←日本紅斑熱を媒介するマダニの一種(国立感染症研究所提供)体長1~数ミリのマダニは草むらなどに潜んでいる マダニにかまれて発症する日本紅斑(こうはん)熱の患者報告が増えている。毎年、夏から秋が患者の増える季節。国立感染症研究所(感染研)は「キャンプや農作業など野外で活動する際は長袖、長ズボン、帽子などを着けて肌の露出を減らし、発熱などの症状が出れば、早めに医療機関を受診して」と呼びかけている。 また、かまれた際は無理にダニをとらず、医療機関で除去するよう注意している。 【日本紅斑熱】・・・84年に初めて徳島県で報告された。 ・潜伏期間は2~8日 ・頭痛、発熱、発疹、倦怠感を伴って発症するのが特徴 ・発疹は四肢末端部に比較的強く出現する ・CRPの上昇、肝酵素(AST 、ALT)の上昇、白血球減少および血小板減少などがみられる ・細胞に寄生して増殖する細菌の仲間「リケッチア」が原因で、同じリケッチア症にはツツガムシ病などがある ・2016年の患者数は過去最多の276人 ・死者は1999年以降で21人に上る ・日本紅斑熱は抗菌薬が効くとされる ・報告地域の拡大(以前は千葉より西の太平洋側が中心だったが、栃木や新潟など周辺にも広がっている※1) ・患者の中心は高齢者で、過去の死亡例はすべて60歳以上 患者報告は90年代まで年間数十人程度だったが、2008年に100人を超えた。15年は過去最多の5人が死亡し、死亡率は2%を超えた。発病日がわかっている死亡例の半数以上は、発症から5日以上たって医療機関を初めて受診していた。 (※1 マダニがついたシカなどの野生動物が頻繁に人里に出るようになり、人との接触機会が増えたのが一因とみられている。) 【重症熱性血小板減少症候群(SFTS)】・・・同じくマダニにかまれて発症する。昨年8月に北海道で23年ぶりとなる患者が確認された。 ・マダニにかまれて発症する ・潜伏期間は6日〜2週間 ・発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こす ・白血球減少、血小板減少、AST・ALT・LDHの血清逸脱酵素の上昇が多くの症例で認められる ・患者数は年間40~60人ほど ・死亡率は6~30%(先月広島県の90代女性が死亡、今月に入って道内の70代男性が死亡している) ・SFTSはウイルスが原因で対症療法しかなく、有効な薬剤やワクチンはない ・患者の中心は高齢者で、過去の死亡例はすべて60歳以上 ------------------------------------------------------- * 症状に気づいても病院に行かない * 感染例が少ない地域では医師が診断できない などで治療が遅れるケースがある。 ------------------------------------------------------- 「野外活動後に体調がすぐれないときは早めに病院を受診すること」を肝に銘じたい。 ●国立感染症研究所: ・日本紅斑熱とは:https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/448-jsf-intro.html ・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは:https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html ●参照記事: ・朝日新聞デジタル > マダニの季節、野外に注意 日本紅斑熱の患者、昨年最多:http://digital.asahi.com/articles/ASK7F61VLK7FULBJ012.html?_requesturl=articles/ASK7F61VLK7FULBJ012.html&rm=386 |
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元記事(2019/7/24(水)16:14配信):https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190724-00000545-san-soci マダニ媒介の感染症で死亡 静岡 県は24日、伊豆の国市内の70代の女性がマダニが媒介する感染症「日本紅斑熱(※1)」で23日に死亡したと発表した。マダニにかまれた時期、場所などは不明。県内での患者数は今年4人目となり、死者が出たのは今年初めて。 野山や畑などに行く場合、マダニに刺されないよう肌の露出を少なくするなどの注意を呼びかけている。 (※1)日本紅斑熱は病原体の日本紅斑熱リケッチアを保有するマダニにかまれることで感染し、かまれて2日から8日間で高熱、発疹が出て重症化すると死亡するという感染症。人から人へは感染しない。 |
毎年のようにつつが虫病および日本紅斑熱の死亡症例が報告されています。両疾患が、わが国では、常に発生しうることを念頭に、発生状況、臨床所見および治療法を理解しておくことが、早期診断・早期治療に繋がり、治療が遅れ重症化や死亡する症例を減らすために重要です。また、人の移動に伴い国内外を問わず流行地域で感染し帰宅後発症する例もあり、年間を通して常在地だけでなく広く全国の医療機関で本症を疑うことも必要です。 [2017年9月27日放送ラジオNIKKEI「つつが虫病と日本紅斑熱」 国立感染症研究所] より 【元記事】 ・[PDF]「つつが虫病と日本紅斑熱」 http://medical.radionikkei.jp/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-170927.pdf ・つつが虫病と日本紅斑熱(2017.9.27放送) |ラジオNIKKEI http://www.radionikkei.jp/kansenshotoday/ondemand/kansenshotoday-170927.html |
元記事(2021/10/27(水)16:02配信):https://news.yahoo.co.jp/articles/f606e9b0a84a5c9e558e4da887c8f7fd6140e7dd マダニに刺されたか…静岡県内で2人が日本紅斑熱に感染 県内で今年8人目 静岡県は新たに2人がマダニが媒介する日本紅斑熱に感染した、と発表しました。いずれも10月に熱海保健所管内の医療機関を受診した男性で、今年7人目と8人目の感染になります。 7例目)県外在住の40代男性は10月12日に発熱、14日に発疹の症状が出たため、20日に熱海保健所管内の医療機関を受診したところ、日本紅斑熱と確認されました。男性にマダニにかまれた自覚はなく、マダニの刺し口はなかったものの発症前に公園の林を散策していることから、日本紅斑熱の病原体を保有するマダニにかまれたことにより発症したものとみられています。 8例目)伊東市の70代男性は10月14日に全身の関節痛、16日には発熱の症状がみられ、18日に熱海保健所管内の医療機関を受診しました。その後、25日に日本紅斑熱と確認されました。男性にはひざ下など2カ所にマダニの刺し口が確認され、日本紅斑熱の病原体を保有するマダニにかまれたことにより発症したものとみられています。男性は日ごろ、畑仕事をしていた、ということです。 静岡県は野山や畑などに入るときには、長そで、長ズボンでダニ対策をするよう呼び掛けています。 **************************************************************************************************** ※マダニが活発になるのは気温13℃以上といわれていますが、冬でも身近な草むらにいます。公園などを散歩している間に愛犬の毛にくっついて、そのまま帰宅すると暖かい屋内で活動を始めます。ノミも同じで通年、生息できるので、冬だからといって油断しないほうがいいです。 マダニに刺されると、犬や猫は、人間にも感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの他に、バベシア症やヘモバルトネラ症といった貧血症にかかることがあります。ノミも、皮膚炎を起こしたり感染症を媒介したりします。これらの動物を介して人間に感染することもあるわけです。 バベシア症 犬に感染するバベシア種は、人間に感染性を示しません。 ただし、他の動物に感染するバベシア種が人間に感染した例があり、その場合は発熱や頭痛、筋肉痛、貧血が認められます。 バベシア症は輸血を介して感染する危険性もあるため、日本赤十字社ではバベシア症の既往歴がある方の献血を禁止にしています。 猫のヘモプラズマ感染症 以前はヘモバルトネラ症と呼ばれていましたが、詳しく調べると、マイコプラズマ(細菌)の一種であることが明らかになりました。 そして、赤血球に寄生するマイコプラズマをヘモプラズマと呼ぶようになっています。 更にその後、猫に感染するマイコプラズマにはいくつかの株があることが明らかとなり、M. haemofelis, ‘Candidatus(C.) M. haemominutum’および‘C. M. turicensis’に分類されました。 |