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動物園学入門
よしの88
投稿日:2015年05月12日 22:24
No.3
●村田浩一・成島悦雄・原久美子(2014)、動物園学入門、196pp.、朝倉書店
ここ最近、とあるご縁や機会もあって、以前よりも動物園という施設に関して考える事が多くなりました。
そこで本棚で真っ先に目に付いたのが、この本です。
購入したのは、初版(2014年7月15日)の時ですから、かれこれ読んでから、1年以上経っています。
さすがにある程度の内容は覚えていても、細かい内容までは殆ど覚えていません。
まず一番重要なことには、動物園の機能と役割と言う物があります。
本書では「序論」で動物園の役割として『種の保存、教育・環境教育、調査・研究、レクリエーション』の4つの存在意義をあげています。
以下は本書の内容からではなく、管理人の主観的考えです。
●種の保存
特に管理人は1番目の『種の保存』が動物園が存在するための一番重要な役割と考えています。
現代の動物園ははからずも、集客性、エンターテインメント性に傾き、本来の役割として機能しているのかという疑問があります。
種の繁殖に関しても、行われているものの、実際は本来の役割の範疇なのか、集客性やエンターテインメント性に期待する部分なのか、良くわかりません。
当然に全ての動物園がそうであると言うことではありませんが、概して実際は上に書いた通りではないかと思われます。
●教育・環境教育
これに関しては、動物園で何を教育できるのか、大変に疑問があります。
種の実物を間近に見て、実感できる以外に希少種であるとか、貴重であるとかを概念的に理解する程度でしょう。
ただ、生息地の現在の環境と照らし合わせて、種の実物を目の前にし、環境の現状や大切さについて概念的に教育できると言うことはあり得そうです。
●調査・研究
確かに調査や研究は行われていると思いますが、その実態は全く不明です。
管理人は趣旨に賛同する・しないは置いておいて、東京動物園友の会、横浜市動物園友の会、旭山動物園くらぶの会員になっています。
各団体とも各種の情報が会報や速報で送られて来ます。
その中で、確かに研究や調査などの記事がありますから、やっている事は確かでしょう。
ただ、疑問に思うことは、何故、調査報告書や研究報告書なる文献が存在しないのか、いや存在しても、公開されないのかです。
全てが成果なき、名目だけの研究や調査とは思いませんが、そう思われても仕方ないという背景もあると思います。
●レクリエーション
これはどうかなと言うところです。
さて、余計な事に話がそれてしましましたが、同書では「動物園学」を『動物園を取り巻く多様な学問を総合した動物園学を興し。アカデミアの中に学問領域として普及させ、動物園における学術的基礎の構築に役立てる・・・』と書いてあります。
今までに動物園に関する多様な学問を系統立て、また秩序立てて、学問として統一したものにする試みでもあるかと思います。
同書は、更に「動物園の歴史学」から始まり、「動物園の生物学」、「動物園の保全生態学」と順を進めて、周囲から核心へと論じています。
そして、「動物園の飼育管理学」、「動物園の獣医学」と専門実務内容へと移っていきます。
終わりには、「動物園の展示学」、「動物園の教育学」、「動物園の福祉学」、動物園の経営学」と続き、締められます。
それぞれの項には種によっての実例などもあげられています。
途中の専門的内容は管理人にとっては、難しい内容ですが、前後の内容が、比較的概念ですが取っつきやすく、全体を難なく読み進められたという記憶があります。
今回は機会あっての再読という形になりますが、立場上として、動物園とは?との疑問に対して、以前とは違った疑問を持ちながら、更に知識を深めるためのものであります。
また、同書はうちの様な素人でも読み進めることが出来ましたから、教科書的な要素も十分に含まれていると思われ、入門者にはおすすめできる内容であると思います。
その他にも動物園関係の書籍は本棚を見渡すかぎり、何冊かはありそうです。
●溝井裕一 (2014)、動物園の文化史―ひとと動物の5000年、320pp.、勉誠出版
●田中正之(2013)、生まれ変わる動物園―その新しい役割と楽しみ方、199pp.、化学同人
●若生 謙二(2010)、動物園革命、240pp.、岩波書店
●児玉 敏一 ・佐々木 利廣 ・東 俊之 ・山口 良雄(2013)、動物園マネジメント‐動物園から見えてくる経営学、258pp.、学文社
●石田 戢 (2010)、日本の動物園、258pp.、東京大学出版会
●Geoff Hosey・Sheila Pankhurst・Vicky Melfi (著) 村田 浩一 ・楠田 哲士(翻訳)(2012)、動物園学、621pp.、文永堂出版
などなどの書籍が手持ちでありますので、全てだいぶ以前に読んだ物でもあり、もう1回読んでみたいと思っています。
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