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投稿者:浮浪雲
スラブの厚さを決める要素としては、強度、たわみ、振動、遮音があり、 強度、たわみ、振動に対して満足させるためには、スラブの厚さをスラブ短辺長さの1/30以上とすることが定められている。(施行令77条の2、告示1459号。片持ちスラブでは1/10以上とする。) 当マンションの場合、スラブ厚 t ≧ 137mm(4100/30)から、DH工業では梁区画面積が24~26m2のスラブ厚を少なくとも150mmにはしている筈※1である。(下図左:スパン6200の住戸、下図中:スパン6800の住戸) しかし、遮音に対しては日本建築学会の「建築物の遮音設計資料」(下図右)から、スラブ面積25m2で遮音等級L-50を担保するためのスラブ厚は200mm必要である。ところが、当マンションのスラブ厚は150mmしかないため、遮音等級では2ランクダウンのL-60となっている。販売時に謳っていたL-50とはフローリングメーカーが行う『スラブ厚150mm且つ梁区画面積10-15m2のモックアップ』での試験データ※2(推定L等級のカタログ値)であり、それをマンション販売時にそのまま示すことで、消費者自らが誤解するように誘導していたのである。それ故、当建物では入居当初から現在に至るまで、界床間の生活騒音が大問題となっているのである。建設計画時から遮音等級はL-60以下(L-60か更に下級)だったのである。 ①小梁本数を増やしスラブ面積を小さくすることでL-50を確保する。⇒ 小梁がリビング(中央部の)天井下に出てしまう。⇒ 階高を数センチメートル上げて天井内に小梁を隠す。 ②スラブ厚を200mmにすることでL-50を確保する。⇒ 固定荷重が増えることで耐震性能が落ちる。⇒ 構造設計を変更して耐震性能を確保する。 (①②ともに建設コストはアップする。) ≪●遮音等級を確保するための対策(スラブ面積を小さく抑える※3、または、スラブ厚を増す※3、あるいは、LH改善機能付き二重床仕様にする、ことなど)が、一切、まったく為されていない、実にいい加減な建物である。≫ (LL:軽量床衝撃音、LH:重量床衝撃音) ※1 集会室に保管されている竣工図書の内、構造図の床伏図とスラブリストを見れば直ぐに解ることである。 ※2 2008年からは、標準的な施工による梁区画面積10-15m2のRC床版(スラブ厚さ15cm)に対する推定L等級表示ではなく、フローリングそのものの性能を表わすΔL等級表示に変わっている。   ※3 重量床衝撃音の遮音性能は床のコンクリート構造(床架構全体に)に関する問題である。 ※ 遮音等級とは  下室の床衝撃音レベルに対する評価は、JIS A 1419 「建築物の遮音等級」に規定されており、 「床衝撃音レベルに関する遮音等級の基準周波数特性を定めて基準曲線とし、その基準曲線が500Hzで示す床衝撃音レベル(dB)の数値をL値と呼ぶ。」 と定義されている。  参照サイト:日本音響エンジニアリング株式会社 > 床衝撃音の測定→ https://www.noe.co.jp/technology/12/12inv1.html
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