手抜き、上記③や劣化による著しい耐力低下、など)が無い限りに於いては安全であると言えます。


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Re: バルコニー片持ちスラブの「ひび割れ!」 ( No.192 )
日時: 2017年07月19日 21:44
名前: 小心者 [ 返信 ]
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写真
左:バルコニー床の大きなひび割れ(長辺方向) 幅0.5ミリ超 ⇒ 補強・補修が必要

中:バルコニー揚げ裏(天井)の白華現象(貫通型クラックの発生) ⇒ 補修が必要

右:バルコニー先端立ち上り部のひび割れ 幅0.3ミリ超 ⇒ 補修が必要




Re: バルコニー片持ちスラブの「ひび割れ!」 ( No.319 )
日時: 2018年01月05日 17:26
名前: 小心者 [ 返信 ]
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バルコニーはね出し床の大きなひび割れ(長辺方向) 幅1.0ミリ超 ⇒ 主筋(短辺方向の上端鉄筋)の腐食(劣化)が急速に進行中! ⇒ 更に進行! ⇒ 突然の大きな外力(巨大地震の上下動)で・・・・・  合掌


Re: バルコニー片持ちスラブの「ひび割れ!」 ( No.528 )
日時: 2018年11月11日 19:15
名前: 小心者 [ 返信 ]
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バルコニー片持ちスラブの「ひび割れ!」、幅も範囲も驚異的に拡大中

揚げ裏(天井)の滲み汚れが茶色ならば内部の鉄筋はかなり腐食しています。危険!

このまま放置され更に劣化が進行(著しく耐力が低下)した片持ちスラブに、突然大きな外力(地震の上下動[±1G程度])が作用すれば「崩落」する恐れすらあります。


 
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