投稿画像
投稿者:目撃者A
当工事は建設計画時の問題解決が長引き、着工が大幅に遅れた。そのため、全体工期は単純に圧縮され、当然躯体工事に費やせる期間も当初より短くなり、悪天候では出来ない(禁止されている)作業も管理者黙認の下で行われていた。 その内の一つが、鉄筋工事に於ける「ガス圧接」である。ガス圧接では、雨,雪,霧の中の作業を禁止している。(接合界面清浄性と自然冷却の阻害。) しかし、当建物の工事ではそんな禁止事項などまるで無視(管理者は黙認)!、相当な降雨の中、ある階では平然と柱筋のガス圧接作業を強行していた。雨合羽を着た圧接工の頭上に手元工が傘まで差し掛けていたのを今でもハッキリと覚えている。引張試験(公的機関で実施)用のテストピースは(施工場所の柱からの抜き取りではなく)濡れない躯体屋内の床面で試験専用に作れば、それは母材破断(合格判定)になる筈である。が、しかし、実際のその柱筋継手部の強度は母材強度以上になっているのであろうか。非清浄接合界面、急冷(焼き入れ状態)など、ガス圧接継手の原理原則に反したこのような工事に対する信頼性は皆無と言っても過言ではない。実に恐ろしいことである!(他の階にも、梁筋にも、存在するかも知れない。)  【ガス圧接継手の原理】  鉄筋のガス圧接は、接合端面を突き合せて、圧力を加えながら、接合部を酸素・アセチレン炎で1200℃~1300℃ に加熱し、接合端面を溶かすことなく赤熱状態でふくらみを作り接合する工法です。  突き合せた両端面の原子が接合面を跨いで拡散し、金属結合して一体化することにより接合されます。このため次の3つの条件が必要です。 (1) 加圧:両端面の原子間距離を近づけ、金属結合を促進させる。 (2) 加熱:変形抵抗を減じ、原子の動きを活発にする。 (3) 圧接時間:圧接端面の原子が全て金属結合する時間を確保する。 【ガス圧接継手の種類】  ガス圧接継手の原理はすべて共通ですが、施工方法には5種類の工法があります。このうち、燃焼ガスにアセチレン・酸素の混合ガスを用いる工法が3種類、 天然ガス・酸素の混合ガスを用いた工法が2種類です。 アセチレン・酸素混合ガスを用いる工法には、①バーナー操作,加圧力の操作等を手動で操作する手動ガス圧接、②加圧力,アプセット量,バーナー操作,燃焼ガスの調整等をすべて自動で制御する自動ガス圧接、③手動ガス圧接でふくらみを形成後、ふくらみ部が赤熱状態の時に、ふくらみ部をせん断刃で除去する熱間押抜ガス圧接がありますが、現在施工されている工法の90%以上は、手動ガス圧接です。
投稿記事
画像を拡大